QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 競争戦略:シェアリング・ビジネス(4) (企業戦略、生産管理/目代武史)

競争戦略:シェアリング・ビジネス(4)

目代武史 企業戦略、生産管理

19/07/24

今日はシェアリング・ビジネスが成立する為の条件について話します。シェアリング・ビジネスは世の中に存在する遊休資産を開放して所有者と利用者が共有する事で資産の稼働率を上げ、所有者にとっては利益をもたらし、利用者にとっては利便性をもたらすというビジネスモデルです。「シェアリング」というのは大量生産・大量消費の時代に代わって、世の中にある資産を有効活用していこうというものです。そういった意味では地球環境に優しい経済を実現する潜在力を秘めているとも言えます。ただしシェアリング・ビジネスを実現するためには乗り越えなければならないハードルがいくつかあります。今日はその1つとして、シェアリングの需要と供給をいかにマッチングさせるかという問題を取り上げてみたいと思います。

シェアリング・ビジネスにおいて需要と供給をマッチングさせることの難しさは、以前紹介した中国のシェアバイクの事例にもみることが出来ます。中国の主要都市では数年前から乗り捨て型のレンタルサイクルが非常に人気を集めています。利用者は自分の今いる場所からもっとも近くにある自転車をスマホで検索して利用します。使用した後は好きな場所で鍵をかけ、そこでオンライン決済する、という仕組みになっています。このシェアバイクが利用者に便利なものになるためには、街のいたる所にバイクがあるということ、さらにシェアバイクの所在地がすぐに検索出来る、ということが重要になってきます。これらを実現するために中国のシェアバイク事業者は町中に大量の自転車を配置しています。

もう1つの事例はライドシェアです。ライドシェアリングと言うのは車に乗るという行為を共有するもので、日本では「notteco」というサービスが知られています。例えば博多から鹿児島まで自家用車で運転するという人がいたとします。同じく福岡から鹿児島とか、熊本方面に移動したい人もいるかもしれません。「notteco」というサービスはこういった人達をマッチングして同乗者が高速道路料金や、ガソリン代を折半するという仕組みです。これもライドシェアをしてもいいというドライバーが多ければ多いほどいいわけです。それから色々な方面、例えば博多から鹿児島、博多から北九州などへドライブする人が多ければ多いほどライドシェアの利用者は利用の可能性が広がります。運転者と同乗者がどこからどこへ、いつどういった条件でライドシェアを提供、あるいは利用したいか、ということを簡単に検索できる仕組みが必要になります。この需要と供給のマッチングはシェアリング・ビジネスの中核的な問題です。

従来のビジネスでもいつどこにどのような市場のニーズがどれだけあるかということを把握するのは、とても重要なことです。一方でシェアリング・ビジネスの新しさは、需要者だけではなく、供給者の側もいつどこにどのような資産や能力をどれだけ持っているか、ということがよく分からないという点が実はポイントになります。例えば先程のライドシェアの事例で言うと、福岡から鹿児島方面に行く人が、今どこにどれだけいるかは分かりません。そういった情報を集積し、もし同じ方面に行く人をマッチングすることが出来れば、これはビジネスとして成立するだろうということになります。シェアリング対象となる資産の供給者をどれだけ確保出来るかということが1番目のポイントになります。

2番目にいつどこにどのような市場ニーズ、あるいはどのような資産の供給能力がどれだけあるのかを需要者だけでなく、供給者についても把握する必要があるということです。そのためにはインターネットの普及ということと、スマホという万能の端末が普及したことが重要な役割を果たしています。世の中のどこに何があるかということを「見える化する」ということでシェアリング・ビジネスが可能になりましたし、それが不十分であるとシェアリングも成立しないということになるのです。スマホの普及によってユーザーがサービスを利用するためのハードルが非常に下がったと言えます。

そして3番目に忘れてはいけないことですが、シェアリングに対する需要と供給を物理的に引き合わせることが非常に重要になります。今まで紹介したシェアリング・サービス、例えばシェアバイク、ライドシェア、民泊、スペースシェアリング、色々なものがありますが、これはいずれも物理的資産をシェアリングするというケースがほとんどです。例えば高級ブランドバッグのシェアリングや、ライドシェアのUberは、シェア対象が利用者の方に迎えに行くということになります。一方で利用者がシェア対象の資産に移動していくというパターンもあります。民泊や、Airbnb、シェアバイクはいずれもどちらかが移動していかないと使えません。これが物理的に何かが移動しないと利用出来ないなど、仕組みが不十分だと利用のストレスはとても大きなものになってしまいます。

今日のまとめ:
シェアリング・ビジネスを成立させる為の条件として需要と供給のマッチングがいかに重要かを話しました。シェアリングでは通常のビジネスとは異なって需要側だけではなく供給側もいつどこにどのような資産や能力がどれだけ存在しているのかというのが、なかなか分かりにくいという側面があります。いかにして供給を確保するかが成功の鍵を握ります。さらに需要と供給の情報だけでなく、物理的に需給を引き合わせる工夫も、シェアリング・ビジネスを成功させるための決定的に重要な要因となります。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ