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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 大学発技術の商業化方法 その4:ベンチャー・アセスメント(資金調達と資本政策) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

大学発技術の商業化方法 その4:ベンチャー・アセスメント(資金調達と資本政策)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

19/05/28

【今回のまとめ】
・大学発の技術ベンチャーの事業にまつわる全体像を一通り描き切ることは、ベンチャーの不確実性を下げて、経営チームの「心の準備」を促す意味で極めて重要である。それを、学ぶのが「テクノロジー・アセスメント」と「ベンチャー・アセスメント」なのである。

・当面5年程度の財務諸表から、その間の資金需要とその発生タイミングが把握できる。従って、次に行うのは、外部からの資金調達の計画である。
・資金調達は、大きくは投資家からの「出資(=将来のキャピタルゲインを期待)」と、金融機関からの「融資(=元本に利息を付けて返済)」に分けられる。ある程度早期に安定した売上が見込めるローリスクの場合は、金融機関からの融資によって賄うことも可能だ。しかし、大学発の技術にもとづくベンチャー企業の場合、過去の実績もなく、担保となる資産も持たず、一方で、研究開発や製品開発に多額の資金と長期間を要する、といったハイリスクなケースが多いので、ベンチャーキャピタル(VC)などからの投資によって資金調達するケースが多い。VCは、株価の低い段階でベンチャー企業に出資しておき、後にIPO/大手企業に買収される段階で、取得時よりも高い株価で売却してキャピタルゲインを得ることを期待して投資する。
・ベンチャー企業にとって出資を得るメリットとしては、(1)融資と違って返済義務がない、(2)リスクが高くても将来の事業成長が期待できれば多額の資金を調達できる、(3)経験豊富な投資家から経営や事業のアドバイスを得られる、といったことが挙げられる。一方、デメリットとしては、(1)高いリターンを求められる(資本コストが高い)、(2)経営への口出しが増える(出資比率が高い場合は強烈になりがち)、(3)株主への情報開示など事務コストが増加する、といったことが生じうる。
・通常、VCはハイリスクな投資を行うため、投資基準のひとつとして「ハードルレート(=投資するか否かの判断基準となる期待利回り)」を設定しており、シード期やスタートアップ期など創業初期のハードルレートは50〜100%とも言われる。
・VCなど投資家から資金調達するにあたっては、一株あたりの株価を決めなければならないため、企業価値を算定しなければならないが、先程述べたハードルレート(企業価値算定時の「割引率」とも言える)や5年間のキャッシュフローの成長率を参照して、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法などによって、企業価値を算定する(このあたりは、放送内に言葉だけで説明するのが難しいので、興味がある方はぜひ書籍等を読んでみて頂きたい)。
・ただし、既に述べたように、大学発技術にもとづくベンチャーの場合、財務諸表は「仮説の塊」なので、正確な企業価値算定は極めて困難と言わざるを得ない。従って、結局のところ、ベンチャー側と投資家側がお互いに折り合う株価で資金調達が実現することになる。
・また、資金調達計画の策定と同時に、資本政策表を作成しておく必要がある。これは、会社設立時以降、増資のタイミング毎に、誰が、いくらの株価&保有比率で会社を所有しているかを示すものである。外部から資本を得るということは、会社の経営権を切り売りすることでもある。例えば、外部投資家の保有比率が33.3%を超えれば、株主総会の「特別決議(定款変更、事業譲渡、合併、会社分割、株式発行、役員交代)」に拒否権を持てるようになる(経営のコントロールの余地が狭まる)。
・これほど重大な資本政策なのだが、初めて起業する場合、創業メンバーに資本政策の経験がなく、その重要性を十分に理解していない恐れがある一方で、後から時計の針を巻き戻して資本政策をやり直すことは極めて難しい。従って、これまで解説したように、創業5年程度の事業計画/財務諸表/資金調達計画に見合う資本政策を予め想定しておくことが重要となる。
・以上を検討したところで、改めて最初の問いである「会社のタイプ=どのような会社か?」に立ち戻って、その妥当性を確認し、「出口(exit)戦略」を明確化する。「M&A会社」であれば、大手企業との提携のタイミングや売却先企業のイメージを、「IPO会社」であれば、いつ頃IPOを想定し、そのためいつ頃から上場準備に入るかのイメージを持ったうえで、そのexitに向かって戦略的に会社を経営していかねばならない。
・以上、大学発の技術ベンチャーの場合、TM-Fit、会社のタイプ、ビジネスモデル、予想財務諸表、資金調達計画、資本政策表、経営チーム、出口(exit)戦略の全てが連動している。これら全体像を一通り描き切ることが重要なのであり、それによって未来の予見可能性を高め、経営チームの「心の準備」を促すことができる。それを、「テクノロジー・アセスメント」と「ベンチャー・アセスメント」で実践的に学ぶことができるのである。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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