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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 機会費用 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

機会費用

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

19/07/05

今日は今やっていることよりももっと良い方法があるならやり方を変えようという話です。経済学の用語では機会費用と言われます。

マシンの機械ではなくてチャンスという意味の機会のほうの字を書きます。例えば学生のサークルが活動費を稼ぐために学園祭で焼き鳥を売るということを考えてみましょう。学園祭で焼き鳥を一生懸命売ったので3万円儲かりました、一人当たり3,000円の儲けです、と嬉しそうに報告しにくる学生がいますが、これは返答に困ります。真面目に返そうと思うと、「君たち、学園祭で焼き鳥を売るのを止めて焼き鳥屋で3日間アルバイトをしていたら、一人当たり30,000円くらいアルバイト代が稼げたんじゃないかい?」と聞きたいんですが、せっかく笑顔でいる学生をがっかりさせるのもなんですから、まあここは難しい所です。別に儲けるためだけにやっているのではなくて、皆でわいわいやって楽しむことが大事なので。

目くじらを立てるようなことではないのですが、厳しく言うと経済学的にはあまりお勧めできないよね、ということはあります。実際の仕事でも結構そういうことってありまして、例えば駅前商店街で夫婦2人が店番をしている小さなお店があったとします。毎月の利益が20万円です。さあ、この店はずっと続けているべきでしょうか。店を閉じて2人で働きに出れば20万円以上稼げる可能性は高いです。ですから例えば育児や介護をしながら店番をしているという場合は働きに出ることが出来ないので、今の店を続けざるを得ないわけですが、そうでない場合には一度店を閉じて2人で働きに出ようか、ということを考えてみるべきだなと思います。これがもし店が赤字だったら、もう店を閉じようよとすぐ思いつくんですが、学生の焼き鳥屋もそうですが、ちょっと黒字を稼いでいるとなかなか止めようよという発想が出てきません。

でも、もっといい選択肢があるならそっちを選ぶべきです。会社の中でも例えば新規事業を立ち上げようということで、会社の中のエリートばかり集めて新規事業を社長の肝煎りで始めました。その部署が少額の利益しか稼いでいません。そこで社長は「おい、エリートばかりこんなに集めてせっかく新規事業やっているんだからもっと頑張れ。お前ら働きが足りないぞ」とか言って叱咤激励する場合があるでしょう。発想を変えてみましょう。新規事業を諦めてその部署を解散して集まったエリート達を別の部署で働かせれば、エリートたちが稼ぐ金額はもっとずっと多いかもしれません。このように、ちょっとだけ儲かっている場合が一番問題です。新規事業が赤字だったら、「これはちょっと新規事業せっかく立ち上げたけど、やっぱり止めようか」っていう選択肢が頭に浮かびますが、なまじ小幅でも黒字を稼いでいるから止めようかという発想が浮かばないということです。

セールスパーソンが取引先へ行く場合を考えてみましょう。タクシーを使うかバスで行くのかということです。どっちが得でしょうか。普通の会社は部長はタクシーを使い、平社員はバスで行くという会社が多いはずです。それは本当に正しいでしょうか。考え方は2つあります。一つは部長は1時間当たりの給料が高いのでタクシーで移動してもらって長く取引先で働いてもらう。平社員は1時間当たりの給料が安いのでタクシー代がもったいないからバスでゆっくり移動してもらう、という考え方があります。この考え方は半分は正しいですが、満点ではありません。というのは、能力はないけれど年功序列で部長になっている人もいるし、有能だけれど新入社員だから平で給料が安い人もいるからです。1時間でたくさんの契約を出来る優秀なセールスパーソンは部長であっても平社員であっても移動時間を惜しんでタクシーに乗るべきです。でも1時間お客をまわってもほとんど契約が取れないようなあまり優秀でないセールスパーソンは部長であろうと平社員であろうとバスで移動すれば十分です。タクシー代を使うのはもったいない、というのは正しいですが、この場合社内政治のことがありますから、「部長、すみません、能力がないのでバスで行ってください。平社員をタクシーで行かせますから。」とは言い出しにくいです。

私達は与えられた時間を何に使うか決める自由を持っています。集めた資金を何に使うか決める自由も持っています。それらを一から決めるのであれば、一番儲かりそうなことに使うはずです。しかし、今既に何かをやっているときにはそれを止めて別のことを始めたら更に儲かるのではないかと考える人は少ないです。なんとなく今までやってきたことを今後も続けるという人が多いんでしょう。限られた時間や資金を今よりも有効に使える選択肢があるのであれば、そちらを選択しようというのが、機会費用という今日の話の内容です。覚えておくときっと役に立つと思います。

さて、最後はだらだらとゲームや昼寝をしている人に一言申し上げておきましょう。ゲームや昼寝はただだと思っているかもしれませんが、そうではないです。もし、その時間にアルバイトをしていればお金が稼げるかもしれない。その間に英会話の勉強をしていれば将来偉くなって給料がうんと高くなるかもしれない。そのチャンスを棒に振ってゲームや昼寝をしているんですよということに気づくと、ひょっとしてゲームや昼寝を止めてアルバイトしようかな、英会話の勉強しようかなと思う人が出て来るかもしれません。せっかく機会費用という考え方を学んだのですから他のことをやってみようかなと考えてもらえるとうれしいです。

今日のまとめ:
ある行動をするとき、別の行動をすればさらに良いことがあるかもしれないということを考える必要があります。特に少しだけ儲かっているという場合には、別のやり方に変えることも検討してみると良いでしょう。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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