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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 災害に備える!~近年の防災に関するトピックス~その2 (企業倫理、リスクマネジメント/平野琢)

災害に備える!~近年の防災に関するトピックス~その2

平野琢 企業倫理、リスクマネジメント

19/09/04

今日は防災訓練のあり方について考えていきたいと思います。

皆さんは地域の防災訓練に参加した事はありますか。学校や職場では経験があると思いますが、いかがでしょうか。ラジオを聴いている方もなかなか参加していないとか、そもそも知らなかったという人が多いと思います。国や地方公共団体、自治会では必ず毎年、地震や豪雨などを想定した防災訓練を行っています。しかし内閣府が行った最近の調査では、今までに防災訓練に参加したり見学した経験があるかを質問したところ、参加したことがある、あるいは見学した事があると答えた人の割合は50%に満たない事が明らかになっています。つまり半分以上の人はこれだけ重要だと言われているにも関わらず、地域の防災訓練に参加した事が無いという事になります。

ご存知の通り地域によって発生する災害の種類や傾向というのは大きく異なります。洪水が多い所もあれば火災、地震又は火山など、災害の様相というのはかなり異なります。また産業や人口といった社会的な要素によっても、同じ災害に対してもどのような対策が一番良いかというのは、かなり異なってきます。

近年の防災を研究する防災学では、このような地域の災害特性に合わせた災害対策、これを地域防災といいますが、これが実際の被害を減らすことが指摘されています。そして実は地域防災において地域で行われる防災訓練は重要な要素として指摘されています。それにも関わらず、半数の人が参加していないという現状は改善しなければならないと指摘出来ます。

なぜ地域の防災訓練の参加者が少ないのでしょうか。内閣府で行われた調査や他の同じようなアンケートの調査結果を見てみると、時間が無いとか、日程が合わないというのが一番大きな理由として指摘されています。平日の昼間にやりますよ、と言われても日中仕事をしていたらなかなか参加出来ません。また、防災訓練には半日以上要しますが、多忙な中の休日に行われても、それに予定をとるというのは難しいかもしれないと思います。また、防災訓練がいつ、どこで行われているのか知らなかったという理由も非常に多く見られます。地域の防災訓練が実施されている事の認知度そのものが低いというのも1つの理由として考えられそうです。

対策として、1つは参加を強く求めることが指摘されていますが、この調査をみていると地域の防災訓練に対する参加意識があまり高くないので、そういう意味ではより意識をもってもらうために参加を強く促すというのは1つの方策かもしれません。しかし気を付けないといけないのは、これまでの災害時のコミュニケーションや防災における人々のコミュニケーションを調べた調査研究では、あまり強く防災活動や教育を強化した場合、かえって防災意識が低くなってしまう事が指摘されています。そもそも、人間には態度や行動を決める時に、自由を制限したり、押し付けられてしまうと心理的に反発が生じて無意識的に言われたことをやりたくなくなってしまうという現象があります。簡単に言えば、「何かをやろう」あるいは「やらなきゃ」と思っていても、誰かに「やれ」とか「やりなさい」と言われると何だかやる気が無くなってしまうという事です。これは多くの方に経験があると思います。従ってあまり参加を強く求めたり強制したりする事は逆効果になる可能性が考えられます。

ではどうすればいいのでしょうか。簡単に言えば防災訓練を色々な人が自発的に参加する、または参加したいと思うイベントに変えていく事が重要だと思います。簡単に言うと防災訓練の中に、人が興味を持ったり体験したりしたいという内容を盛り込むこと、または既存の人々が集まるイベントの中に防災訓練を機能を盛り込む事で、自発的な参加者を増やすという方法が考えられます。

例えばある自治体では、防災訓練への参加減少に歯止めをかけるために防災訓練を独立して行う事をやめて、そもそも地域の人々が多く集まる地元のイベント、例えば地域のお祭りなどと一体化させて参加者を増やしたという事例があります。これらの事例ではお祭りの開催場所を災害時の避難場所にしたり、お祭りのイベントの中に防災用品の体験コーナーを盛り込む等の工夫がされ、お祭りに参加すると自然に避難所の経路を覚えたり、防災用品の使い方を学べるようになっています。私もこのようなイベントに参加したのですが参加した子供たちが、「大きな地震があったらお祭りの広場に避難すればいい」と言って覚えていたのがとても印象でした。

また楽しい気持ち、ポジティブな気持ちで覚えられる事も重要になっています。例えば、私の知っている事例では、桜祭りの場所を津波の時の避難場所と指定して、「地震がきたら桜の木の植わっている公園に逃げなさい」、と子供達に分かりやすく教える事によって、ネガティブとか怖いとかいう気持ちを植え付けずに避難場所を教えるというような取り組みをしてる所もあるそうです。

今日のまとめ:
地域によって発生する災害の種類や傾向は異なります。従って地域の状況にあわせて作られた地域の防災訓練の参加者を増加させるという事は非常に重要だと言えます。しかしなかなか地域の防災訓練への参加者は増加しないのが現状です。様々な解決法が考えられますが、参加を強く求めるのでなく防災訓練の中に人々が興味を持つイベントを盛り込んだり、既に存在する、人々が集まるイベントの中に防災訓練の機能を盛り込む事でみんなが参加したい、又は参加しやすい防災訓練を行う事が1つの解決策だと言えるかもしれません。

分野: 企業倫理 経営リスクマネジメント |スピーカー: 平野琢

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