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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 競争戦略:シェアリング・ビジネス(2) (企業戦略、生産管理/目代武史)

競争戦略:シェアリング・ビジネス(2)

目代武史 企業戦略、生産管理

19/06/11

今日はシェアリング・ビジネスの三つの特徴についてお話したいと思います。シェアリング・ビジネス、あるいはシェアリング・エコノミーとも言いますが、これは世の中の遊休資産を開放して所有者と利用者が共有することで資産の稼働率を上げていこうという新しい経済の動きのことです。シェアリング・ビジネスがどのような点で従来のビジネスと異なるかということを考えてみたいと思います。

第一にシェアリング・ビジネスは経済取引において「所有権の移転を伴わない」ということが特徴です。従来のビジネスでは、商品をお客さんに販売すること、つまり商品の所有権を売り手から買い手に移転することで、その対価として代金を受け取る、というビジネスモデルでした。シェアリング・ビジネスではその商品を利用する機会を提供して、それに対して対価を受け取るという仕組みになっています。例えば車のシェアリング・サービスに「Anyca(エニカ)」というものがあります。これは個人が所有する車を本人が使っていない時間帯に、車を使いたい人に貸し出すというサービスです。このAnycaには様々な所有者が様々な車を登録していますが、ユーザーはその中から条件にあう好みの車を時間単位で借りることができます。ユーザーは買い取るわけではないので購入代金というのは勿論不要ですし、月々の駐車場代とか車両保険などの固定費から開放されます。必要な時に使った分だけの費用を負担すればいいというのがシェアリング・ビジネスの一つの考え方です。私もそうですが、日頃は自転車通勤していますから車は殆ど使っていません。ですから車を少しでも使って頂いて、その分少し代金を頂けるようなことがあると非常に助かります。1週間のうちに週末しか車を使わないという人は、平日は車をそのまま置いておくだけだと、結局同じだけ駐車場代等の維持費がかかるのですから所有者としては当然です。

これ以外にも例えば高級ブランドバッグのシェアリングを提供している「Laxus(ラクサス)」というサービスがあります。これは月定額で高級ブランドバッグを使い放題でレンタルするというサービスです。高級ブランドバッグというものはそうそう沢山所有することは出来ません。ただよく考えると、高級ブランドバッグは持ち歩くからこそ価値があるという側面があります。そう考えるとレンタルの方が色々なバッグを手頃な価格で利用出来てとても嬉しい、ということになります。というわけで、シェアリング・ビジネスというのは所有よりも利用を重視するということが第一の特徴となります。

二つめの特徴ですが、シェアリング・ビジネスによって生み出される価値の源泉は「ストック」にあるという点です。「ストック」とはちょっと聞き慣れない言葉ですが、既に世の中に蓄積された資産のことを言います。お風呂に例えて言うと、蛇口から注がれるお湯はフローです。湯船に溜まったお湯がストックということになります。これをいわゆる我々のビジネスに引き寄せて考えると、通常のビジネスというのはフローをベースにしています。新しく生産した商品とかサービスをお客さんに販売することで商売が成り立っていますが、売上を伸ばそうと思ったら出来るだけ商品を売る、つまりフローを増やすということが必要になります。一方で、シェアリング・ビジネスというのは世の中に蓄積された資産、要はお風呂に溜まった水で、そこから使われていない部分、つまり遊休資産をユーザーに使ってもらうことで収入を得ようというのが特徴です。例えば、日本国内の自動車販売台数は年間大体500万台くらいですが、これはフローということになります。これに対して国内で保有されている自動車の台数、これは7,800万台くらいと言われています。これはストックになるのです。先程の話にありましたように、これらの車が24時間フル活用されているか、というとそんなことは全然ないわけです。1日の内の数時間、あるいは1週間の内の数時間しか使われていない車がかなりあるはずです。シェアリング・ビジネスでは、こうした遊休資産となっている車を、車を必要としている人達に必要な時だけ貸し出して収入を得ようというビジネスモデルになるのです。

最後に三つめの特徴です。三つめはシェアリングされる商品やサービスの提供者と利用者の関係ですが、従来のビジネスでは例えばトヨタや日産など、メーカーが様々な車種を様々なお客さんに販売していました。つまり商品の提供者が1だとすると、お客さんは多数という関係です。いわゆる1対複数という関係です。それに対してシェアリング・ビジネスでは、提供者と利用者の関係は複数対複数になります。つまり利用者も複数だけど提供者も複数いるという状態です。世の中には沢山の遊休状態の車やブランドバッグがありますが、それは全国に散らばっています。もちろん利用者も全国に散らばっています。ですからシェアリング・ビジネスでは全国に散らばっている遊休資産の保有者と利用者をマッチングさせることでその仲介手数料を取ることで商売が成り立っています。利用者に対して十分な数と種類のシェアリング商品を提供するために、シェアリングの事業者は相当なシェアリングの商品とその提供者を確保する必要があります。これがシェアリング・ビジネスを成立させるための重要な必要条件となってくるのです。

(今日のまとめ)
今日はシェアリング・ビジネスの三つの特徴を紹介しました。第一が所有から利用へのシフト、第二がフローよりもストックを重視すること、そして第三の特徴がシェアリング商品の提供者と利用者の関係は複数対複数ということです。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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