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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 印象操作 (産業組織心理学、社会心理学/三上聡美)

印象操作

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

19/07/15

今日は、「印象操作」についてお話します。
 
普段私達は、色んな人と関わりを持って生活をしていますが、関わっている人全てに同じ自分をさらけ出しているわけではありません。出会う人やその場所によって相手に見せる自分の姿を変えています。

仕事の面接の時を思い浮かべてください。
本来ならば、普段の自分の姿を見せるための面接ですから、いつも通り仕事に行く感じで面接に臨めばいいのですが、「面接」となると緊張して普段とは異なるスーツ姿でバシッと決めて、少し背伸びをして、面接官に仕事が出来る人だと思ってもらうためにアピールするのではないでしょうか。
また、別の場所では、仕事が山積みで辛くて仕方がないことを誰かに分かって欲しくて、自分がいかに多くの仕事を抱えて可哀想な人なのかを周りにアピールして、周りの同情を引いたりすることもあるかもしれません。
このように、自分自身にとって望ましい印象を周りに与えようとすること、つまり、自分自身の印象を操作することを「印象操作」と呼びます。心理学では「自己呈示」と呼ぶこともあります。

今回は、この「印象操作」についての実験をご紹介します。
実験は、女子大生を対象に行われました。最初に、実験参加者である女子大生に性格検査を実施してもらい、自分のことをどう思っているかを測定しました。ここで実施された「性格検査」は、「家庭的である」「キャリア志向である」「気配りができる」「優しい」などの項目を5段階評価で測定してもらうもの、その得点によって、「自分はキャリア志向が強いんだな」「気配りが出来るんだな」など自分の性格の傾向を知ることができます。

この性格検査を実施した参加者は、その後AとBの2つのグループに分けられ、隣の部屋にいる男性と話をしてもらいました。男性と話す前に「これが男性のプロフィールです」と男性のプロフィールが手渡されるのですが、グループAとBでは、以下の異なるプロフィールが手渡されました。

Aグループ『隣の部屋にいる男性は身長が高くて頭が良くてあなたと会うのを楽しみにしています』BのBグループ『隣の部屋にいる男性は身長も学歴も普通、彼女がいて、女子学生と話すことに特に興味は持っていません』

Aのグループには、これから会う隣の部屋の男性が魅力的であるように操作され、Bのグループの人には相手があまり魅力的でない男性であるように操作されていました。
男性と話した後、グループAとグループBはさらに半分に分けられ、各グループの半分には、『隣の部屋の男性は家庭的な女性が好みです』と伝えられ、残りの人には、『隣の部屋の男性はキャリア志向の強い女性が好みです』と伝えられました。そして、「相手にあなたのことを知ってもらうため」という名目で、最初に行ってもらった性格検査と同じものをもう一度実施してもらいました。
この実験は、最初に実施してもらった性格検査と、実験によって印象操作された性格検査に違いがあるのかを検討することが目的でした。

魅力的な男性であると伝えられた後に、「家庭的な女性が好み」と伝えられたグループと、「キャリア志向の強い女性が好み」と伝えられたグループ、そして魅力的でないと伝えられた男性との会話の後に「家庭的な女性が好み」と伝えられたグループと、「キャリア志向の強い女性が好み」と伝えられたグループ、に違いは見られたのでしょうか。

実験の結果、「魅力的な男性」と伝えられたAのグループの女性は、相手の好みに合うように自分の性格をアピールすることがわかりました。つまり、「家庭的な女性が好みと伝えられたグループ」は、家庭的な性格であるということをアピールし、「キャリア志向の強い女性が好みと伝えられたグループ」はキャリア志向の強い性格だということをアピールしたことになります。

一方、「魅力を感じない男性」と伝えられたBグループの女性は、特に相手に合わせたアピールをすることはなく、ありのままの自分を見せているという結果になったそうです。
この結果から、人は魅力的な相手の前では、その人に合うように印象操作をするということがわかりました。ちなみに別の実験によって男性も同様の傾向が見られたそうです。

では、今日のまとめです。
人は、相手や状況によって異なる自分を見せています。自分自身にとって望ましい印象を周りに与えようとすること、つまり「自分自身の印象を操作すること」を『印象操作』と呼びます。印象操作は、意識的にも無意識的にも行われています。自分が普段どんな印象操作をしているのか、時にはふり返ってみてはいかがでしょうか。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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