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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 100円ショップにおけるヒット製品の秘密 (マーケティング/岩下仁)

100円ショップにおけるヒット製品の秘密

岩下仁 マーケティング

19/05/08

これまで、コモディティ化市場のマーケティング戦略という事で話を進めています。コモディティ化市場とは、製品自体の差がなく、その結果、値段でしか差別化が出来なくなってしまった市場を示します。しかしそんな厳しい状況の中でもデザインやパッケージを工夫したり、富裕層をターゲットにしたりと新しいマーケティングの視点や論理が登場しまして、キラリと光る製品、あるいはサービスが着実に生まれています。とりわけリーマンショックや東日本大震災などではデフレーション、つまり物価や賃金が上昇しない状況に陥りまして、消費者の厳しいお財布事情にやさしいビジネスが拡大しています。

今日は、その中でも特に100円ショップにスポットを当ててお話を進めていきたいと思います。日経MJによりますと、100円ショップの大手である、ダイソー産業・セリア・キャンドゥ・ワッツの4社の2017年度の総売上高は、約730億円で5年前からなんと35%も増加したそうです。最近の100円ショップと言えば、お菓子や文具だけではなくて、DIY用品・アイディアキッチングッズ・お掃除グッズなど工夫をこらした製品や、ハロウィン・バレンタインデー・クリスマスなど行事毎の旬の製品など、種類も本当に豊富です。

100円ショップは本当に楽しいですよね、いるだけで衝動買いをしてしまう、そういった非常に楽しいお店だと思います。ただ、こういった製品を作っているのは、基本的に中堅・中小のメーカーであって、これらのメーカーさんがダイソーやセリアに企画を売り込み、通ったものだけが商品化されるわけです。となりますと、こういったメーカーにこそヒット製品開発の秘密があるのではないでしょうか? そこで今回は、100円ショップを躍進させる中堅・中小のメーカーのヒット術を探ってみます。

1つ目は、和歌山県の小久保工業所が開発した「オキシウォッシュ酵素系漂白剤」です。小久保工業所が100円ショップ向けにこの製品を発売したきっかけは、取引先の100円ショップの幹部からの、「自分の妻が大容量のオキシ漂白剤を買い込むのだけど使いきれない、少量でいいから100円で作れないだろうか」という一言にあったそうです。そこで小久保工業所の製品開発部の方々は、成分を工夫して洗浄力を高めて、100円ショップ向けの少量サイズを開発しました。さらに生産開発と並行して、宝島社とコラボレーションをして2018年8月にムック本「オキシウォッシュで家まるごとピカピカ!」を発売し、発売から数万冊を売り上げたそうです。さらに昨年末の12月、ムック本の第2弾「感動の汚れ落ち!オキシ漬け スタートBOOK」も出版しています。平成最後の大掃除の12月には、ムック本の売り出しにより認知度が高まったオキシウォッシュの売り上げが伸びたため、生産量を一気に3倍にまで増やしたそうです。

元々は、オキシ漂白剤というのは大容量しかなく、100円ショップの方が100円で少量のオキシ漂白剤を作ってくれないかという提案で作ったものだけれども、やはり認知度が大事だという事で、小久保工業所は本を出したという事なのです。うまく出版社とタイアップを図って知名度を高めたわけです。小久保社長は、出版社との協業は、お客さんに指名買いにしてもらえるようになるためのブランディングの一環と言っています。実際ムック本で認知度を高めたことで、100円ショップの売り上げも伸びたそうです。

2つ目は物作りの街、新潟県つばめ三条のエコー金属が開発した、レンジフードフックです。換気扇を覆うレンジフードの縁にかけて、お玉やしゃもじなど調理器具を4本ぶら下げられるフックです。100円ショップだと、通常月1万個以上でヒット製品と言われていますが、この製品は100円ショップで、なんと、およそ8万個も売れているのです。この人気の秘密はずばりデザインです。白や茶色の塗装を施しまして、ザラザラの手触りに仕上げています。これによって、新品なのに使い古されているような、レトロ感をうまく醸し出してヒットにつながりました。こういうフックというのは、確かによく100円ショップで見かけます。ただそのデザインがすごくいいという事がヒットにつながったわけです。うまく差別化のポイントをデザインに見いだして付加価値をつけてあげた、一方で、値段は100円という事です。

この他にもエコー金属の製品は、国内外で仕入れたこれまでの製品に独自のデザインを加えたものが多くなっています。田野社長は、形や色など消費者の好みのトレンドを把握し、製品を100円以上の価値にあるように見せると話しています。100円ショップの客層は圧倒的に20代~30代の女性が多いのですが、彼女たちにうけるように7名もの若手デザイナーが感性を活かして、製品開発を支えているのです。これらのメンバーは地元の長岡造形大学卒業の女性の社員の方達で、日々雑誌やブログで情報収集しヒントを探すわけです。消費者と同じ世代の女性社員による製品開発は、100円ショップ向けのメーカーではもはや必須であると言えるでしょう。さらに近年では、100円ショップのファンサイト「みん100」と連携しまして、消費者の声をとりタイムリーに製品化をする事もあるようです。SNSなどのコミュニティーサイトは不特定多数の消費者の生の声を吸い上げられますので、今後ますます重要な情報源となるでしょう。

今日のまとめです。今回は、躍進し続ける100円ショップを裏で支える中堅・中小メーカーのヒット術について解説してきました。小久保工業所とエコー金属という2社のヒット製品を見てきましたが、その背景には単に製品開発を進めるのではなく、様々な取り組みや開発の工夫をする事で、今日の消費者を喜ばせるヒット製品を作り出していると言えましょう。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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