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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 競争戦略:フリーミアム (企業戦略、生産管理/目代武史)

競争戦略:フリーミアム

目代武史 企業戦略、生産管理

19/03/05

 今日は収益モデルの応用例として、「フリーミアム」をとりあげたいと思います。フリーミアムとは、2つの言葉を組み合わせた造語です。無料を意味するフリーとプレミアム(割増料金)の組み合わせで、フリーミアムです。この造語は、アメリカのベンチャーキャピタリストのフレッド・ウィルソンが作り出しました。技術系の専門雑誌『ワイヤード』の編集長クリス・アンダーソンがその著書で紹介したことが、この言葉が広まるきっかけになりました。

 フリーミアムとは、基本的なサービスを無料で提供していくことで広く普及させ、その中の一部の利用者に有料サービスを利用してもらうことで利益を上げていくというビジネスモデルです。身近な例を1つ挙げると、PDFがその典型です。PDFは、使用するパソコンの違いに関わらず、データを実際に紙に印刷した時の状態で表示できるファイル形式です。皆さん誰しもが使ったことがあるものと思います。このPDF形式のファイルを読み込むためには、Acrobat Readerというソフトが必要ですが、ほとんどのパソコンにあらかじめインストールされています。最新バージョンもアドビ社のホームページから無料でダウンロードすることができます。したがって、PDFファイルを読むだけであれば無料です。ただ、PDF形式のファイルを作成したり、編集したり、パスワード設定したりというような高度な作業をするためには、Adobe Acrobatというソフトが必要になります。これは有料です。世の中の大多数のパソコンユーザーはPDFを無料で使用しています。PDFのユーザー数は膨大な数に上りますが、有料のAdobe Acrobatを使用している人はわずかと言えるでしょう。アドビ社はこの少数の有料ユーザーからの収入で儲けているということです。
 このようなフリーミアム型のビジネスモデルは他にもあります。
 例えば、クックパッドというサービスがそうです。一般の投稿者が提供する料理レシピが多数掲載されています。これも無料で、誰しもレシピを閲覧することができます。それだけでも十分便利ですが、さらに人気順序で検索したり、管理栄養士が監修した毎日の献立のような付加的なコンテンツを利用したりするには、月額280円のプレミアム会員になる必要があります。
 他には、スマホのゲームも無料でダウンロードできて、課金をするとアイテムが使えるようになるのでフリーミアムといえます。基本的なところは無料で利用できて、さらにアイテムを追加したり、容量、例えば速度を速くしたりするために月額会員になったり、アイテムごとに料金を払ったりすることが、フリーミアム型のビジネスモデルの特徴です。

 ただ、世の中には、無料で製品やサービスを提供するモデルは他にもあります。例えば、店頭や通販で試供品を無料で提供するパターン。テレビやラジオも無料で視聴できます。インターネットの検索エンジンやウェブメールも無料で使うことができます。これとフリーミアムがどう違うかということですが、例えば試供品に関しては基本的には通常品のミニサイズのサンプルを配るものです。試してもらうことで商品の良さを分かってもらって購入してもらうことが狙いです。ただ、配れば配るだけ費用がかかるので、少量しか提供することができません。テレビやラジオの無料視聴やインターネットの検索サービス、ウェブメールなども無料ですが、これはいわゆる広告モデルというものです。このモデルでサービスの対価を支払うのは広告を出すスポンサーです。このサービスを利用するのはいわゆる一般の視聴者だったり、ユーザーだったりしますが、広告モデルとしての対価を支払うのはスポンサーということになっています。
 それに対してフリーミアムの場合は、一般ユーザーもプレミアムユーザーも基本的には同じサービスを利用します。一般ユーザーには利用できるサービスの範囲や質、量に制限があります。もっと広く、もっと高い質のものをたくさん利用するためにプレミアムユーザーになってもらうわけです。

 では、このようなフリーミアム型のビジネスモデルはどのような時に活用できるのでしょうか。第一に、その製品やサービスの市場が立ち上がっておらず、顧客に受け入れてもらうために思い切った低価格を打ち出す必要がある場合です。第二に、いわゆる市場が立ち上がり期、黎明期にある場合で、まだ大企業のような強力な競合企業がいないというケースです。第三に、無料でサービスを提供するので、コスト構造も大変重要になってきます。1つ製品を提供するためにそれと比例してコストが追加的にかかるようなビジネス構造だと、このフリーミアムは成り立ちません。典型的なソフトウェアやデジタルコンテンツ、インターネット上のインフラサービスといったものでは、一旦仕組みができ上がれば、1人に提供するコストも1,000人に提供するコストもあまり変わりません。このようなコスト構造の場合はフリーミアムを適用しやすいということになります。第四に、これは身も蓋もない要素ですが、積極的な商品開発や設備投資を支えられ、利益が出るまで持ちこたえられるだけの資金力があるかがポイントになってきます。

 今日のまとめです。今回は収益モデルの応用例としてフリーミアムについて紹介しました。フリー、つまり無料とプレミアム(割増料金)を組み合わせた造語です。基本的なサービスを無料で提供することで幅広く普及させて、その中の一部の利用者に有料サービスを利用してもらって利益を上げるというビジネスモデルです。一般的にはインターネット業界やソフトウェア業界、デジタルコンテンツ業界で注目されているビジネスモデルです。新たな製品やサービスの立ち上がりの黎明期に有効な戦略です。ユーザー数が増加しても付加的に発生する変動費がほとんどかからないようなコスト構造を構築できるかどうかが前提条件になります。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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