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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ESG投資とは? (企業倫理、リスクマネジメント/平野琢)

ESG投資とは?

平野琢 企業倫理、リスクマネジメント

19/05/20

今日は、近年話題になってきたESG投資について解説していきたいと思います。もし自分が株式投資をするならば、企業のどのような情報が知りたいでしょうか。企業の売り上げや利益がどのくらい出ているのか、成長が見込めるのか等を調べるかと思います。一般的な投資では、企業がどれだけ儲けているか利益率や売上高など、一般的には「財務情報」と言いますが、これらを見る事が非常に多いと考えられます。ただし最近の投資では、こういう財務情報だけではなくて、企業の社会貢献の実態や環境への取り組みもかなり見るようになってきています。それが今日のテーマのESG投資の取り掛かりです。

ESGとは、環境のE=Environment、社会のS=Social、G=Governance つまり企業の健全な育成・組織運営のそれぞれの頭文字をとってESGとして、環境・社会・ガバナンスの3要素の総称として捉えられています。ESG投資では、企業の財務情報だけではなく、その企業の環境に対する取り組みや社会貢献活動の実態、そして健全な組織運営をしているかどうかという情報を投資判断の根拠として用いる投資手法になります。今までの投資と同じなのですが、企業のどこを見るか、という点が違ってきます。

どうしてESGが投資の根拠になるのでしょうか。一言で言えば、従来の財務諸表では見えない、環境・社会・組織運営のリスクが企業経営や投資家を脅かすようになってきたからと言えます。例えば、2015年に地球温暖化対策の国際的枠組みである、パリ協定が採択された時、二酸化炭素への企業の配慮が、企業の利益に直結していきました。二酸化炭素排出に配慮していない企業は様々なペナルティーや新しい投資を求められる事によって、かなり大きな損失を出しました。また近年、日本の製造業で行なわれたデータ改竄等の不祥事の問題は、財務諸表にはデータ改竄をしているかどうかなど表れませんが、一度明るみに出た時、企業は大きな損失を出すとともに、投資家にとっても非常に大きな損失となりました。このような理由から、ESGの観点から投資先を判断するという事が企業の株主である機関投資家の間で急速に広がってきているのです。

世界のESGの投資額を集計している国際団体(GSIA)=Global Sustainable Investment Allianceという組織が2年に1度発表している、ESG投資の統計報告書を見てみると、2014年~2016年までのたった2年間で世界全体のESG投資額は、25.2%増加し、その総額は22兆8,900億米ドル(2,541兆円)になっています。年平均11.9%程度の成長をしているので、かなり規模が拡大していると言えるでしょう。また2018年にヨーロッパの研究者によって発表された研究によれば、主流な投資家のおよそ82%が投資の意志決定において、このようなESGの情報を考慮していると答えています。そして注目すべき点は、ESGを考慮する理由として、半分以上が「ESGの情報が投資の実質的な成果に影響するから」と答えている点です。

これまで企業の社会的貢献や環境配慮などの取り組みを投資判断として用いてきた投資はいくつかあったのですが、それらは基本的に企業の倫理的な行動を促進させるなど、倫理的な理由から投資がなされている事が多かったのです。ただし、ESG投資への主なモチベーションは投資成果、つまり実質的な利益であり、いかに現代企業にとって環境や社会そして健全な組織育成が企業成長にとって重要になってきたかということを示していると考えられます。これまで、環境・社会の取り組みは企業の慈善的な活動として捉えられ、企業の成長や収益とはある意味切り離されたと考えられてきた現状を考えると、これは大きな変化と言えるのではないでしょうか。

世界的には年々拡大しているESG投資ですが、日本ではどうでしょうか。実は日本でも2014年以降、ESG投資の基盤整備が大変進みました。結論を言えば、投資額が大変増えています。NPO法人である日本サステナブル投資白書によれば、2015年にはESGの投資残高は、26兆円にのぼりました。それがさらに拡大して2017年では、135兆円ほどになっていると言われています。世界的に見るとESG投資が日本で取り組まれたのは、まだちょっと遅まきという感がありますが、今後はどんどん拡大していくという事が予想されています。

このESG投資は個人でも出来ます。現在、様々な企業が世界的なESG投資の増加に伴って、自社でやっている社会問題への取り組みや環境配慮、健全な組織育成についての情報開示を進めてきています。これらの情報開示を見てそれを投資判断根拠として投資する事は、明日からでも始められるESG投資と言えます。

(今日のまとめ)
ESG投資とは、企業の環境=Environment、社会=Social、健全な組織育成への取り組み=Governance を投資判断根拠として用いる投資手法の事です。環境・社会・ガバナンスへの適切な取り組みは企業の持続的な成長をもたらすため、国内外の投資家の間でESG投資は急速に広がっています。また、新しい個人投資のスタイルとしても徐々に浸透しつつあります。

分野: 企業倫理 経営リスクマネジメント |スピーカー: 平野琢

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