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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 予言の自己成就 (産業組織心理学、社会心理学/三上聡美)

予言の自己成就

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

19/04/02

今日は「予言の自己成就」についてお話します。

「予言の自己成就」についてご説明する前に、一つ例を挙げたいと思います。

先日、テレビで『"関ジャニの村上君のうちわを持っていると幸運が訪れる"と言っている人を探す』という番組をやっていました。実際に探し当てたところ、その方は村上君ファンの男性で、うちわを2年前に購入したそうです。そのうちわを持っているとボーリング大会でストライクが出たり、イベントのガラポン抽選会で当たりが出たり、幸運が訪れたと言うのです。イベントの時には村上君のうちわを持って行っているようでした。番組では、本当にご利益があるのか実際に試してみようという話になり、ガラポン抽選をやっていいましたが、残念ながらその番組ではご利益はなかったというオチになっていました。

数年前にも、美輪 明宏さんの写真を待ち受けにすると、運気がアップすると話題になったこともありました。久しぶりにネットで検索してみたところ、金色の美輪さんは金運アップ、ピンクの美輪さんは恋愛運アップというように、運気アップの色分けがあるようでした。

村上君のうちわも美輪さんの待ち受けも、それを持っていることでご利益があるという根拠はありません。しかし、「憧れの人に関わる何かを持っていると良いことがあるかも」という気持ちになる人は、おそらくいると思います。このように、たとえ根拠のない予言(たとえば噂や思い込み)であっても、その予言を信じて行動することによって、結果として予言通りの現実が作られる現象のことを「予言の自己成就」と呼んでいます。

この「予言の自己成就」は、社会学者のマートンが名付けました。マートンは具体的な事例として「銀行の取付騒ぎ」を挙げています。日本では豊川信用金庫の取付騒ぎが代表的になるでしょうか。高校生同士の何気ない会話の「信用金庫なんて危ないわよ」という冗談が、豊川信用金庫の経営が危ないという経営不安の噂になり、取付騒ぎに陥ったという事例です。
元々は根拠のない話から始まったものなのですが、それを誰かが信じて行動してしまった結果、騒ぎに発展したというものです。心理学では、「自己成就予言」「行動確証の過程」と呼ばれることもあります。心理学者のスナイダーは、学生が男女ペアとなって、顔の見えない状態でチャットをするという実験を行いました。事前に男性の方には相手の女性の情報が与えられていました。更に男性の半数には「美人」と評価された写真を、もう半数には「美人でない」と評価された写真が渡されました。会話をした後に男性に女性の評価を聞いてみたところ、「美人」と評価された写真を渡された男性は、「美人でない」と評価された写真を渡された男性よりも相手の女性のことをユーモアがあって、社交的で魅力的な人だと評価したのです。つまり、ビジュアルにやはり惑わされたということです。
この実験には続きがあり、録音した男女の会話の女性の発言部分だけを別の男性に聞いてもらい、その女性について評価をしてもらいました。ちなみにこの続きの実験では、録音を聞いている男性は、女性の写真は渡されていません。ここではビジュアルに惑わされることはないわけです。

その結果、前の実験で会話の相手の男性に魅力的だと思われていた女性は、魅力的でないと思われていた女性よりも社交的でユーモアがあって、バランスの取れた性格だと評価されたのです。つまり、写真を渡されて女性と会話をしていた男性と同じ評価をしたと言うことになりました。
写真があって「美人だ」と評価された写真を渡された方が、良い評価をするというのは、「惑わされた」と思いますが、写真がないのに同じような結果が出たというのは、なぜでしょう。
実はこの2つの実験から、相手を「美人」と思い込んだ男性側が、チャットで会話をする中で、女性が魅力的であることを示唆するような発言をしたり、社交的な面やユーモアを引き出す会話をしたのではないかと考えられています。

要は、写真を見ながら会話をしているわけですから、自然とより魅力的な会話を引き出したと考えられます。「相手はとても魅力的な女性である」という男性の思い込みが、本当にその女性を魅力的な人物にしたのかもしれません。

「わたし失敗しないので」というドラマの決めゼリフがありますが、あのセリフも「予言の自己成就」だと思います。失敗しないと自身で予言をすることで、失敗しないための努力をしているのだと思います。逆に「わたし失敗するかも」と思い込んでしまうと不安が大きくなって、失敗する方向に行動してしまうこともあります。言霊みたいなものは実際にあって、自分で言ったことで自分が暗示にかかるということがあります。これは相手に対しての期待も「予言の自己成就」に繋がります。「あなたは仕事が出来る人だ」と期待をかけると、その期待をかけられた人は、その期待に応えようと意欲や向上心がアップして期待した通りになることもあります。逆にマイナスの評価をすることで、相手の作業成績が下がることもあります。

これはビジネスの中でもぜひ応用して頂きたいです。組織などの集団にもこれは当てはまります。先程の銀行の騒ぎのように、「あの会社は倒産するぞ」と評価したり、「今後この会社は伸びるぞ」と期待をかけたりすると、そのようになることもあるのです。

では、今日のまとめです。
たとえ思い込みだとしても、こうなるという予言を信じて行動することによって、結果的にはその予言通りになることを「予言の自己成就」と呼びます。「予言の自己成就」はポジティブな方向にもネガティブな方向にも繋がって行きます。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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