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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 幸福・成功のための哲学29空の哲学 (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

幸福・成功のための哲学29空の哲学

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

19/12/19

 松下幸之助・稲盛和夫の哲学においては、「幸福」や「成功」が中心的なものとなっている。
 前者の幸福の例でいえば、例えば、松下幸之助では、「繁栄による平和と幸福」(PHP)の研究のために、周知のように、「PHP研究所」を設立し、様々な活動を行っている。ここでは、幸福とともに繁栄と平和とが掲げられている。他方、稲盛和夫では、京セラの経営理念として、「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」として、物心両面の幸福を中心的なものとして考えている。

1 空の法則の意義 -続き-
 心の法則の第10は、「空の法則」である。これは、人生で日常的に経験する苦しみをどのように考え、また、それに対応していけばよいのかを示すものであり、消極的な感情としての苦しみは、例えば、台風のように、縁起の法によって確かに一時的に現象として現れているが、それ自体の実体ないし自性はなく、永続的に存続する性質のものではない、ということである。このように、「現象を空と観る」ということは、概念によってそれを固定的な実体として設定しない、ということである。このことを明確に自覚して、消極的な考え方を捨て、常に積極的に生きることが、幸せや成功をもたらすこととなる。

2 苦しみの種類
 まず、人生における苦しみには、どのような種類のものがあるのであろうか。
 この「苦しみの種類」には、一般に次のような外的要因の苦しみと内的要因の苦しみに分けることができる。すなわち、「外的要因の苦しみ」とは、西洋的な物質文明で重視されている社会経済的な条件という外的な要因から生じる苦しみのことであり、例えば、衣食住が十分でない、お金が足りない、あるいは地位が高くないなどのものであり、経済的な状況、社会的な地位、能力などから生じるものである。
 他方、「内的要因の苦しみ」とは、東洋的な精神文明で重視されている人間の存在それ自体という内的な要因から生じる苦しみのことであり、一般に「四苦八苦」と呼ばれるものである。これは、その国で一番偉いと考えられる国王や大統領であっても、避けることができない苦しみであり、生老病死という「四苦」に、さらに、愛する人と別れなければならない苦しみ(「愛別離苦」)、例えば、嫌いや憎いなどの理由で、会いたくない人と会わなければならない苦しみ(「怨憎会苦」)、欲しいのに、それが得られない苦しみ(「求不得苦」)及び健康で盛んであるがゆえの苦しみ(「五蘊盛苦」)という四苦を加えたもののことである。

3 苦しみの自己造出
 なお、長く深い瞑想修行などを行うと、悲しみや怒りなどの消極的な感情である苦しみは、実は自分自身の心で造り出していること(「苦しみの自己造出」)に気づくことができる。すなわち、肉体などに付随する欲求である煩悩に満ちた私たちが、多くの場合において、自我(エゴ)の観点から悲しみや怒りなどの苦しみを自ら造り出しているのである。すなわち、通常私たちは、自我の観点から物事を比較し、好きな方を選び、嫌な方を避けようとして、苦しみを自ら作り出しているのである。言い方を変えれば、自我を捨てれば、このような消極的な感情である苦しみは生じないことが多い。それは、「本人」は外部刺激によって悲しみなどを一時的な現象として感じていることは確かであるけれども、そのことに利害のない「他人」はそのようには全く感じないことからも、客観的に説明がつくものである。

4 苦しみの対処法
 この「苦しみの対処法」としては、図表1のように、自己処理法と外部依存法がある。

図表1 苦しみの処理方法
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 ここで「自己処理法」とは、自己の力で苦しみを処理する方法であり、これには、例えば、自己統制法、苦楽包摂法及びその他の方法がある。ここで「自己統制法」とは、自己の意志の力によって苦しみをコントロールしていく方法であり、例えば、空の哲学を理解し、それに基づいて自己統制を行うことである。また、「苦楽包摂法」とは、苦しみをより大きな楽しみで覆うことによって、コントロールする方法であり、具体的には、例えば、仕事が終われば、温泉旅行へ行ける、というような場合である。すなわち、そこに、苦しみより大きな楽しみやインセンティブがある場合である。「その他の方法」としては、種々のものがある。例えば、苦しみを紛らわせるために、泣く、寝る、食べる又はスポーツをするなどの方法がある。例えば、ストレスがあると、過食をして、太る人をよく見かけるが、これはその一例である。
 他方、「外部依存法」とは、自己の力ではなく、外部的なものに依存して苦しみを和らげる方法であり、これには、神仏祈願法、酒薬依存法及びその他の方法がある。ここで「神仏祈願法」とは、神様や仏様にお祈りしたり、お願いすることによって、苦しみを和らげる方法である。これは、例えば、「苦しいときの神頼み」として、日本でも昔から取られてきた伝統的な方法である。また、「酒薬依存法」とは、お酒や薬によって、苦しみを和らげる方法であり、例えば、昔から恋人に振られたときには、深酒をしたり、もっと重症になると薬に頼ったり、という典型的な方法である。「その他の方法」としては、種々のものがある。例えば、苦しみを紛らわせるために、カウンセリングなどを受ける方法である。
 これらのうち、どの方法が一番良いというものはない。幸せになるためには、上述のうちあらゆる方法を用いて、消極的な状況から抜け出すことが重要である。

5 むすび
 成功・幸福のための哲学においては、苦から解放され、幸福に生きるために、「空の哲学」を活用することが大切である。

分野: コーポレートガバナンス 財務会計 |スピーカー: 岩崎勇

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