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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 睡眠に着目したビジネスチャンス (マーケティング/岩下仁)

睡眠に着目したビジネスチャンス

岩下仁 マーケティング

19/03/13

コモディティ化市場、つまり製品に差が無く、消費者が低価格のものを選んでしまう製品について話を進めています。しかし、消費者の明らかな意識変化によって新しいビジネスチャンスが生まれているケースが、時としてあるのです。今までは気にも掛けてこなかったことが、消費者の意識変化によって実は大きなビジネスチャンスになるわけです。最近、こういった変化で生まれた注目すべきビジネスがあります。本日はそれについて話をしたいと思います。

毎日我々が必ず行う行為にはどういったことがあるでしょうか? 勿論、食事ははじめに挙げられると思うのですが、人生の大半を占めるのは実は睡眠です。皆さん、毎日何時間くらい眠っておられるでしょうか? おそらくですが、4~6時間くらいだと思います。仕事や家事で忙しくて、つい睡眠時間を削ってしまうと思われます。結果として消費者は短い時間であっても、出来る限り睡眠の質を向上させることを意識し始めているようです。

東京新宿の小田急ハルク2階のスポーツ売り場の一角に、一見するとスポーツウエアを販売しているように見えるのですが、リカバリーウエアという睡眠専用のウエアを扱っている売り場があります。リカバリーウエアは安眠を促す効果があると言われていまして、スポーツ選手からも注目されています。スポーツ選手にとって質の良い睡眠を取るのは一種のトレーニングなわけです。この店舗を運営するのは繊維ベンチャーのベネクスという企業です。ベネクスのウエアの特徴は、ナノプラチナという粒子状の鉱物を織り込んだPHT繊維を使っている点です。ナノプラチナが発する微弱な電磁波が副交感神経を刺激し、筋肉の緊張をほぐすのです。血流を促して疲労回復や安眠に導く仕組みになっています。副交感神経が刺激されますと、最終的に子どもが夜にうとうとしている状態になるとベネクス社は説明しています。

実は、この話を聞いてベネクスのリカバリーウエアの上下を実際に購入してみたのですが、合計で18,000円程度と結構いい値段だと思いました。元々寝付きがいい方だったので、正直、効果はあまりわかりませんでしたが、ただ目覚めたときに体がなんとなく軽くなったような感じはしました。おそらく、少なからず睡眠の質が向上したのだと思います。ベネクスのリカバリーウエアですが、発売は2009年です。ドイツの競泳代表チームが採用するなど、スポーツ選手の間で少しずつ人気が高まり、国内では最近一気に知名度が高まったのです。

WBSといったビジネスニュース番組で取り上げられて、ターゲットである30~40代の働き盛りで睡眠時間が少ない人々の心を掴んだようです。累計の販売枚数は50万着を突破して、ベネクスの2018年3月期の売上高は、2010年3月期と比べましてなんと約18倍の9億円程度になったのです。ものすごく売れた商品だと思います。リカバリーウエアという新たなカテゴリーの成長性には、大手スポーツ用品メーカーも注目しています。アメリカのアンダーアーマー社は、2017年6月、NFLのスター選手トム・ブレイディと共同開発した商品を開発しています。アンダーアーマーの商品では、ウエアの裏地に遠赤外線エネルギーを反射する特殊なバイオセラミック粒子を使っているようです。これによって体内の不要なエネルギーを使わないようにして、寝ている間に無駄に疲れるのを防いでくれると言われています。

しかし、睡眠の質にフォーカスしているのはベンチャー企業や海外のメーカーだけではありません。日本の老舗メーカーも、この睡眠の質に注目しています。創業約450年の西川産業には、直営店として日本橋西川にショールームがあります。一見すると何の変哲も無い寝室ですが、ここにはぐっすりと眠るための知恵が集結しているのです。窓際の間接照明はスマホのアプリと連動して用途別に明るさが変わります。例えば寝る前はオレンジ色の明るさですが、時間とともに徐々に照明を落としていくことができます。お客さんが横たわると思わず本当に寝てしまう人もいる位、それだけ眠るのに適した環境になっており、ショールームではそういう体験が出来るのです。

最近では、寝具やスポーツを扱うメーカーだけではなく、食品メーカーも睡眠の質に関心を払っているようです。高級ブランドショップが集まる銀座のビルの一室の薄暗い室内には、16台のベッドと9つの椅子が並んで、昼なのに心地よさそうに眠る人の姿を見られます。ここは、ネスレジャパンと全日本ベッド工業会が開いた睡眠カフェです。夜の睡眠の疑似体験をしてもらうための最長3時間のぐっすりコースと、最短30分の昼寝コースがあります。ぐっすりコースでは睡眠前にカフェインレスのコーヒーを飲んで、起床後はカフェインのコーヒーを飲むようになっています。睡眠前のコーヒーを飲むことは安眠を妨げると言われていますが、カフェインレスであると睡眠の質を保つことが出来るのです。また、睡眠後にコーヒーを飲むことによって目覚めが良くなるというわけです。アメリカのミシガン大学が100カ国を対象に実施した調査によりますと、2016年日本人の平均睡眠時間は7時間24分で、シンガポールと共に過去最低です。元々忙しく睡眠時間を取りづらい日本人にとって短い時間で睡眠の質を高めること、これは新たなビジネスチャンスに繋がると言えるでしょう。

今日のまとめです。今回は、消費者の意識変化による新たなカテゴリーの創造ということで、睡眠に着目してきました。消費者の意識変化はやはりビジネスを考える上で最重要な視点と言えるでしょう。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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