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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 経営者の群像②:「リーダーシップは細部に宿る①:SJのお話」 (企業家リーダーシップ/廣瀬 聡)

経営者の群像②:「リーダーシップは細部に宿る①:SJのお話」

廣瀬 聡 企業家リーダーシップ

20/01/06

前回から経営者の方のお話をしています。今日は誰もが知ってる有名な経営者のお話です。

実は、私は前職ではコールセンターのアウトソーシングの会社の役員をしていました。その中で、世界的にも有名なある会社のカスタマーサポートセンターを作る入札に勝ち残り、200~250人ほどのセンターを中野に立ち上げるというご縁をいただきました。日本企業のコールセンターを請け負う時には、契約書は枚数にして10枚ほどであまり細かなことは書かれていません。ところが、今回私が請け負ったのはアメリカの会社だったため、契約書が150ページから250ページほどありました。本当に細々とどういう組織で管理者は部下を何人持つのか、最近流行りのワンオンワンミーティングをどの程度の頻度と長さでやるべきかなど1つ1つの役割毎の責任や権限、そこで求められるスキルセット、大学で履修すべき科目など非常に細かく書かれていました。
これはこの業界にいた人だと非常に驚かれると思いますが、日本では一般的に「客相」(お客様相談室)と呼ばれます。お客様相談室とは、文字通りお客様が電話して何か苦情やご相談があった場合にそれを受ける場所ですが、この会社はそう捉えていません。お客様を如何に繋ぎ止めてより長く、よりたくさんお金を喜んで払って頂くような債権を作るかということに徹底的に拘ります。そのため、日本の企業ではお客様相談室は比較的中心から離れてる部門という風に見られがちですが、この会社では文字通り半端ない拘り方で、どういう風に進めていくのかということが決まっています。それだけだから売り上げに繋がるとても大切なポジションだと認識されているわけです。

私は色んな外資系の会社とお付き合いさせていただいてきましたが、その中でもこの会社に関して言うと、カスタマーセンター内に作るトレーニングルームの大きさ(縦、横、高さ)、座席の家具、PCの向き、マイクや時計、スピーカーの配置まで全て決められていました。それだけでなく、休憩室の壁の色、立てかけてよい写真の内容、壁の全体からどういう比率の大きさの絵を入れてもいいということまで全て決まっています。なぜそこまで拘るのかこの会社の方に聞いても中々埒が明かず、ハッキリとした答えは得られませんでした。1度アメリカの責任者の方がいらっしゃった時に聞いてみたところ、こういう答えが返ってきました。「それはね、スティーブが決めたんだよ。スティーブが、研究とか実験を実は長年重ねて最終的にこれがベストと決めたものだから、これはもうあなた達は自由に出来ないからね。スティーブはね、何に関しても徹底して考えて決めてるから。だから全てがそういう風な形に決まってるんだよ」

皆さんももうお分かりかと思いますが、この会社はスティーブ・ジョブズの会社です。彼に関しては様々な意見があると思いますが、実は彼ほど1つ1つに思いを込めて考え抜いてきた人はいないのではないか、スティーブ・ジョブズという男の凄さを実感することが出来ました。これが今のアップルの姿がある1つの大きな理由なのではないかと思いました。

恐らく、彼から見たらコールセンターのみならず、アップルにかかる全てに関して徹底して思考に集中していたということではないかという風に思います。スティーブ・ジョブズの横でデザインをしていたジョナサン・アイブの本の中にも、スティーブのデザインや設計に対する思いの強さが描かれています。機会があれば一度読んでみると面白いかもしれません。
経営のトップにいる人が、細かいこと全てに目を届かせて考え抜いて指示を出すということを徹底してやることは非常に難しいことだと思います。一方で「任せすぎる」というのも危険だと思います。つまり、リーダーあるいは経営者という者は、やはり自分の関わる全てのものに自分語を持って考えなければなりません。もちろん任せることは大切だけれども、任せっぱなしにしたり、任せて自分が変わらなかったりするということはあってはなりません。結果的に最終的には自分が責任を負わなければならないということを自覚する必要があります。我々は経営を目指す者として、そこまで物事に対して拘っているだろうか、という事を本当に考えさせられる経験をさせていただいたと思っています。

分野: 企業家リーダーシップ |スピーカー: 廣瀬 聡

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