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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 富裕層消費②レクサスの躍進 (マーケティング/岩下仁)

富裕層消費②レクサスの躍進

岩下仁 マーケティング

19/06/14

今回も富裕層の商品にフォーカスして話を進めたいと思います。実は日本の富裕層、アベノミクス効果で増えています。新しいビジネスチャンスの可能性も色々秘めているわけです。更に富裕層の特徴としまして、一人当たりの消費額が一般の方よりも多いということで、企業としても客数を稼がなくても十分な利益を見込める、こういった利点があります。

今回は日本の富裕層のハートを掴みました、トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」に着目していきたいと思います。日本の高級車市場ですが、最も強いと言われてきたブランドは古くからジャーマン3でした。メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲンといった、ドイツの3ブランドです。これらのドイツ車は高級感に加えまして、長い歴史に裏打ちされた伝統や事故に見舞われても怪我をしない頑丈さが受けて、日本の高級車市場で不動の地位を築き続けてきました。ところが、日本自動車工業界による2018年1~9月の高級車の新車登録台数ランキングを見ると、48000台であったメルセデス・ベンツに続いて、なんとレクサスが43000台となりまして、38000台のフォルクスワーゲン、36000台のBMWを上回り第2位になっているのです。更にJDパワーによる2018年の日本自動車セールス満足度調査では、高級車の中で12年間連続の満足度1位をレクサスはとっています。

やはりこの背景には、レクサスのブランド担当者による様々なマーケティング上の工夫があったようです。トヨタ自動車は1989年にアメリカでレクサスの販売を開始しています。日本でも2005年に販売がスタートしましたが、2008年のリーマンショック、更にはその後の東日本大震災などの影響もありまして、国内外で売上が停滞してしまいました。このような状態で始められたのが、社内カンパニー「レクサスインターナショナル」の創設です。この組織は豊田社長の直轄組織にすることによって、意思決定や予算配分を迅速にしています。レクサスの取り組みには、大きく3つあるようです。

一つ目が「レクサス・ミーツ」です。ミーツというだけ、正に出会いの場の演出をすることですよね。ディーラーで出会うセールスパーソンの方々のスキルが非常に高いのです。セールスパーソンは車の知識だけではなくて、日本のものづくりの原点を学ぶため、メガネのフレームの名産地である福井県鯖江市で眼鏡作りの現場などに足を運んでいます。それだけでなく、ビンテージもののワインやシャンパンの知識も豊富です。ある一人の担当者は「レクサスオーナーはこだわりが深い。蘊蓄を含めて語れることが重要」と言っています。オーナーの方には非常にこだわりがあるので、車周辺の知識も売る側は押さえていないといけないということですね。このように車を単に売り込むだけではなくて、お客さんのちょっとした日々の生活の課題をとりあげながら、一緒に解決していくコンサルタントを目指しているようです。時計やワインの話題などお客さんとのコミュニケーションを頻繁に行い、関係性を深めてブランド力を高めることが狙いで、2016年から開始しています。このようなスキルを擁するセールスパーソンは全国で約160人にまで増えているそうです。

二つ目は、高級ブランドにも関わらず、お客さんの批判に真摯に向き合うという点です。過去にこんなエピソードがあったそうです。新車の販売直後にあるお客さんがデジタルアウターミラーのデザインについて、あまり良くないと批判しました。そこで本社の開発担当者の方がわざわざ店舗まで出向いて、「運転手が違和感の無いように設計を行うとともに、法令等の指示に従った結果として今回のようなデザインになりました」と素直にお伝えしたそうです。高級自動車の開発者がわざわざ店舗まで出向いて消費者と向き合う、こういった取り組みは実に珍しいことだと思います。

三つ目は、ディーラー店舗は従来の内装と違って木目調の高級感のある内装になっている点です。まず220インチの大型モニターを設置しまして、オーナー同士が談話できるスペースを作っています。そこでオーナー同士が知り合いになりまして、新しいビジネスが生まれるといったことがあるそうです。さらにレクサスのメインターゲットである40代以上の方は、非常に仕事も忙しく疲労が溜まりやすい、こういったことに目を向けて、疲労回復のための酸素バーもあります。更にゴルフ好きのユーザーの方も多いということで、彼らの心を捉えるために、ゴルフの試打場なんかも整備されているそうです。

こういったレクサスの販売店は現在全国で168店舗ありますが、約60店舗が今お話したような改装を加えて、様々なサービスをオーナーさんに提供しているそうです。更に、今後は小売企業や外食チェーンとのコラボレーションを図ることによって、これまでにない新しいサービスの提供も検討しているそうです。これからもレクサスの動向、目が離せそうにありませんね。

今日のまとめです。今回は富裕層消費の中でも売上を伸ばしている、高級自動車レクサスを取り上げました。レクサスは他社のやらないユニークな取り組みを幾つも行うことで、富裕層のハートをがっちり掴んでいると言えるでしょう。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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