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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 九州の港湾の将来像② (国際経営、国際物流/星野裕志)

九州の港湾の将来像②

星野裕志 国際経営、国際物流

19/08/06

昨日は、産官学の連携でまとめられた九州の発展に貢献する港湾のあり方に関する報告書の話でした。九州にとって港湾は、交流・交易の活性化、地域活力の創造、暮らしの質と防災性の向上といった3つの点で、大変に重要であることを話しました。

この報告書のタイトルは、「KYUSHUコネクトポート構想 2030年に向けた九州管内の港湾施策」というものです。「コネクトポート」というのは聞き慣れない言葉ですが、港が結びつける、結節点としての港の機能ということです。これには、九州と近隣のアジアの諸国や日本全国と結びつけること、九州域内の産業と域外の生産・消費地を繋ぐこと、ひととまちと島を繋ぐことで安心安全な環境に寄与するなどの多くの意味が込められています。 アジアと近いからこそビジネス・チャンスに繋げられ、九州の多くの離島や自然災害のリスクの高さもあるからこそ、特に九州にとっては、港が重要ということです。

昨日もご紹介しましたが、九州にこれだけ多くのクルーズ船が寄港し中国人客が来訪されるのも、韓国の観光客がフェリーや高速船で来られるのも、多くの品目がアジアとのあいだで輸出入されているのも、やはりこの近接性が貢献していて、その結節点になるのが港です。今日は2030年を想定して、九州の成長に寄与する港湾のあり方として、提案された6つの方向性についてお話をしたいと思います。

1つ目は、九州の交易拡大を支えるグローバル・サプライチェーンの構築です。必ずしもアジア各地に近いと言うだけでは、意味を持ちません。むしろ近隣都市との間に、効率的、短時間、そして安定的な海上輸送が確保される必要があります。最近であれば、コールドチェーンといった農作物などを温度管理された状態で輸送するシステムの構築なども含まれます。

2つ目は、近年ドライバーの不足などトラック輸送の問題が深刻化する中で、九州と国内各地を結ぶ大量輸送機関としてのフェリー等の航路網の充実です。環境への配慮を含めて、
ますますトラックからのシフトを進めていく必要があります。

3つ目は、資源・エネルギーのほとんどを海外に依存している日本にとって、バルク貨物=ばら積貨物と言われる石炭や鉄鉱石、あるいは畜産などを支える飼料や穀物の輸入の体制強化です。さらに九州からの木材や完成自動車の輸出も重要な産業であり、港湾施設の充実が不可欠です。

4つ目は、物流機能の強化による港湾の高度化、効率化です。日本の労働力不足に対応し、AIやIoT などの技術革新による生産性の向上は、日本の国際競争力の維持のためには、一層の取り組みが必要となっている分野です。港湾も元来労働集約的であり、どのように省力化しながら高度化していくのかは重要な課題です。

5つ目は、豊かな生活環境の創出と交流の活発化です。中国を中心とするクルーズ事業は、ますます成長しつつあります。今後日本国内でのクルーズ船の寄港地は、現在よりも少し南下しながらもさらに拡大すると言われています。中国発のクルーズにとって、九州は引き続いて魅力的な寄港地となりそうです。また、生活環境の整備という点では、離島の地域経済の維持と活性化も、さらに図られる必要があります。

最後に6番目としては、港湾の災害対応能力や危機管理能力をさらに高めながら、大規模自然災害等への備えといったバックアップ機能の維持と強化が、期待されます。

今後の方向性として6つの港湾機能の強化について説明しましたが、これらの6点の中には、現在でもある程度は満たされているものもあります。ただこれからの10年余りの内に起こりうる環境の変化を考えると、一層の強化が必要になってきます。

1つ目のグローバル・サプライチェーンについて、海外で生産されたものを輸入すること、あるいはこちらから輸出するということは、ますます拡大するのは容易に予想が着きます。そのためには、コンテナ貨物だけでなく、ばら積み貨物などについても、効率的な扱いが求められるようになるでしょうし、先端技術の導入が必要になります。

少子高齢化の進行で、現在の国内輸送のトラックや港湾を担う労働力不足は避けられません。離島の過疎化も進むかもしれませんし、一層の環境対応も必要になるかもしれません。

南海トラフ等の巨大地震の発生の可能性や大規模自然災害への備えも、まだまだ不十分です。そのように考えると、少なくともある程度の予測がつく外部環境の変化を見据えながら、これからの港湾についてどのようにするべきかを考えて、拡充していく必要があるということになります。

昨日、日本全国にある全部で993の港のうち315港が九州にあることをお話しました。ですから、九州にとっては、いろいろな意味で、港湾は重要なインフラストラクチャーです。今後に向けて、しっかりと機能強化をする必要があります。適切に行われれば「機会」として新たな可能性を高めることになる一方で、機能強化を怠れば「脅威」として、近隣の優れた港湾にチャンスを持っていかれることにもなります。今回の報告書は、そのような趣旨からの提言と考えています。

今日のまとめ:
九州の港湾の今後の方向性として、6つの機能の強化について説明しました。一層のグローバル・サプライチェーンの拡大に備えること、フェリー輸送などの大量輸送機関の充実、コンテナと並んでばら積み貨物の取扱施設の強化、物流機能の強化による港湾の高度化と効率化、豊かな生活環境の創出と交流の活発化、港湾の災害対応能力や危機管理能力です。港に求められる重要な役割を十分に認識しながら、必要な対応をすることが、九州の持続的な成長に繋がると考えています。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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