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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > "攻めのCSR"活動のすすめ (企業倫理、リスクマネジメント/平野琢)

"攻めのCSR"活動のすすめ

平野琢 企業倫理、リスクマネジメント

19/04/09

CSR(企業の社会的責任)とは何かについてお話しています。CSRについて簡単にまとめると、「企業が経営活動において、環境問題や人権問題などを発生させないようにすること」、そして「企業が経営活動を通じて社会問題の解決に貢献していくこと」が、それにあたることを説明しました。そして、それを実現するための活動のことをCSR 活動と呼び、近年様々企業において取り組みがなされていることをお話ししました。
本日は近年のCSR 活動で注目されている「攻めのCSR 活動」についてお話していきたいと思います。
CSR(企業の社会的責任)と聞くと、「為さねばならないこと」「果たさなければいけない義務」というイメージを持ちがちです。CSR を行って利益や新規顧客の獲得などには結びつくと考えられるでしょうか?私も講義や講演でCSR のイメージを聞いてみると、寄付や植樹のような社会奉仕活動のイメージを持つ人は多いようですが、利益や新規顧客の獲得には結びつかないと思う方が多いようです。
しかし、様々な企業のCSR 活動を観察してみると、CSR 活動を通じて新しい市場の獲得や増収に結び付く例も確認することができます。特に近年のCSR では、自社の強み(例えば製品や技術力、資源)を活かして、社会貢献と企業利益の向上を両立させるCSR 活動が大変注目を浴びています。このようなCSR 活動は、企業が社会課題の解決と企業価値の向上に積極的に関わっていくという意味合いから「攻めのCSR」と呼ばれます。実際に取り組む企業も増加し、様々な成功例が報告されています。
それではどうすれば、そのようなCSR 活動ができるのか?少しイメージがつきにくいかもしれませんが、少し事例を交えて話したいと思います。
これはある食品会社の取組なのですが、その企業は長年にわたって、栄養価の高い調味料を作る技術を培い、それを強みとしてきた企業でした。この企業は、食糧の生産や物流が整っていない発展途上国においては、栄養不足の問題が非常に深刻であり、特に調味料に関しては塩が中心のために、塩分の過剰摂取が地域の人々の健康問題となっていることに気づきました。そして、自社の強み(つまりは、栄養価の高い調味料を作る技術)を用いた製品を現地で販売し、自社製品の強みを生かした発展途上国の健康問題の解決に乗り出しました。現地に密着し人々が買いやすい量と価格の設定をする、現地の人々が最も購入しやすい場所で販売するなどの工夫もあり、この企業の調味料は現地で大ヒットしたそうです。結果として、現地における健康問題の解決に寄与するとともに、この企業は市場の獲得が難しいといわれる発展途上国における市場の獲得にも成功しました。私は、この事例はまさに社会問題の解決と企業利益の向上を両立するCSR 活動の良い例だと思います。
この他にも、自社の化学の技術を使って害虫を殺虫する蚊帳を製造販売し、マラリアなど昆虫が媒介する病気が社会問題となっている地域で、病気の抑制に貢献したという事例などもあります。糸の中に殺虫成分を練り込み、その糸に蚊がとまると、その殺虫成分を吸って蚊が死んで、結果的にはマラリアを媒介する蚊をへらしました。このように自社の強みを生かして社会貢献と企業利益の向上を両立させるCSR 活動は、今後も幅広い企業で取り組みが行われていくものと思われます。
しかし、このような「攻めのCSR」活動は、資源が豊富な大手企業が可能なCSR 活動であって、資源が比較的に余裕のない中小企業にとっては実現が難しいと考えられがちですが、実際には「攻めのCSR 活動」の成功事例を調査していくと、意外にも中小企業における事例が少なくないことがわかります。
例えばある企業では、引きこもりなど様々な理由で就労が難しかった若者を積極的に採用し、彼らが働きやすい環境を支援センターなどと協業して整備し、結果として新しい人材として彼・彼女らを雇用することに成功した事例があります。実はこの企業は、長年にわたって人材不足、特に若い人の雇用不足に悩んでおり、この企業のCSR 活動は「若者の就労に関する社会問題」の解決と共に「自社の人材不足という経営課題」の解決を両立する活動として成立しています。このほかにも、差別化が難しい商品やサービスなどを扱う業界においても、社会問題の解決(例えば、障害のある方に利用しやすいや環境面に負荷がないなど)を商品やサービスの差別化の源泉とすることで、社会問題の解決と企業利益の向上を両立したCSR 活動に成功している中小企業の事例は多く存在します。自分達は中小企業で、CSR 活動が出来ないということではなく、現状に目を向け、分析し、何が課題なのか、そして社会の課題も同時に解決出来る方法はないかというのを模索していけば、中小企業においても、活かせる強みの場所は沢山あるということだと思います。つまり、資源に比較的余裕のない中小企業にとっても、「攻めのCSR」活動は取組み可能であると考えられるのです。
今日のまとめ:
自社の強み(例えば製品や技術力、資源)を活かして、企業が積極的に社会貢献と企業利益の向上を行うCSR 活動を「攻めのCSR」活動といいます。この「攻めのCSR 活動」は近年様々な企業によって取り組まれています。「攻めのCSR 活動」では、自社の強みを活かすと聞くと、資源が豊富な大手企業が行うものと考えられがちです。しかし、攻めのCSR 活動」の成功事例を調査していくと、意外にも中小企業における事例が少なくないことがわかります。つまり、資源に比較的余裕のない中小企業にとっても、「攻めのCSR」活動は取組み可能であると考えられます。

分野: 企業倫理 経営リスクマネジメント |スピーカー: 平野琢

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