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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ジェンダーフリー市場の拡大 (マーケティング/岩下仁)

ジェンダーフリー市場の拡大

岩下仁 マーケティング

19/04/23

今日は、ジェンダーフリー市場の拡大というテーマでお話したいと思います。マーケティングにおいて有用なセオリーの1つに、ターゲティングというものがあります。ターゲティングとは、自分の会社が売り出したい製品・サービスを一体誰に対して売るのかという対象、つまりターゲットを誰にするのかを決めることを言います。ターゲティングの最も代表的な例としては、性別があります。男性と女性で企業が提供する製品を変えるわけです。例えば、ガムならば男性用はブラックブラックのような目覚ましガム。女性用は香りをつけて息の匂いが良くなるような機能的なガムにしようとなるわけですね。ところが、最近では男性用とか女性用とかいった区別をせずに、良い物を純粋に追及する、ジェンダーフリー消費というトレンドが広がってきています。そこで今日は、このジェンダーフリー市場の拡大について見ていきたいと思います。

男性も女性も使えるという点では、これまでもユニセックスという言葉がありました。ユニセックスの製品というと、元々は男性と女性どちらでも使えるように性別を感じさせないようにデザインされたものを言います。それに対して、ジェンダーフリーの製品とは、例えば、男性を対象に作られたものをそのまま女性が使用したり、逆に女性に作られたものを男性が使ったりする、こういったことを言うわけです。

化粧品を例にお話ししたいと思います。化粧品と言えば、もちろん、ターゲットは女性が中心ですが、実はここ10年で男性用化粧品の市場が2倍に拡大しています。美容に気を配る男性の潜在需要を掘り当てた格好で、製品数も増えています。実は、一部の男性が女性用化粧品を使うようになってきているのです。男性向けの化粧品ということではなくて女性用の化粧品を男性が使っている、女性用に作られたものを男性が興味を持って購入してそれを使っている、こういった現象が見られているわけです。女性用化粧品市場は20年程で劇的に変化しており、美白や保湿に留まらず、しわを取ったり、シミを薄くするといった機能性にこだわった製品が増えています。化粧品を使うことにも慣れて、さらにそういった機能を求める男性。こういった人達が男性用ではなくて、女性用の化粧品を選ぶようになってきているわけです。

これにはインターネット通販の普及も追い風になっています。昔は女性のお客様ばかりの化粧品店に行くことに抵抗がある男性が多かったのですが、今は家に居ながらにしてネット通販で欲しい製品を手に入れることが出来ます。お店で買うのはちょっと恥ずかしいと思っていた方達が家に居ながら購入出来る様になりました。通販でボタンを押すだけで女性用の化粧品を男性が買えるわけです。ロート製薬から「肌ラボ」という製品が出ています。この製品のメインターゲットは明らかに女性ですが、僕も購入して使っているといったこともあります。

一方の性別の人が使っている製品をもう一方の異性がより良い物だと使っていくジェンダーフリー消費は、美容のみならずファッションの世界ではもっと顕著です。例えば、スウェーデンの時計・アクセサリブランドにダニエル・ウェリントンがあります。ここの人気商品の1つに直径40ミリという大きなサイズの男性用腕時計があるのですが、これが最近若い女性にものすごく売れているのです。時計専門店チックタックを運営するパルコの子会社、ヌーヴ・エイの松崎取締役は、最近の腕時計のトレンドについてキャリア志向の女性は大き目の時計を好む傾向が強いと述べています。またオメガといったこれまでは男性を主なターゲットとした海外の機械式時計ブランドも、最近では女性にも売れているようです。オメガシーマスターといったブランドが非常に有名な例です。

衣料品の分野でも若者を中心に、サイズや好みが合えばメンズ・レディースに限らずに購入する動きが広がり始めていて、男性用のシューズブランドが女性受けしたりしているのです。例えば、アディダスのスタンスミスは非常に多くの方が使っていますが、僕の周りでもカップルでよく履いている人がいます。元々は男性用のスタンスミスということですが、それを女性も履いているといった動きは、カップルや夫婦が一緒に訪れて同じものを吟味しながら買い物が出来る場が増えますと、新たな消費が生まれる可能性を秘めているということが分かると思います。

まさに消費者の心理レベルで、ジェンダーフリーという動きが出てきていることが分かる好例だと思います。ジェンダーフリーの動きですが、日本を越えて海外の高級ブランドでも見られているようです。イタリアの「サルヴァトーレ・フェラガモ」「グッチ」「ボッテガ・ヴェネタ」、イギリスの「ステラ・マッカートニー」は男女のモデルが共に登場する合同ショーを開いています。合同ショーを開く理由として、男女で統一した世界観を見せることが出来ると言っているのです。世界の有名ブランドでも、消費者が異性の服を着こなし始めていることに着目しています。男性も女性もジェンダーへの特別の意識や主張を伴うことなく、異性の製品の良さを純粋に認めているのです。

今日のまとめです。今回はジェンダーフリー消費に焦点を絞り、話を進めてきました。これまでは男女別という製品が主流でしたが、価値観の変化からニーズに合った消費ならば男女という垣根はあまりなくなってきているようです。この点にいち早く目をつければ、新たな市場を開拓出来るのではないでしょうか。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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