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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > モチベーションの構造③ X理論Y理論と二要因理論 (コミュニケーション学、リーダーシップ開発、アントレプレナーシップ/松永正樹)

モチベーションの構造③ X理論Y理論と二要因理論

松永正樹 コミュニケーション学、リーダーシップ開発、アントレプレナーシップ

19/11/25

本日はモチベーションに関する理論の中でも『Ⅹ理論Y理論』というフレームワークと、仕事に関する不満と満足を分けて要素分解した『二要因理論』の二つをご紹介します。

条件を整えて適切なインプットすればそれに応じたアウトプット、つまり行動を引き出せるという機械的な見方から転じて、20世紀半ばからは血の通った人間の心理を探ろうという動きが出てきました。この先駆けになったのがX理論とY理論、英語だとTheoryXとTheoryYと言われます。アメリカの心理学者のダグラス・マクレガーが提唱したフレームワークで、「ヒトは元来仕事が嫌いな怠け者であり、働かせるためにはアメとムチを使って管理する必要があるというのが『X理論』。一方、「ヒトは元来創造的なチャレンジャーで、あえて困難な目標を掲げ、その達成のために自由と責任を与えられると最も効果的な仕事を成し遂げる」と考えるのが『Y理論』です。

もちろん、これは分かりやすさを優先した極論で、実際には様々な条件によってヒトはX理論的にもなるしY理論的にもなります。ただ、口ではY理論的な事を言っていても実際はX理論的だったりすると問題があるというふうに考えるといいかと思います。

それまで経営管理というと、ノルマを課して労働者の一挙手一投足を厳しくコントロールするという見方がほとんどで、いわゆるX理論的な思考が支配的だった時代に、「ちょっと待って、人間ってそういうものだっただろうか」と新たな人間観を提示したところにマクレガーの功績があります。

そして、この「ヒトとは、本来どんな生き方、学び方、あるいは働き方を志向するものなのか」という問いは、働き方改革をはじめ、現代でも議論されているテーマではないかと思います。例えば今年の7月に発刊された山口周さんの『ニュータイプの時代』という本では、いまだにX理論的な風潮が強い日本の仕事の仕事観に批判を投げかけ、アートや美意識、創造性といったY理論的な観点を提示しています。皆さんは、あるいは皆さんの上司の方々は、X理論とY理論、どちらの傾向が強いと思われるでしょうか。

こうして人間のモチベーションに対する見方が段々複雑化していくなかで、「人間とはどんな存在か」といった大きな問いではなくて、もっと具体的な構造、個別のファクターが人間の心理にどう作用するのかを明らかにしようとする動きも出てきました。その代表者の1人、フレデリック・ハーズバーグは様々な職種の2,000人近くを対象にした大規模な調査を行い一つの発見をします。それは、「人が働く上で、"不満"をもたらす要因群と"満足"をもたらす要因群は別のものである」言い換えると「就労上の不満を無くせば満足度が高まる、というわけではない」というものでした。

例えば労働条件が悪かったり、上司や同僚との関係が良くなかったり、あるいは会社の方針に理不尽なものを感じたりするとヒトは不満を覚えます。これらは基本的に「苦痛を避けたい」という回避欲求に直結するファクターで、ハーズバーグの理論では「衛生要因」と呼ばれます。衛生要因を改善しなければヒトは不満を抱えて、それがある閾値に達すると心身の不調を訴えたり、離職をしたりします。ただし衛生要因について不満が出ないように様々な条件を改善したとしても、それで必ずしもやる気が高められるとは限りません。不満が無いからといってその仕事に対して満足している、情熱を感じているとは限らないからです。

仕事に対する満足度を高めるのは、仕事の内容そのものにやりがいを感じるか、仕事の進め方や働き方を自分で決められる自由と裁量権が与えられているか、そして仕事ぶり、ひいては自分という存在そのものを価値あるものとして周囲が認めてくれているか、といった承認欲求や達成欲求に繋がる要因群とされています。これらは「動機づけ要因」と呼ばれ、ハーズバーグの理論は「衛生要因」と「動機付け要因」の2つが相まってモチベーションに作用するとしたことから『二要因理論』と呼ばれます。

それまで、「アメとムチで厳しく管理すべきだ」「いや職場の関係性が大事だ」と、抽象的なレベルでの二者択一の議論が中心だったところに、具体的なファクターを取り上げて、それが「不満」と「満足」という二つの異なる方向性のどちらにそれぞれ作用されるのかを示したのが、二要因理論の大きな功績と言えます。これによって例えば「大きな不満はないけれど、何となく仕事に対する情熱を感じられない」といった雰囲気がある職場であれば、衛生要因ではなく動機づけ要因についてテコ入れしようというように、実際のマネジメントにおいても有用な示唆を引き出しやすくなりました。

よくあるパターンとしては、職場でアンケートをとって不満が出てきたので、それについて対処をして、不満が無くなったはずなのにやっぱり社員にはやる気があまり感じられない、言う通りにしたのになぜなんだという事で迷走してしまうようなケースです。

一方でハーズバーグの研究に関しては「満足度を高めれば、本当にそれでモチベーション、ひいては業績が向上するのか」という批判があります。というのも実は、職務満足度と業績はそれほど相関性がない、仕事に満足しているからといって業務上の成果が高いとは限らない、という研究もあるからです。

もちろん満足度が低いよりは高い方が望ましいですし、不満が募って離職率が高まったりすると、特に人手不足が叫ばれる昨今では一大事ですから、今日でも二要因理論の考え方は重要であると個人的には思います。次回はモチベーションについて、もっとダイレクトに探究した研究についてお話します。

今日のまとめ:
今日は2つの見方についてお話をしました。1つめは、「人は怠け者なので管理すべき」というX理論と「人は創造的なので自由を与えなさい」というY理論をセットにしたフレームワーク。もう1つは、人は衛生要因によって不満を感じ、動機付け要因によって満足を感じるとする二要因理論でした。大きな不満はなくてもヒトがやる気を出すとは限らない、職務満足度を高めるには不満の解消だけでは不十分というのが、これらの理論から得られる示唆となります。

分野: リーダーシップ 対人・異文化コミュニケーション論 組織行動 |スピーカー: 松永正樹

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