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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > モチベーションの構造④ 内発的動機づけと外発的動機づけ (コミュニケーション学、リーダーシップ開発、アントレプレナーシップ/松永正樹)

モチベーションの構造④ 内発的動機づけと外発的動機づけ

松永正樹 コミュニケーション学、リーダーシップ開発、アントレプレナーシップ

19/11/26

今日は、ヒトのモチベーションには、自分の内側から沸き起こるものと、外部からの報酬によって影響を受けるものとがあり、そのどちらが強いかによって仕事の成果が左右されるという話をしたいと思います。

よく「仕事の内容がやる気に影響を与える」と言います。仕事を達成することで給料や昇進などの報酬が得られるからではなく、仕事そのものが楽しいからということでモチベーションが高まることを「内発的動機づけ」といいます。これに対して、外部からの金銭的報酬や誰かに褒められる称賛によってモチベーションを高めるのは「外発的動機づけ」と呼ばれます。

取り組むタスクそのものが面白くて好奇心をそそる、創造的でクリエイティブな仕事というのはそれ自体がモチベーションを高めてくれるという理論は、直感的にも納得感があるのではないでしょうか。ここで興味深いのは、もともと内発的動機づけに衝き動かれて取り組んでいた仕事に対して、外部から報酬を与えられると内発的動機が消えてしまう場合がある、ということです。

例えばパズルを使った有名な実験があります。この実験では、参加者にパズルを解くことが求められます。最初はパズルそのものが面白いということで、参加者の多くは、休憩時間にも手を動かすのを止めずにずっとパズルに取り組んでいました。しかし、そこで条件を変えて、今度はパズルを解く度にお金を渡すようにします。すると、ただでさえ面白いパズルで遊べるのに、その上お金まで貰ってラッキーということで参加者は当然喜びます。ですがその後、パズルを解いてもそれ以上お金が貰えないように再度条件が変更されると、最初はあれほど面白がっていたパズルなのに急にやる気をなくしてしまいました。これはどういうことなのでしょうか。

これは「アンダーマイニング効果」と呼ばれています。あるタスクに対して、一旦外発的動機づけがなされるとそれが内発的動機づけを抑え込んでしまう。そして一度抑え込まれた内発的動機を再び呼び起こすのは困難であるというものです。

これをおり身近な例に応用して考えてみましょう。例えば、算数が好きで難しい証明問題の宿題に取り組んでいた子どもがいるとします。そこに良かれと思って親が、「その問題が解けたら、やりたがっていたゲームを今日だけ特別にやっていいよ」と言ってしまう。そうすると、それまで知的好奇心で取り組んでいた問題が違って見えるようになってしまいます。いまや子どもの目標はゲームになり、問題を解くことがそれを得るための手段となっています。一度こうなってしまうと、次に面白そうな問題を見つけた時でも、「どうせ今これをやってもゲームをさせてもらえるわけじゃあないしな」という思いがどうしても頭によぎります。外的な報酬によって内発的動機づけが抑え込まれる、というのはこういうことになります。何か子どもが自発的にやろうとしていたその芽をつんでしまうことになりかねない。もちろん、必ずしもこういうケースばかりではないと思いますが、そういった事もありえるということは心に留め置いてもいいのではないでしょうか。

内発的動機・外発的動機と仕事のパフォーマンスについてもっと面白い研究も色々あり、有名なところではダニエル・ピンクという組織開発コンサルタントの方が分かりやすく詳細を述べたTEDトークがあります。こちら「ダニエル・ピンク」「モチベーション」でワード検索するとよく出てきますのでぜひご覧になってみて下さい。

ピンク氏のTEDトークではまず、クリエイティブな仕事に対しては外発的動機づけがパフォーマンスを阻害する、という発見が紹介されています。例えばパッと見ただけは答えが分からない、創造的なソリューションを編み出さないといけないようなタスクに取り組む場合には、制限時間内に答えを見つけられたら金銭的な報酬を与えます」といった外発的動機づけをされると、それがない場合と比べて圧倒的に成績に悪くなるという事が知られています。

一方で、創造性よりも集中力と効率性を求められるような作業な場合には、逆のパターンが生じます。つまり一見して答えの方向性が明らかで実際それも正しい、あとはどれだけ早く正確に答えを出せるかが問われるようなタスク、例えば計算ドリルなどもそうですが、こういったものの場合は、報酬が高ければ高いほどパフォーマンスが向上するということが知られています。パフォーマンスが向上するというのは沢山のドリルであればよりたくさんの問題を解きますし、長い時間それに取り組むことが出来るというものです。これらをふまえると、どんな仕事でもとにかく内発的動機づけを高めればいいというものではなく、タスクの内容と目的によっては外発的動機づけのほうが有効になる場面もあるということが分かります。

また外発的動機づけそのものについても、それを与えるか否かよりも、どのように与えられるかが重要だということもわかっています。先ほど、「外的な報酬が内発的動機づけを抑え込む」という話をしましたが、外的報酬にはヒトを動機づけてその行動をコントロールするという機能だけではなく、彼女ないし彼が優秀であることを伝えるメッセージとしての機能もあります。例えばスポーツ選手で、お金は十分もっているはずだけれども、契約更改の時にどれだけの評価額を示されるかというのは、自分がどれだけ大切に思われているのか、というアイデンティティも関わる所なので、その意味では外的報酬と内的報酬とが入り混じって作用します。言い換えると、同じ外的報酬を与える時でも、難しいタスクを達成したことへの賞賛の証、またはその人の優秀さを形として示すものであると強調することで、活動そのものに対してその人が感じる意義だとかやりがいをむしろ増幅することも出来るということが分かっています。このように内発的あるいは外発的動機づけは人間心理の奥深い微妙なところを捉えた複雑な理論です。次回はこれらが仕事上のモチベーションと具体的にどう関係するのかについて話をしたいと思います。

今日のまとめ:
内容の面白さに惹かれて、やる気が高まることを内発的動機づけ、外的報酬による場合を外発的動機づけと言います。外的報酬を与えると内発的動機づけが抑え込まれることがあり、それをアンダーマイニング効果と言います。ただ内発的動機づけと外発的動機づけどちらがパフォーマンスを高めるかは、仕事に求められるが創造性なのかそれとも効率性なのかによって異なります。

分野: リーダーシップ 対人・異文化コミュニケーション論 組織行動 |スピーカー: 松永正樹

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