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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > イギリスの総選挙とEU離脱 (企業財務 M&A/村藤功)

イギリスの総選挙とEU離脱

村藤功 企業財務 M&A

19/11/20

今日は、イギリスの総選挙とEUの離脱という話です。2016年6月に国民投票をやって、離脱すると言ってからもう3年以上経っています。離脱通知を出すまでに9か月位経って今年の3月に離脱するはずだったのだけど、10月末に延期されてしまい、10月末にも離脱できなかったという事です。今、来年1月に離脱できるかどうかが問題で、12月に総選挙しようという話になっています。メイさんの時に比べてボリス・ジョンソンが1つ進んだ事は、再交渉をして、アイルランド問題が少し進んだ事です。北アイルランドはEUの規制に従い、北アイルランドというイギリスに属する地域とアイルランドの間で国境管理をしないという点で合意しました。その後、いつEUのルールに従うのを止めるかは北アイルランドで決めるという事で、新合意がまずできたわけです。新合意を今度議会が賛成したのかというと、新合意そのものはまだ賛成していないのだけど、新合意を達成するための関連法案の骨格は承認しました。

ボリス・ジョンソンはそれに従って10月末までに離脱しようと考えていました。しかし、その為の審議を加速させようという動議が否決されてしまい、結局1月まで延期するという事になったわけです。それで、12月12日に総選挙するわけですけど、問題は保守党が過半数を取れるかどうかという点に掛かっているわけです。保守党が過半数をとれると、新合意とそれから新合意を実行するための関連法案を成立させて1月末に離脱することができます。1月末に離脱するということは合意ある離脱なので、2020年末に移行期間は終了します。この移行期間は1年とか2年延ばす可能性があるので、本当に2020年末に完全に移行期間が終了するかどうかは分かりません。2年延長される可能性があるので、ブレグジット党は嫌だと考えています。そのため、ブレグジット党は、ボリス・ジョンソンが決めてきた新合意案に反対です。

仮に、ブレグジット党がボリス・ジョンソンの案に賛成して、皆保守党になるのだったらともかく、ブレグジット党は保守党が前勝ったところは誰も候補者を出さないけど、野党が勝ったところには候補者を出すと言っています。イギリスには労働党と日本と同じ名前の自由民主党(自民党)というのがあるのですが、労働党と自民党の支持者が皆労働党に入れれば、労働党が保守党より多数になる可能性があります。労働党はもう一回EUと交渉したいと考えています。その結果得た労働党案とEUに残る案とを国民投票にもう一回かけるのです。EUは再交渉なんてしないと言っているわけですけども、労働党が言っている労働党案はおそらく関税同盟に残るという話なので、EUが再交渉する可能性もあるでしょう。その結果、新合意と関連法案が1月末までに議会で成立しなければ、1月末に合意なき離脱をするのか、また延期するのかということになります。合意なき離脱や再延期のリスクは消えたわけではないのです。

フランスはこの1月末までの延期がもう最後の延期だと、何回も何回も言っています。イギリスよ、もういい加減にしてくれと何度も言っているのですが、合意なき離脱も皆嫌なので労働党が勝って1月末に離脱できなければまた延期するかもしれません。泥沼のイギリスEU離脱劇場がさらに続くかもしれません。結局、12月の総選挙の結果はどうなるかというのはフィフティ・フィフティで、今、本当にどう転ぶか分かりません。せっかくボリス・ジョンソンが新合意案を作ったのに、10月は離脱できなかったわけです。皆、自分の言いたい事を言っているので、どうなるのかは分からないのです。保守党は、若干、労働党に比べれば優勢ですが、保守党も労働党も言う事がコロコロ変わっています。例えば、保守党のメイさんは、最初は強硬離脱派だったのが選挙で負けたもので穏健離脱派になり、強硬離脱のボリス・ジョンソンが怒ってしまい強硬離脱派を敵に回したわけです。労働党のコービン党首も、最初は穏健離脱派でした。国民投票で決めたのだから離脱だと言っていたのが、EU残留派の議員がどんどん労働党を辞めると言ったので耐えきれなくなり、それなら穏健離脱でなくてEUに残留しますと言い始めたりしているのです。保守党も労働党もずっと同じ主張をしているわけではなくて、訳分からない事になっているのです。だから正直言うと、まだ混乱が続いていて総選挙でスッキリするのかどうかもよく分からないというのが現状です。

ところで、スコットランドとアイルランドが何を言っているか知っていますか? スコットランドはイギリスがもし離脱したら2度目の国民投票をやってスコットランドはEUに残りたいといっています。しかし、北アイルランドはとりあえず国境の管理は無しにして、EUの言う事を聞くようにとボリス・ジョンソンに言われてしまったわけです。だけど、後でEUのルールに従うのを止めたければ止めても良いよとも言われています。そうすると、止めた時にどうなると思いますか? 止めた時には、昔の北と南の戦いがまた復活します。要するに、国境をつくってしまうのか、あるいは北アイルランドのプロテスタントの人達がイギリスと一緒というのは諦めて、アイルランド島で一つの国にしてしまうという事にしてしまうか、の選択です。大きく分けると、国境管理をするか、それともアイルランドを統一してしまうかの2択という、大変な戦いがそこで始まるわけです。

正直に言うと、ボリス・ジョンソンは何かを解決したわけではなく、問題を先送りにしたという状況です。スコットランドとアイルランドも、状況次第でうちもやりたい事があるという事で、これからどうなるかさっぱり分かりません。ご存知のように、EUも体制が変わっています。10月にユンケル委員長やECBのドラギ総裁の任期が切れ、新任のフォン・デア・ライエン委員長とラガルド総裁に代わることになりました。11月末でトゥスク大統領も辞めてシャルル・ミシェル大統領になる予定です。だから、両サイドとも色々揺れているところで、これからどうなるかは12月の総選挙をとりあえず待つしかないという状況ですね。

今日のまとめです。少し進んだように見えるイギリスのEU離脱も、12月12日の総選挙までどうなるかさっぱり分からないという状況です。保守党が過半数を取るか取らないかで状況は変わってきます。保守党が過半数を取れれば、無事に1月末に離脱できるかもしれませんが、過半数をとれないとまた大混乱が続くでしょう。再交渉になるのか、残留になるのか、合意なき離脱になるのか、さっぱり分からないという状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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