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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 大学発技術の商業化方法 その1:テクノロジー・アセスメント

大学発技術の商業化方法 その1:テクノロジー・アセスメント

19/05/22

・大学で生まれた科学技術の商業化プランの立案を、教育の場で行う動きが世界的にも広がっており、テキサス大学オースチン校やMIT(マサチューセッツ工科大学)、スウェーデンのチャルマース工科大学などがよく知られている。
・QBSの高田の講義「産学連携マネジメント」で、このような教育プログラムに取り組んでおり、今回は,そのプログラムの内容を解説したい。
・教育プログラムの前半「テクノロジー・アセスメント」では、大学で生まれた科学技術を、どのような市場で実用化できそうかを見出すことを目的としている。そのために、まず、研究成果を生み出した大学教員へのインタビューを行い、その技術の特性や実用化できそうな分野を理解するとともに、潜在的な市場機会を幅広く探索する。
・技術の特性を把握したら、企業の開発担当者や専門家に、その特性を伝えながらインタビューを繰り返し、その分野で何が課題となっているのか、そのためにどのような「打ち手」が用いられているのか、それでもなお解決出来ていない課題(真のニーズ)は何か、といったことをできるだけ具体的に把握する。最初は対象市場を広めに設定しながら、徐々に深く市場ニーズを掘り下げて、参入可能な市場セグメントを洗い出し、複数のセグメントを対象に優先順位づけを行って、最初に参入すべき市場を特定する。
・ここで注意すべき点は、「この技術は、あれも出来ます!これも出来ます!」と八方美人に陥らないようにすることだ。将来的には、複数の市場セグメントに参入できる可能性があったとしても、まず、小さくても有望な市場(ビーチヘッド=足がかり市場と呼ぶ)を特定し、その市場にどうやって参入するかを具体的に考えなければならない。特に、アーリー段階の科学技術は、完成度という面で不確実性が高く(技術的に、本当に実現できるとは言い切れない)、また、市場ニーズも真に明確化されているとは言い難い(顧客が本当に対価を払ってでも購入してくれるとは言い切れない)ので、たとえ小さくても勝てそうな(事業が成立しそうな)市場で実証することが大切になる。最初の足がかり市場で勝てれば、隣〜さらに隣のセグメントへと市場拡大を図ればよい。
・市場規模の捉え方として、近年ではTAM、SAM、SOM、という用語がしばしば用いられる。TAMとはTotal Addressable Marketの略で、対象市場全体を大きく捉えたものを指す。例えば、ラーメン店ビジネスの場合、全てのラーメン関連の総市場規模を指す。続くSAMは、Serviceable Addressable Marketの略で、自社が参入しようとする特定市場の市場規模を指す。ラーメン店市場のセグメントを分解すると、味噌、醤油、豚骨・・といった分類もあるし、店舗運営、製麺、機械・・といった分類、あるいは地域別のセグメント分類もありうる。自社として、どのセグメントに参入するかを決める必要があり、その規模がSAMである。最後のSOMは、Serviceable Obtainable Marketの略で、特定して絞り込んだSAMにおいて、自社がどれだけのシェアを獲得できるかを指す。ここまで検討すると、自社がターゲットとする市場規模や売上規模について、かなり具体的にイメージできるようになる(逆に、ここまで具体化しないと、事業をスタート出来ない)。
・また、参入すべき市場を探索する過程で、技術の特性(技術スペックなど)を市場(顧客)の恩恵に置き換えることが重要になる。例えば、テレビの4Kや8Kを例にとるとわかりやすい。家電量販店で、「このテレビは4Kですよ!」と言われただけ(技術の特性を告げられただけ)では、それがどれほど価値を持つものなのか、消費者はピンと来ない。従って、例えば「週末の明るいリビングで、今までのテレビとは全く違った次元の迫力とスピード感のハリウッド映画を、家族みんなで楽しめる」という具合に、技術の特性を顧客の恩恵に置き換えることが不可欠なのだ。
・これは、新規事業開発においてPM-Fit(プロダクト・マーケット・フィット)と呼ばれるが、大学発技術の場合はプロダクトがまだ存在しないので、TM-Fit(テクノロジー・マーケット・フィット)と呼ぶほうが適切だろう。このTM-Fitを、専門家インタビューを通じて検証することが重要なのだ。
・最初に参入すべき市場が特定できたら、その市場を念頭に置いたプロトタイプ(試作品)づくりや、必要となる技術開発を検討する。それらを総合的に勘案して、大学発技術による事業可能性を評価する。これが、「テクノロジー・アセスメント」の全体像である。
【今日のまとめ】
・大学発技術の商業化の可能性を検証する「テクノロジー・アセスメント」では、技術と市場ニーズの適合性、すなわちTM-Fit(テクノロジー・マーケット・フィット)を、専門家インタビューを通じて検証することが重要なのだ。

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