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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 5Gに向けた国際競争 (企業財務 M&A/村藤功)

5Gに向けた国際競争

村藤功 企業財務 M&A

19/07/08

今日は、5Gに向けた国際競争という話をしたいと思うのですけど、AIの蒸留とは何でしょうか? 賢いAIとそうでもないAIを作り、賢いAIは時間をかけて色々勉強させて、賢いAIがそうでもないAIに色々命令するというパターンを作ろうとしています。そうでもない、計算量の少ないAIを色々な所に配置して、賢いAIに不純物を取り除いた最低限必要な命令をださせて最低限の計算で処理させるというやり方が、蒸留というやり方です。AIは色々なことが出来る一方で、感情表現が出来ないとか結論に至るまでの意思決定プロセスが外からわからないといった色々な課題があります。また、AI人材の育成にも問題があります。その為、日本政府は高校からAIの理解に必要な確率・統計だとか行列を学ばせようとしています。大学の学部の後には修士や博士課程があるのですが、AIを専攻する修士を現在は年間2800人ぐらいしか育てていません。これを2025年までに25万人くらいにしたい、つまり大体100倍ぐらいにしたいのです。しかし、これを教える先生がどれ位いるかというと、修士課程で教えられる先生は日本に100人ぐらいしかいないのです。ここがボトルネックになっています。そこで、どこから先生に来てもらおうかということで、インドだとか中国あたりから来ないと、AIを教える教員が不足するだろうという話になっている状況です。

ところで、5Gって何だか知っていますか? 5Gは4Gよりも何が優れているのでしょうか。5Gは超高速で、同時多数接続とか遅延がすごく低いという優れた点があります。ただ、光の速度で進めるのは300キロぐらいであるので、モバイルエッジコンピューティングが有効です。エッジコンピューティングというのはクラウドコンピューティングの逆で、その場で色々処理するという話です。そうすると、その場でカメラで動画を撮ってそれがネットを通して色々流通するという事で、工場の現場なんかでスマート工場を作るというものに使われるのです。NECやパナソニックあたりがスマート工場作りに今入っているところです。

5G半導体とAI半導体って何が違うかですが、AIの為に作った半導体と5Gの為に作った半導体ではけっこう違うのです。AI半導体と言うとエヌビディアのGPUが有名でインテルは今年始めようとしており、クラウド上ではグーグルとかアマゾンが開発中です。5G半導体ということになるとクアルコムとファーウェイしか駄目です。アップルはクアルコムから買うし、インテルは撤退を発表し、エヌビディアもこの分野での存在を聞いたことがありません。そういう意味では、5Gはクアルコムとファーウェイの戦いになっているのです。5G基地局の設置も1万人当たり、中国だと14.1基くらい基地局が導入されているのですけど、アメリカは1万人当たり4.7基くらいです。中国はアメリカの5倍くらい基地局を導入しているのです。6月に4社が5G免許を交付されたところで、これから中国で5Gマーケットが始まるでしょう。2030年までに大体260兆円ぐらいの経済効果があり、2000万人ぐらいの雇用が生み出されるという話になっているところです。

5GのSEP(Standard Essential Patent、標準必須特許)は34%を中国が持っており、中国がダントツに進んでいます。それでアメリカが焦って、中国にやられるわけにはいかない、5GとAIで負けたら将来はどうするのだ、ということで中国のファーウェイ封じに走っているという状況なのですね。アメリカ的に言うと、中国メーカーだけではなくて中国で作っている製品を締め出したいのです。ヨーロッパだとか日本だとか韓国だとか色んな所が中国で作ってアメリカに売ってくるのです。これを25%の関税を掛けて排除しようということで、アメリカ市場向けのサプライチェーンを変えてやれとしています。

しかし、市場はアメリカだけじゃなくて、中国も市場ですよ。昔は中国を工場と言っていたのですけど、世界最大のマーケットになってきたので、アメリカ市場だけを気にしているわけにはいきません。昔は、中国は工場で、中国は作って欧米や日本に売るための場所だったのですけど、最近では中国も市場で最終消費者がそこにいるということになりました。そのため、アメリカの企業も中国市場で売りたいのですよ。この間G20で習近平とトランプ大統領がお話して、関税第4弾をちょっと先送りにすると言ったのですが、その裏にはアメリカ企業が中国で売りたいという事情があるのです。

5Gマーケットは今始まろうとしているところです。二百数十兆円のマーケットが中国にあるので、そこに売らないといけないという事になって、アメリカ企業は中国に売りたくてたまらないのです。とりあえず一社あたり汎用品を1000億円くらいまでにしておこうみたいな話をしているのですけど、すでにアメリカのみが最大の市場だという状況が変わってきています。中国がとても大きな市場を持ってさらに一帯一路で広げつつあるという状況下で、アメリカ市場と中国市場の両方を世界中の企業が捨てられないのです。日本企業もヨーロッパ企業もそうなのですけど、アメリカ企業ですらアメリカ市場の事だけを考えていられないという状況になってきて、話がとても複雑になってきているというのが現状ですね。

今日のまとめです。5Gの導入に向けた国際競争が激しくなってきています。5G基地局では、ファーウェイとノキアとエリクソンという3社の戦いだったのですけど、5G半導体という事になると、今やクアルコムとファーウェイの戦いです。アメリカは5Gにおけるファーウェイとか中国製品の締め出しに必死なわけですけど、中国では5Gの導入で2030年までに260兆円のビジネスチャンスが出てくると見られています。中国外企業、アメリカも含めてアメリカ市場だけではなくて中国市場にも売るということを達成する為に一体どうするのかが問題です。アメリカは関税を使って自分の市場に対するサプライチェーンの再構築に入ろうとしています。それに対して、企業としてはアメリカ市場だけじゃなくて中国市場の両方を何とかしないといけません。しかし、出来ることに制限があるのでどうしたらいいか分からなくなってきているという状況です。

分野: その他 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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