QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 周囲と良い関係性を築くことができるか? (クリティカル・シンキング/高原康次)

周囲と良い関係性を築くことができるか?

高原康次 クリティカル・シンキング

19/06/10

「社会起業家入門のポイント」についてお話ししています。前回は、「あなたが心の底から取り組みたいテーマかどうか」というのが1つ目のポイントをお話しました。今日は2つ目のポイント「周囲と良い関係性を築く事が出来るか」についてです。

ソーシャルベンチャーでは敵が出来てしまうことがよくあります。
例えば、インドで成功して国連でもスピーチをしたことのあるソーシャルベンチャーを取り上げた映画に「パッドマン」と言うものがあります。インドの村で、男性が女性用の生理ナプキンを作るという内容なのですが、そこで登場する社会起業家は、本当に奥さんのためにと思って一生懸命取り組むのですが、村のタブーにふれることになり、周囲の人から白い目で見られてしまいます。社会起業家は、すぐには認めてもらえないつらい時期があり、一緒にがんばっていける仲間がいるかどうかが非常に重要だと思っています。
良い仲間を集めることができたとしても、その人も強い思いを持っている場合が多いです。この思いの強さが実は仇になることもあります。お互いの言い分を聞くと、各々主張していることは正しいけれども一緒のチームでやっていくとなるとうまくいかなくなる場面がでてきます。思いが強い社会起業家だからこそ心に刻んでほしい言葉として「早く行きたいなら一人で、遠くへ行きたいならみんなで行け」というアフリカの言葉があります。
したがって、遠くへ行くために、リーダー自身が周りを巻き込んでいくことが大切です。前回お話した通り、社会起業のテーマというのは人生の逆境の時期に得るものが多いので、逆境をしっかりと自分自身の言葉で語ること、自分の傷であってもそれを仲間と共有することが大切です。すべてを共有することで絆が深くなります。また、前に進んでいく時に、しっかりとどこに向かって行くのか、ビジョンを描くということも欠かせません。ビジョンを描く時には、左脳で計算高くやるだけではなく、右脳で直感的にやってみるということをぜひ試していただきたいと思います。なぜかというと、ビジョンは壁に向き合う時のエネルギーの源泉になるものであってほしいからです。壁にぶつかってもそこに立ち返って自分たちがやりたいことは何なのか、常に立ち返ることができることが重要です。そのビジョンを経営陣もしくは一緒にやっていきたい仲間と作り上げると、その人たちと一緒に壁を乗り越える力になるので、一緒につくることをお勧めしています。

ビジョンづくりの時のキーワードは、「楽しく」です。楽しく前向きにやっていくと素晴らしいものができる。ポジティブ心理学の研究で、会議の場面で、前向きな気持ちと後ろ向きの気持ちが、6対1の割合を超えると生産的になるという研究成果があります。つまり、楽しくやると生産的になるというわけです。楽しくやるには、場所を変える、音楽を流す、食べ物や飲み物を準備する、体の動きを使うなど様々な方法があります。色々と試してみていただくといいかと思います。

私が関わっていたNPO法人GRAでは、絵を描くという方法をビジョン作りに使っていました。白紙の模造紙を最初に準備し、「これからビジョンを作ろう」と声を掛けます。みんなはじめは戸惑います。そこで、私は最初に隅っこの方にどうでもいい落書きを描きます。とりあえず描き始めるとみんな「描いていいんだ」とどんどん描き始めていきます。それに色を塗ってみたり、あるいは矢印を引いてみたりしていくうちにイメージが湧き上がっていきます。これが人間なのかなと私は思います。

今手元に、ビジョンを描いた実際の絵があるのですが、本当に落書きみたいに「交流事業」とか「ボランティアツアー」、「スタディーツアー」、「毎月実施」、「労働の後のおいしいごはん」など、こういうことをやったらいいのではないかということがアイデアフラッシュでどんどんどんどん書いてあります。「やまもと町の古民家リノベーション」という600万円集めたクラウドファンディングでは、具体的に1つの絵にして、サイトのトップ画面に利用しました。これは海があって、山があって、リノベーションされた古民家があって、そこを中心に色んな人達がバーベキューしたり、音楽を楽しんだり、キャンプファイヤーをしたりという、みんなが集える場所だという楽しい雰囲気がすごく伝わってくる絵になっています。こうやって絵にすることで自分達はこれをやりたい!がんばりたい!ということが分かります。

社会起業家は、ソーシャルコントリビューター(社会的貢献者)と呼ばれていると同時に、ソーシャルディスラプター(既得権益を破壊する人)でもあり、変革で不利益を被る人達を批判して敵として社会から排除しようと分断が起きています。特に、近頃私は、敵と味方で分断する傾向にあることが気になっています。2019年のダボス会議の1コマで、将来自分の職業をAIやロボットに奪われることに危機意識を持っているという発言がありました。日本でもデジタル署名に対しては、はんこ議連が止めようとしていたり、ライドシェアを日本でも可能としようとする動きに対してタクシー運転手の一部の方が経済産業省を取り囲んで反対の声をあげたりしています。こうした事態がいたる所で起きています。不利益を被る人の気持ちにも寄り添いながら、そこは多くの人達、政府、地方公共団体とも連携をしながら、同じ社会に生きる仲間だとして一緒にやっていく、そんな動きをしていく必要があるのではないかと思っています。

では、今日のまとめです。
今日は、良い関係性を築くということの重要性をお話ししました。「早く行きたいなら一人で、遠くへ行きたいならみんなで行け」という言葉を心に刻んでほしいと思っています。そのためには、リーダー自身が自らを語る、ビジョンを描く、敵味方のない共存を目指すことがポイントです。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 高原康次

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ