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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ビジネスを学ぶ面白さ③経営とは矛盾との対峙1 (企業家リーダーシップ/廣瀬 聡)

ビジネスを学ぶ面白さ③経営とは矛盾との対峙1

廣瀬 聡 企業家リーダーシップ

19/08/09

「経営とは何か」
今日は「経営とは矛盾との対峙である」というお話です。

私は、今から24年前の1995年にアメリカのビジネススクールを卒業しました。そこで「経営のフレームワーク」など様々な理論を学び、これから日本で活躍できるという自信を持って帰国しました。しかし、帰国後実際に仕事をしてみると、上手くいきませんでした。例えば、売上を上げようと努力をすると「経費の削減はどうしたんだ」と言われ、ニューヨークの本社から「目標達成のために頑張れ」と言われて短期的な結果を出そうと努力すると、今度は「お前は長期的な経営視点が欠けている」と言われるのです。他にも、来年度の経営戦略についてレポートをまとめると「お前は戦略は書くがなぜ戦術を書かないんだ」と言われてしまいます。「経営の定石は集中と選択。集中すべきです」と書くと、裏で「全体感が持てていない」というような言葉が漏れ伝わってきました。自分としては他の人よりも結果を出している(と思っている)にもかかわらず、何故そんなことを言われるのだろうと悩んで真剣に苦しみました。

しかし、何年か葛藤を繰り返していくうちに、徐々に分かってくることがありました。それは、経営はそもそも矛盾と対峙しなければいけないものだということです。経営は多様な人が関わっています。お客さまもいれば社員もいる、株主もいます。外資系企業であれば本社があり、金融界で言えば当局、教育界で言えば文部科学省という形で当局がいる。経営に関わる世界の中ではステークホルダーとして色んな方がいる。こういう複雑性の高い環境の中で何かを決めようとすれば、当然ながら一つの判断軸で判断をすると、結果的には別の所で何らかの犠牲が生まれてしまうわけです。

ビジネススクールの中では、3C、4P、AIDMAなど様々なフレームワークがあり、それらを教えているわけですが、これを現実世界で使って答えを出そうとしても、実はそれだけでは物事は決められません。そして、実際にそれだけで決めてしまってはいけないということに、様々な経験をして年を重ねていくうちに気付くようになっていきました。

人はどうしても無意識の中で物事を分解したり単純化したりしていく習性があると私は思っています。学校で学ぶこともある意味で単純化して、分解して回答しようとしているわけです。しかし、世の中は決してそう単純ではありません。では、そうした中で、何をどういう風に決めなくてはいけないのか。その中で背景的に全体を見る力が求められます。そして、同時に今度は何を体験するかを決めるための判断の拠り所を作っていかなければなりません。そのためには、この会社にとって大切にすべきことは何なのか、或いはステークホルダーの皆さん(社員や、お客さま、株主、経営陣)が、何を体験しているのかに対する理解が非常に大切になってきます。

これを「科学」という世界で解決するよりも、ひょっとしたら時間と空間を超えたアートと言い換えることができるかもしれません。そういった網羅的、体系的、時空を超えた中での判断を最終的に下す。それが経営という世界の深さではないかと思います。
ここまでお話ししてきてわかるように、経営というのは学問として学んで終わりではありません。実際に現場に出てもがいてみないとわからないことがたくさんあります。大切なことは、まず一歩前に出て「学ぶ」ということ、どこでもどういう形でもいいです。それから、「学び続ける」ということです。学びに終わりがあると思ってはいけません。様々な経験を通してまた新しい学びが生まれてくる。私も若い頃は年長者に対して敵対的に「若い人にもっと場所を譲ってくれよ」と思うことがありましたが、今50代中盤、年齢を重ねて分かることは、様々なことを経験することによって人は成熟する。そして、成熟することによって見えてくるものがある。そしてそれによって判断出来ることの深さ、考えられることの広さ、そういったものを学ぶことができます。だからこそ、学びというのは続いていくのではないかと思います。

では、今日のまとめです。
経営の世界は、広くて深くて面白い世界です。2~3年大学院で勉強して分かる世界ではありません。経営の世界こそ、厳しいけれども、長い人生をかけて取り組む価値のある素晴らしい世界ではないかと思っています。スポーツでは出来る年齢が限られていますが、経営という世界は頑張ればいつまでも現役、頑張ればいつまでも記録を目指すことができる、非常に深くて面白くて楽しい世界ではないでしょうか。

分野: 企業家リーダーシップ |スピーカー: 廣瀬 聡

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