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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アントレプレナーシップ教育者向けシンポジウム(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

アントレプレナーシップ教育者向けシンポジウム(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

19/09/05

【今回のまとめ】
・到達すべきゴールが予め明確で、効率よく作業をこなすことを重視するpredictionという行動様式に対して、アントレプレナーシップでは、不確実な環境で、他者と共創しながら予想外の価値を生み出すcreationという行動様式が重視される。

・今回は、アントレプレナーシップの"教育者向け"のシンポジウムに参加したので、その様子について報告したい。
・去る5月27日〜31日の1週間、米国東部、ボストン郊外のバブソン大学で、アントレプレナーシップの教育者向けシンポジウム、Price-Babson SEE(Symposium for Entrepreneurship Educators)が開催されたので参加してきた。実はSEEへの参加は約10年ぶりの2回目で、アントレ教育におけるホットなテーマや最新の教育手法などを学び直したいと考えての参加である。
・バブソン大学は、アントレプレナーシップの教育と研究で、世界でもトップクラスと評価されている。トヨタ自動車社長の豊田章男氏も同大学の卒業生だ。
・今回のシンポジウムは、35年にも渡って継続的に開催されており、約750校もの大学から延べ3,500名以上の大学教育関係者が参加している。今回の参加者は約60名だった。
・内容は、ET&A(アントレプレナーの考えと行動)、教育のエコシステム(ネットワークと他者の巻き込み)、アイデア・ジェネレーション、ビジュアル・プレゼンテーションと試作品づくり、市場機会の発見と市場テスト、ビジネスモデル、成長のマネジメント、顧客エンゲージメント、アントレプレナーシップ教育のビジョンづくりなど多岐に渡り、最後にロケットピッチ(参加者グループが実現したい教育内容をまとめて3分以内で発表して終了となる。
・まず、最初のセッションでは、「あなた達は、なぜシンポジウムに参加したのか?」という問いが投げられた。アントレプレナーシップを"文化"として捉えると、それは地域や国毎に大きく異なり、他の地域のコピーすることは難しい(世界中の国や地域がシリコンバレーを真似しようとするが、同じものは絶対にできない)。そして、起業家が生み出す新しいビジネスは、多くの場合、最初の段階でゴールを正確に描き切ることが困難だ。不確実な状況にあっても、目前にある「機会」をいち早く発見し、そこから思いもよらない方向に発展して大成功を収めるケースが多い。アントレプレナーシップ教育もまた、様々な文化や歴史、地域性などを考慮し、不確実性に対処しながら教育の価値を創造するという点で、事業を創る起業家の状況と似ている。
・セッションでは、自分が幸運だと思っている人は、幸運を呼び寄せる確率が高まる(=幸運を自覚する人は自分にプラスの出来事に気づく能力が高い)という実験結果を引用しながら、如何に目前に存在する「機会」に気づくことが重要かをインストラクターが力説していたのが印象的だった。そして、アントレプレナーとは、「機会」を「現実の価値」へと転換させることができる人材であり、そのためには自分の偏見や専門性にとらわれず、現実を客観的に観察できる能力が求められる。
・また、不確実でゴールもよくわからないところから、他者と共創して予想もしなかった結果を生み出すダイナミズムと教育効果を体験するために、パズルとキルトのワークが行われた(このワークは10年前と同じだった)。このワークは、個々に分かれた部屋にチームメンバーが集められ、時間内にジグソーパズルを完成させるよう指示される。その途中で、少しづつメンバーが他の大部屋に引き抜かれていき、そこではパズルではなく大量の布切れを使って鮮やかなキルトを共同で作り上げる、という内容である。
・そして、ワークの終了後に振り返りを行うのだが、実は、パズルは到達すべきゴールが予め明確で、効率よく作業をこなすことを重視する(prediction=データ→計画→行動)もので、一方のキルトはゴールが決まっておらず、他者と共創しながらどんどん発展させて、予想外の価値を生み出すことを重視する(creation=行動→学習→作り上げる)、という違いがあり、アントレプレナーシップは後者のcreationを重視している。

※今回紹介したcreationという言葉は、以前のこの放送で紹介していたCreActionという用語が、バブソン大学でその後変更されたものです。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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