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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ビジネスモデルを創り出そうとしているか? (クリティカル・シンキング/高原康次)

ビジネスモデルを創り出そうとしているか?

高原康次 クリティカル・シンキング

19/06/17

社会起業家を支援する取り組みを行っている観点から「社会起業家入門のポイント」についてお話ししています。これまでに「あなたが心の底から取り組みたいテーマかどうか」「周囲と良い関係性を築くことが出来るか」という2つのポイントをご紹介しました。今日は3つ目のポイント「ビジネスモデルを作り出す」についてのお話です。

社会起業家はボランティアとして当初活動しがちですが、「利益は悪である」という発想を捨てていただきたいと思います。ボランティアで続くのは1年程です。私もNPOでいくつかのプロジェクトを担当してきましたが、夢と現実の中で現実が見えてくるのが1年で、1年を超えて継続してもらうことは難しいです。もちろん、起業家自身は続いていきますが、周りのメンバーが続きません。社会起業家はその時に「気落ちしない」ということが非常に大切です。人が続かないということは、起業家の夢やテーマが否定されているのではなく、単純に食べていく為にはお金が必要だということです。優秀な人には様々な機会があります。そういうものだと思って頂くといいと思います。いくら理念が素晴らしいものあっても、それで食べていけないのであればビジネスとしては成り立ちません。

グロービス経営大学院の特別顧問・特任教授の田坂広志氏が「企業にとって利益とは世の中に貢献したことの証であり、多くの利益を与えられたという事は、その利益を使って更に社会貢献せよということ」ということを述べておられます。利益を出すということに積極になってほしいということです。その為に社会性と事業性を両立させるビジネスモデルを作ることが大切だと思っています。

現実問題としてビジネスモデルを作るということは、社会起業家にとって、最も頭を悩ますテーマの1つだと思います。自民党の2018年5月に出した社会的事業に関する特命委員会の第一次提言の中に、社会通常のテクノロジーベンチャー事業であれば3年程度で出口戦略をとって成長する。一方でソーシャルベンチャーの場合、成功事例を見ても、やっぱり3年の倍以上かかり、この長い時間どう乗りきるのかが大切だということを提言しています。
私はビジネスモデルを作る際に、「誰に、何を、どのように」の3点で考えるようにお伝えしています。
「誰に」とは具体的なお客様の特徴です。年齢、価値観、居住地、性別、職業などです。
「何を」とは想定しているお客様の困りです。
「どのように」とは困り事を解決する為のサービスやプロダクトやツールです。
私が社会取締役で関わっている株式会社manabyでは就労移行支援サービスをやっています。この場合の「誰に」は、障害者の方や働きづらさを感じている方を指します。「何を」は、その方は何が出来て何が出来ないのか、人からどんな助けや配慮が必要なのかを踏まえた上で「自己理解を深める」「仕事で働く為に必要な習慣やスキルを習得すること」「就業機会を得ること」です。「どのように」では、駅近くの通いやすい気持ちのよい教室や自宅で、対話やe learningを用いて学習するというものです。

設計の上でまず大切なことは、お客様の困り事を正しく理解することです。グロービス経営学院のベンチャー戦略プランニングというクラスでは、お客様100人にインタビューをしようということを伝えています。総務省作成「事業計画作成 とベンチャー経営の手引き」の中では、お客様について「2~3時間語り続けられるほど研究し尽くしたのか」と問うています。これは大変ですが非常に大切ですので是非しっかり理解して欲しいと思っています。

社会起業家だとお客様が複数のケースのことがよくあります。社会課題を抱えている当事者でサービスや商品を利用する方を「受益者」と呼ぶことがありますが、受益者の方にサービスを利用する際に支払い余力があるかどうかがポイントになります。もちろん、お金を払えない方にもサービス提供することがあります。その時には補助金や助成金、寄付金など第三者からお金を賄うことになります。助成金や補助金の場合は、法律で制度されて安定的なもの、例えば、制度化されたものとしては「介護保険」や「就労移行支援」、「デイサービス」なのか、それとも、毎年申請を受けて出すか出さないかというものなのかの見極めが必要になります。毎年申請するタイプの助成金は不安定で2、3年助成が終了になるケースが多いです。その後の収入は保証されないため、こうした不安定な助成は計画的に利用して助成が終わった後も継続出来るように経済的に自立するのか、それともこれを政府に制度化してもらってやるのかをしっかり考える必要があります。

そうすると国に制度を作ってもらうためにはどうすればいいのか、という問いがたちます。どうしたら良いのかというと、まずはパイロットケースを成功させるということが大切です。例えば、「小規模保育所」という制度があります。これは2015年に国の認可事業として習得されたのですが、それまでありませんでした。保育所というのは、定員20人以上というのが基本でした。しかし、都心には保育所が足りません。20人を超える保育所を作ろうとしても、場所がありません。そこでソーシャルベンチャーのフローレンスという会社の駒崎代表が20人未満の保育所をある場所に作りました。これでも保育所が成り立つというモデルケースを作り、そのモデルケースを厚生労働省の方に伝えて国の政策にしていきました。その結果として2016年には小規模保育所が約2500ヶ所に拡大し、フローレンス事業としても約10億円程度の収益になっています。制度化したことで国が大きく動いていた事例です。

では、今日のまとめです。
ビジネスモデルをしっかり作っていきましょう。利益は大切です。利益を出すビジネスモデルを作るためには6年くらいの年月がかかります。ビジネスモデルを設計するには、「誰に、何を、どのように」ということがポイントです。その中にも特に、「誰に」の部分の「お客様への提供価値」をしっかり理解する必要があります。ソーシャルのお客様は複数になりやすい特徴があります。受益者のみならず国や地方公共団体が入ってくるケースもあります。制度化するためにはパイロットケースを成功させてください。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 高原康次

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