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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 近年の空港における取り組み (マーケティング/岩下仁)

近年の空港における取り組み

岩下仁 マーケティング

19/05/09

これまで、コモディティ化市場のマーケティング戦略で話を進めています。メーカーにせよサービス企業にせよ、ユニークな取組みや新たな論理を自社ビジネスに展開することで、きらりと光る新製品・新サービスを開発しています。近年では、メーカーやサービスといった代表的な組織だけでなく、流通企業も様々な工夫をしているようです。流通業というとまず真っ先に思い浮かぶのはスーパーマーケットやコンビニエンスストアといった業態が上げられると思います。

ここで1つ質問です。ショッピングセンターで日本最大の売上げを誇る組織はどこだと思いますか? ショッピングセンターで日本最大というと、郊外にあるような大きなモールかなと思いますが、実は成田国際空港なのです。ちょっと意外ですよね? 2017年度の数字ですが、商業施設のみの売上高は1246億円と5年間で2倍になっています。繊研新聞の調査によりますと、日本のショッピングセンターで年間売上高1000億円を超えるのは成田国際空港だけだそうです。そこで今回は、大躍進を続ける成田国際空港におけるユニークな売り場作りについて見ていきたいと思います。

成田国際空港の中にはお土産屋さんや飲食店など実に317店舗のショップがあります。ライバルである羽田国際空港の出店数は302店で、成田空港が出店数では日本一になります。5年間で旅客数の伸び率は20%程度だったそうですが、全体の売上高はなんと2倍になっているのです。つまり、旅客数に比例していないということで、1人のお客さん当たりの売上高が上昇しているということが分かると思います。

成功要因の1つ目は、高い単価を要するラグジュアリーブランドを充実させた点です。2017年11月の「ボッテガ・ヴェネタ」に続き、2018年4月には、「グッチ」の新型店も開店しています。この免税店の充実はインバウンド需要による爆買いもうまく捉えていると言えます。成功要因の2つ目は、新しいものを取り入れる際のスピードの早さです。他の空港商業施設大手幹部も新しいものを取り入れるスピードが成田国際空港は非常に速い、立地だけの殿様商売をしているわけではない、と認めているほどです。2018年は東証一部上場で年間売上高約200億円を誇る大手美容機器メーカー「ヤーマン」の人気美容ブランド「YAMAN」と「FOREO」のポップアップストアも開店しています。

ヤーマンというとひげ剃りで有名なメーカーですよね。僕ももちろん非常に身近なのですが、こちらのヤーマンさんのブランドがいくつもショップを開いているということになります。第1ターミナルの人通りの多い三叉路にこれらの店が開店しています。実は企画から開店までの期間は約1ヶ月という短さです。ある20代の女性は、いつ来ても新しい店、新しい製品に出会える気がしてワクワクすると話しています。さらに出店場所にも工夫しているのです。このようなポップアップストアの場所は、従来、出国審査前の一般エリアが中心だったわけですが、最近は出国審査後のエリアに積極出店しています。審査後から出発までの消費者の隙間時間を上手くとらえたわけです。

成功要因の3つ目は、商業施設で特に意識されている希少価値です。2018年8月に第1ターミナルの新エリアにオープンしたのは江崎グリコの直営店です。ここでは、例えば、「ポッキープルミエール」という24本600円の高級ポッキーが売られています。成田国際空港の限定商品でありまして、日本最高級のポッキーです。

成功要因の4つ目は、空港内ではないのですが、空港の外で行ったユニークな取組みとして、コト消費への対応があります。コト消費というのは、消費者の方々が購買の目的を経験に求める消費を言います。あるマレーシア人の男性は、香港での乗り継ぎ予定だったのをわざわざ成田国際空港に変更したそうです。この理由は成田国際空港の関連会社が主催する観光ツアーにありました。ツアーの内容には成田山新勝寺を巡るものから味噌作りやおにぎり作りなど、豊富なラインナップをそろえています。この男性が他に検討した空港は、韓国のインチョン空港やシンガポールのチャンギ空港だったそうです。どちらも観光客に大人気の空港ですから、成田空港もこれに負けていないということですよね。

このような成田国際空港が様々な取組みをして集客に力を入れているのは、空港使用料の伸び悩みがあります。LCCの就航増加や着陸料の引き下げで、2017年度の全社の売上高は2312億円と2016年度の5%程度増に留まっています。成田国際空港は今後も商業施設をさらに充実させる必要があります。

今日のまとめです。今回は、ショッピングセンターで日本一の売上げを誇る成田国際空港を取り上げました。空港のような施設は従来では殿様商売の色彩が強く、マーケティング的な取組みはされてきませんでした。しかしながら、今日では空港使用料の伸び悩みや着陸料の引き下げで売上高が伸び悩む中、非航空収入の増加が必須課題です。その結果として、国内外の旅行客を引きつけるユニークな取組みがいくつも出てきていると思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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