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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > アクティブ・シニアのニーズを捉える工夫とは (マーケティング/岩下仁)

アクティブ・シニアのニーズを捉える工夫とは

岩下仁 マーケティング

19/04/24

これまで、コモディティ化市場のマーケティング戦略という事で話を進めています。前回は消費者のニーズの変化を受けて、ジェンダーフリー商品の登場について扱ってきたと思います。このように、消費者の動きの変化によって新たな需要が生まれる事が数多くあるわけです。ジェンダーフリーというのは、ユニセックスのような男性でも女性でも使えるデザインをという事ではなくて、例えば男性用のものを女性が使ったり、女性用として作られたものを男性が使ったりという消費の事です。男女どちらかをターゲットにしたものを作るわけですが、それがやがてもう一方の異性の方にも使われていく。そういった消費行動がジェンダーフリー消費という事になります。こういった消費者の動きの変化によって、新しい需要が数多く生まれているわけです。消費者の動きの変化というのは、個人のニーズの変化ばかりでなくて、人口の増減といったマクロレベルでの変化もあるわけです。そこで今回は、高齢化社会というマクロレベルの変化によって登場したアクティブ・シニアに光を当てたいと思います。

アクティブ・シニアですが、名前の通り、家に引き籠っているのではなくて、趣味や人との関わりを楽しむ活動的な高齢者の方達を指します。団塊世代が70歳に到達しまして、2025年頃には日本人の約3割が65歳以上という高齢者になるわけです。このように高齢化社会に拍車がかかる中で、企業にとってシニア消費を取り込む重要性は高まるばかりです。このシニア層のニーズを満たす事が出来れば、大きなビジネスチャンスを掴む事が出来るわけです。1つの例として、シニア層を取り込んで成功した雑誌があるのですよ。出版不況の中でこの1年間で部数を3万部以上増やした、株式会社ハルメクのシニア向け定期購読誌「ハルメク」です。この雑誌のターゲットは、積極的に人生を楽しむ60代~70代を中心としたアクティブ・シニア層です。中身は、シニア向けに有益な情報を提供したりですとか、シニア向けのカタログ通販を併せもつ雑誌になっています。

どうして「ハルメク」はうまくアクティブ・シニアのハートを掴めたのでしょうか? 人気特集の1つがファッションもののようです。最近のシニアはおしゃれなので流行の服をたくさん掲載していると思ったのですが、そうではありません。例えば、去年の4月号「この春、いつもの服が素敵に見えるコツ」では、ストールの巻き方や袖の上げ方などを紹介していて、着こなしをちょっと変えるだけでおしゃれになると言っています。山岡朝子編集長によりますと、年金生活で流行アイテムを毎年買うのは無理だからという事です。アクティブ・シニアは時間やお金に余裕があると思われがちですが、実際その様な人々はごく一部なわけで、そこをしっかりと調査したからこその内容となったわけです。他にも、約3万5千人もの新規購買者を獲得したのが、「スマホのもやもや・イライラ これだけ覚えれば解消!」という特集をした2018年3月号です。内容は、指の腹で画面を操作しないと反応しない、別の機能が動かないように通話時は端末を耳から離す、こういったスマホのごく初歩的な操作の方法を紹介しています。山岡編集長によりますと、スマホは世の中で言われているほど使いこなせていないシニアが多いだろうと考え、基本的なスマホの使い方を紹介したそうです。

実は山岡編集長が、そう考えていたのには理由があります。スマホを持っているアクティブ・シニアも実はスマホを使いこなせていないという事をハルメクは突き止めていたからです。ハルメクのシニア女性交流サイト「いきクル」は、4万人と多くの会員がいるにも関わらず、通販事業においてネットを利用し商品を購入している人たちの割合は約10%しかいませんでした。という事は、通販は利用しているのだけれども、スマホを使って通販を利用しているという人は非常に割合としては少なかったわけです。わずか10%だった、これをハルメクは突き止めたというわけです。ハルメクではどのような工夫をする事で、こういったシニアの真のニーズを捉えてきたのでしょうか? 注意しているのが、バイアスの排除です。バイアスとは偏った見方ですが、調査を行う対象者の属性や思考が偏らないように注意深く選定する必要があります。例えば、ネット好きの傾向という結果が反映されすぎないように調査はネットではなくて郵送にする、こういった工夫をしているのです。

ハルメクの売上高は、2017年3月期は109億円程度と言われています。主な内訳としまして、雑誌の購買料、そして雑誌内で掲載される製品を販売する通信販売です。通信販売では、郵送調査の結果をオリジナル製品の開発や仕入れ製品の選定に活かしています。シニアがダイニングで裁縫や家計簿の作業をしている事に着目した、ダイニング用ワゴン。体型が変化しても着やすいようにお腹周りにゆとりをもたせたおしゃれな洋服がヒットしているようです。また、最近のヒット製品の1つが、「おうちでドック」です。自宅で専用キットを用いてとった血液や尿を送り検査してもらうのです。現役時代よりも健康診断の機会が減っているという仮説を立てたそうです。最近では、施設に行くのが面倒だと考えて自宅で出来るキットにしました。さらに、高齢者だけではなくて、フリーランスの方など健康診断を受ける機会の比較的少ない現役世代にもうけているようです。シニアから一般という、これまでにない流れでヒット製品が生まれているわけです。本当のシニアのニーズをもっていると、シニアにとどまらない大ヒットが生まれるかもしれません。

今日のまとめです。今回はアクティブ・シニアについて話を進めてきました。高齢化社会の今、外せないターゲットであり、一見すると簡単にニーズを把握出来そうですが、実はしっかりと調査をしないと真のニーズを汲み取れないと言えそうです。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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