QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 大学発技術の商業化方法 その3:ベンチャー・アセスメント(財務諸表と経営チーム) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

大学発技術の商業化方法 その3:ベンチャー・アセスメント(財務諸表と経営チーム)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

19/05/27

【今回のまとめ】
・ベンチャーの事業計画にまつわる人・モノ・カネの動きが相互に関連し全体像として現れてくるのが財務諸表である。ただし、それは「仮説の塊」なので、仮説検証を粘り強く、かつ高速で繰り返して事業を成長軌道に載せる経営チームの質が重要である。

・ビジネスモデルをある程度はっきりさせたら、それに基づいて5年程度の売上予測と必要コスト(売上原価、販売管理費、等)と利益を算出した財務諸表を作成する。技術系ベンチャーの場合、当面数年間は研究開発費がかさむことが多いので、製品の発売まで、何年程度の研究開発/製品開発を要するかを想定する必要がある。
・また、製品の発売を始める段階で発生する製造コストの見積りも重要な要素だ。ベンチャーの場合、最初から自社で製造設備を保有することは困難なため、製造を外部委託するか、もしくは製造設備を持つ企業と提携しなければならない。ちなみにAppleは、いまだに自社の製造設備を全く保有しないまま、世界最大規模の企業価値にまで成長している。全世界で最適な調達先を常に探索しておき、自社製品の品質やコストの目標に適合的な企業にアウトソースすることで、優位性を保っている。ただ、アウトソースの際には、自社の技術ノウハウの流出には十分に注意しなければならない(特に技術ベンチャーの場合は、そこが最大の経営資源なので)。また、いずれ製造設備を自社が保有する場合は、その時期や規模も見積もっておく必要がある。
・製造コストに加えて、人件費も大きなコスト項目だ。当面、どのような研究・製品開発/営業・マーケティング/バックオフィス業務・・等々が必要で、それにどの程度の人員が必要かを想定して人員計画を立て、それに基づいて人件費総額を見積もる。多くのベンチャー企業はキャッシュが潤沢ではないため、経営者や従業員に、月々の給与を低く設定せざるをえないため、報酬としてストックオプション(新株予約券)を付与するケースも多い。
・以上から、当面5年程度の人・モノ・カネの動きが相互に関連した全体像が見えてくる。この財務諸表の作成は、全て定量的に数値で行わなければならないが、起業前後のベンチャーの場合、当然ながら不確実な要素が多く、精緻な定量化は困難である。結論からいうと、その段階で可能な限り論理的に数字を当てはめていくしかなく、それが出来ない箇所は、とりあえず何らかの根拠(ヘリクツ)によって数字の「仮置き(仮説)」を行い、その仮説を、実際に行動しながら確証が持てるレベルまで詰めるほかない。ベンチャーの事業計画は、所詮「仮説の塊」なので、その仮説を根気よく検証して不確実性を縮減させながら、自社が進むべき正しい道を見出して事業を軌道に乗せる「行動」こそが重要となる。MITのアントレプレナーシップ・センターのBill Aulet教授は、"Idea is worthless, execution is worth.(アイデア自体に価値はない。行動にこそ価値がある)"という言葉を、学生たちに対して口を酸っぱくして何度も語りかけている。
・この仮説検証を担うのが「経営チーム」だ。投資家には、アーリーステージにあるベンチャー企業の事業計画の信憑性は検証が困難であり、どのみち途中で計画がゴロゴロ変わるので、経営チームのメンバーを見て投資を決めるほうが合理的との意見も多い。事業に必要な経験やスキルを持っているか、不足する経験やスキルを補い合えるチーム構成となっているか、チーム全体が情熱を持ち、机上の空論ではなく「実行」を重視して現実を直視できるか、不確実な事象に寛容に対応しながら、仮説検証を粘り強く、かつ高速で繰り返して事業を成長軌道に載せられるか、といったことが経営チームに求められる。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ