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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アントレプレナーシップ教育者向けシンポジウム(その3) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

アントレプレナーシップ教育者向けシンポジウム(その3)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

19/09/26

・今回も、前回に続いて米国バブソン大学のアントレプレナーシップ教育者向けシンポジウム(SEE)の様子を報告したい。

・約10年前に一度参加したときから、今回は内容もずいぶん変化していた。その一つが、ビジュアル・ランゲージとプロトタイピングのセッションが含まれていたことだ。これは、同大学のキャンパス内に、数年前にワイズマン・ファウンドリーというデザインやモノづくりができる共通スペースが整備されたことも関係している。

・ワイズマン・ファウンドリーは、大きなスタジオや3Dプリンタ、AR/VR関連施設、伝統的な工具類などを備えた工房のようなスペースからなる約1,000平米の施設で、学生たちがアイデアに基づいて協力し、デザインという要素を取り込み、実験しながらモノづくりができる環境が整えられている。

・重要なのは、このファウンドリーでは、バブソン大学(起業家教育が中心)のみならず、隣接するオーリン(工科大学)や近隣のウェルズリー(女子大学)の学生たちがチームを組成して活動できる環境や仕組みが整えられていることである(総称してBOW studentsと呼ばれる)。施設は365日24時間オープンしているのだが、その管理のほとんどは「スカウト」と呼ばれる学生集団に任されている。そして重要なのは、スカウトの構成がバブソン10人、オーリン10人、ウェルズリー10人という具合に、3大学のバランスが維持されるようになっており、異なるバックグラウンドの学生たちが混じり合うような環境が積極的に作られているのである。

・ビジュアル・ランゲージとプロトタイピングのセッションは、このワイズマン・ファウンドリーの会場で行われた。まず、ビジュアル・ランゲージのセッションでは、デザインがプレゼンテーションをなぜ効果的にするのかについての基礎レクチャーが行われた。その後、受講者がグループに分けられ、基礎レクチャーの内容を活かしながら、グループごとに与えられた物語を、限られた道具を用いて、30分でビジュアルの作品を作ってプレゼンテーションする、というものである。

・続くプロトタイピングは、アントレプレナーシップ教育の最も基本であるET&A(アントレプレナーの考えと行動)の「行動」に該当する重要な部分だ。新しい事業アイデアを簡易な方法で形に表現し、ユーザーに示してフィードバックをもらう(=仮説を検証する)ために、「ラピッド・プロトタイピング」や「ダーティー・プロトタイピング」と呼ばれる簡易な試作品作りが必要なのだ。

・特にアイデアの初期段階では、忠実にイメージを形にする必要は全くなく(それが正しいという保証がないのだから・・)、ラフなもので全く構わない。従って、段ボールや廃材、色紙、ガムテープなどを使って製品イメージを形にする。このセッションでも、20分という極めて短い時間で、グループが構想した事業アイデアを形に表現してプレゼンすることが求められた。

・面白いのは、グループ内の意見が全く集約されていない状態で、誰かが手を動かし始めて「こんなイメージかな?」と形を作ると、それをきっかけに「だったらこうしたら良い」とか「もっとここはこんな感じで」といった具合に、徐々にイメージが形作られて発展し、最後はひとつの製品イメージに収斂するプロセスを自分が体験できたことであった。

・これは、第1回目で話したパズルとキルトのワークと共通する。つまり、不確実でゴールもよくわからないところから出発し、他者と共創しながら予想もしなかった結果を生み出すダイナミズムと教育効果が、まさにこのプロトタイピングに含まれているのだ。


【今回のまとめ】
・近年は、アントレプレナーシップ教育にデザインの要素が組み込まれるようになった。自らの考えやコンセプトを表現することによって、アイデアを的確に相手に伝え、フィードバックを得るうえでデザインという要素は重要なのだ。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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