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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 経営者の群像④:「 "確信犯と鈍感力"」 (企業家リーダーシップ/廣瀬 聡)

経営者の群像④:「 "確信犯と鈍感力"」

廣瀬 聡 企業家リーダーシップ

20/01/20

様々な経営者から学ぶシリーズ4回目の今日は、これまでとは少し毛色が異なります。「確信犯」と「鈍感力」という言葉を使っていいほどに、嫌われることもある方ですが、とにかく結果を出す、そんなリーダーとの出会いについてお話します。

実はこの方は、私が前職で常務をしている時に会長をされていた方です。この方はアメリカ出身の方で、大学に行けなかったほど貧しい生まれでしたが、大学に行くために18歳で自ら陸軍に志願し、良い奨学金を取るために非常に努力をされます。結果的に特殊部隊のリーダーまで務め、その後奨学金をもらって大学に進学しアメリカの大手企業に入社するわけですが、2年目で新規事業を立ち上げ、結果的に数年間で五百億円のビジネスにまで育て上げました。

日本には中々いないタイプのリーダーだと思いますが、その後自分自身で独立して、今度は一千億規模の会社を2つ運営され、それを上場したり、他社に売却したりという形でまさに成り上がっていった方です。この方はとにかく頭の回転が速く、ビジネスモデルとキャッシュフロー計算書、財務諸表のようなものが頭の中に出来あがっているような人でした。

例えば、私があるお客様からコールセンターの仕事を取ってきて、1分間当たりの課金額がいくらで、ボーナス体系がどういう形で、コスト構造はどうなっているか、時給はいくら払うのかということを一通り話すと、すぐに「サトシ、それでは営業利益は予定したほどでもないはずだ、ベース契約を2%上げるか、パフォーマンスインセンティブを○○上げてもらえ。そんなこともお前は分からないのか」ということを、Excelシートも何も見ずに言われます。実際に自分のデスクに戻って計算してみると、言われた通りでした。
またこの方は頭がいいだけではなく、ある意味でアメリカから呼ばれて日本の会社を短期間で変えるという使命を帯びてきていますから、必要な時にはいくらでも鬼になるし、どんなに嫌がられてもそれをスルーする「鈍感力」を持ち合わせている人間でした。そういう点では、どちらかと言うと現場の皆さんと向き合い、現場の皆さんの思いをしっかりと実現しながら、お互いに目標を達成しようとするタイプの私とは、ある意味真逆のタイプです。

私は、常に彼から罵声罵倒を浴びるような立場にいましたが、ある意味非常に勉強になりました。例えばどういうことを言われたかというと、「お前の部下は常に不安にさせろ。そうしないと、人は安心をすると楽を始めるし、進化しようとしなくなる。お前がやろうとしているのはリトルリーグの野球みたいなもので、プロ野球、プロのラグビー、プロの世界はそんなものではないんだ。そんなんではメジャーリーグで世界は取れないぞ」と怒られるわけです。
その他にも、例えば「命は取られないよね。俺がいたのは戦場だぞ」と言われていました。それはもうハイハイとしか言いようがないわけですが、彼はビジネスもある意味プロスポーツの試合と同じで、スポーツでは、試合後尊敬し合っても、試合の間では時には騙し合ったり、脅し合ったり、審判の見えない所で様々な心理戦があるということ、もちろんルールは守らなければならないけれども、ルールの範囲の中ではあらゆることがある、それがある意味で勝負の世界。「勝者にならないと敗れ去るのみで、惨めな末路なんだ」と彼から言われるとそういう風に思ってしまいました。
彼はもちろん厳しいですが、一方で誰よりも現場を回りました。現場に対して自分が納得いかないものがあるとすれば、四の五の言わずにこうしなさいと命令するため、皆仕方なく言う通りにすることもありました。すると、結果がきちんと出るわけです。彼が回った後、はじめは不満の声が上がりますが、いつの間にか納得させられてしまっていました。
彼と一緒にオフィスを歩いていると、稀にヤフーニュースを見ている人がいたりします。そうすると、彼は英語で私に「お前こいつに時給いくら払っているんだ」と聞いてきます。私がその質問に答えられないと、非常に叱られました。一人一人の月給や時給がいくらぐらいなのかを把握しておくことは必須でした。ある意味、ビジネスとは株主と債権者からお預かりしたお金でお客様にサービス等を提供して、社員に給料を支払いつつ利益を上げてお返しする、という基本原則を誰よりも徹底していました。その点に関して一切の妥協はなく、安心の上には本当の意味で勝ち続ける組織は出来ないという彼の信念がそこにはあったのではないかと思います。ビジネスを成功に導くための、1つの経営者としての在り方でした。
この方は、会社が見事に上場したら去って行くわけですが、今はどうやら南アメリカの会社で同じようなことをやってると風の噂で聞きました。そういったリーダーというのは、ある意味日本にはなかなかいないかもしれませんが、経営者の1つの像として、我々は頭に入れておいてもいいのではないかと思います。

これまで4回に亘り様々な経営者のお話をしてきました。
どのスタイルでも良いと思います。ただし、自分が決めたスタイルを徹頭徹尾考え抜いてやり抜いてください。そして、経営の道を歩む以上は、経営者になるという固い意志を続けて逃げないでください。もちろん、無理な時には休まなければなりませんが、とにかく逃げないということが経営への道を広げてくれるのではないかなと思います。

分野: 企業家リーダーシップ |スピーカー: 廣瀬 聡

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