QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 幸福・成功のための哲学30空の哲学 (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

幸福・成功のための哲学30空の哲学

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/12/20

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。
 前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

1 空の法則の意義 -続き-
 心の法則の第10は、「空の法則」である。これは、人生で日常的に経験する苦しみをどのように考え、また、それに対応していけばよいのかを示すものであり、消極的な感情としての苦しみは、例えば、台風のように、縁起の法によって確かに一時的に現象として現れているが、それ自体の実体ないし自性はなく、永続的に存続する性質のものではない、ということである。このように、「現象を空と観る」ということは、概念によってそれを固定的な実体として設定しない、ということである。このことを明確に自覚して、消極的な考え方を捨て、常に積極的に生きることが、幸せや成功をもたらすこととなる。

2 苦しみは空
 「空の哲学」においては、この苦しみという「消極的な感情」は、一時的には縁起の法によって、確かに現象として現れているけれども、それ自体は実体ないし自性を持たないものであるということ、つまり苦しみの実相は空相である、ということを明らかにしている。すなわち、そこでは、消極的な感情は、確かに感覚としては一時的に感じるのであるが、それをどのように解釈し、取り扱うのかは、各人に任せられている。例えば、同じ「バカヤロー!」と怒られたとしても、それにどのように反応するは、各人に任されている、ということである。つまり、図表のように、その言葉に感情的に反応し、条件反射的に怒り返すこと(「直接反応型」)もあろうし、また、もし1回怒られるごとに、例えば、10万円ずつもらえる保険契約になっているのであれば、反対に喜ぶかも知れない。すなわち、この消極的な感情をどう処理するかについて、自分に選択権が与えられており、自分でコントロール可能である(「選択対応型」)ということを示している。

図表 外部刺激と反応
happiness30-1.png

 この場合、図表のように、普通の人は、その消極的な感情を非常に大事にし、その感情に引きずられて、それをさらにあれこれ考え、反芻し、拡大し、深く長く悪化させてしまう。すなわち、外部刺激によって生じた感情によって、自律的にコントロールせずに、むしろ他律的に、心が滅茶苦茶にかき乱されて、心が非常に不安定な状態になってしまっているのである。そして、消極的な感情によって、自己のエネルギーが消耗されてしまい、不幸な状態を自ら造り出している。

図表 苦しみからの解放
happiness30-2.png

 他方、消極的な感情は自ら造り出したものであり、図表のように、基本的に自我(エゴ)を捨てるないし自我に基づく執着を捨てれば、消え失せる。または、「消極的な感情は空である」と明確に自覚(「空観法」)し得た賢人は、この消極的な感情は、空すなわち束の間のカゲロウのようなものであり、したがってコントロール可能であり、そのような消極的な感情から自由にならない限り、それに影響され続ける、ということを知っている。

図表 苦の自己処理法
happiness30-3.png

 それゆえ、この感情を大事にせず、つまり関わり合いを付けずに、それに直接反応せずに、自律的に元の積極的で明るい心の状態へと戻せるのである。すなわち、自分の心をかき乱す恐れのある感情から自分の心を解放することによって、消極的な感情を瞬間停電として処理し、心が安定し、穏やかな元の状態に戻してしまえるのである。このような苦しみという消極的な感情のない状態が、心穏やかで心地よい状態である。
 このように、苦しみを克服できるか否かの分岐点(「苦克服の分岐点」)は、苦しみは実体ないし自性を持つものではない、という正しい考え方ができるか否かということと同時に、このような正見に基づいて消極的な感情に対する正しい対処ができるか否かである。このように、自分が、苦しみを自己統制することによって、自分を自分で済度ができることが大切である。なぜならば、どのような見解を取るかによって、感じ方や考え方を変えることができるからである。このように、自分を最も良く救えるのは、他人ではなく、実は自分である。しかも、目の前に現われている現象をマイナス(ネガティブな否定的もの)と解するのか、プラス(ポジテイブな肯定的なもの)と捉えるのかで、因果律に従って、未来の視点からは、その後の人生に大きな影響を及ぼすこととなる。

3 自律と他律
 苦しみとの関連において、「感情の取扱い」について、「自律」と「他律」という二つの考え方ができる。すなわち、一つは、「他律的な考え方」である。すなわち、一般的に、人間は豊かな感情を持ち、喜怒哀楽を自然に表すのが良いといわれている。また、「人間は、感情の動物である」として、自己の好き嫌いに基づき考え、行動する人も少なくない。当人は、外部刺激に対して、自己の感情に素直に従がって自律的に考え、かつ行動している、と思われる。しかし、この状況を静かに深く客観的に分析してみると、全く反対の状況であることが明確になる。すなわち、「外部の状況や刺激に対して、他律的、感情的に反応している」という状態(「直接反応型」・「変温動物型反応」)である。言い換えれば、例えば、怒りという心理状態を少し深く客観的に観察すると、たとえ現実に相手方が悪いとしても、それが自分の意に沿わないために、自分を相手のネガティブな低さまで下げ、自分が怒ってしまったものであり、他律的にマイナスの影響を受けてしまっている自律神経失調症的な状態なのである。そこには、一貫した自己というものが全くない。
 もう一つは、「自律的な考え方」である。すなわち、「毀誉褒貶などの種々の外部刺激に対して、瞬間的に自己統制を正常に働かせ、自己の選択権を有効に行使し、その結果外部刺激に対して直接的に反応しない」(「選択対応型」・「恒温動物型反応」)というものである。これは、たとえてみれば、雨の日も、風の日も、「常に自分の心の中に、晴れの日を持っている」人である。外部刺激には、一切左右されず、自己の信念を伴った正しい判断基準に従って考えかつ行動する、という自律的な人である。言い換えれば、「富士山のように、黙って動かない自律的で安定したものに自分を作り上げている人」のことであり、「自分で自分の機嫌を上手く取れる人のこと」である。このように、たとえ相手が悪意を持って、何かを言ったとしても、それを良い方に善意に解釈し、それに直接反応せずに、自己の選択権を行使し、上手く受け流すことこそが、腹を立てずに、心の平静を保ち続けられるか否かのポイントである。
 そもそも、「外部刺激によって、自分の気持ちを、怒りや悲しみなどの消極的な状態にすることを、本当に本人は望んでいるのか否か」を考えてみれば、答えは明確である。本来だれでもが、外部刺激に関わらず、常に明るく、穏やかな気持ちでいたいはずである。もし本当にそうであるとするならば、外部刺激という他律によらず、克己心と信念に基づき「心の中に常に自分の太陽を持ち続け、自分の機嫌を上手く取って生きる」という自律的な生き方をすることこそが、本来的な姿であることが明確に分かるであろう。

4 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、苦から解放され、幸福に生きるために、「空の哲学」を活用することが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ