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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 「経済連携協定の発効②」 (国際経営、国際物流/星野裕志)

「経済連携協定の発効②」

星野裕志 国際経営、国際物流

19/03/15

今日のまとめ:メキシコ、ペルー、チリを含む11カ国による環太平洋パートナーシップ協
       定(TPP)の発効は、今後の広がりという点でも、日本にとっての新しい
       調達ソースと市場の開拓という点で、大きな意味があると思います。

前回は、太平洋11カ国による環太平洋パートナーシップ(TPP)協定とEU欧州連合との間に締結された日本と欧州の経済連携協定のインパクトをお話しました。

トランプ大統領の反対で、一時は発効が危ぶまれた環太平洋パートナーシップ(TPP)協定が、米国を除く11カ国で昨年12月30日に発効したことは、今年2月1日発効の日欧の経済連携協定と並んで、とても大きな意味があったと思います。

EUの28カ国との経済連携は、もちろん経済的なインパクトが大きいと言えます。
一方で、TPPには、太平洋地域に及ぶ規模と広がりがありますし、タイ、インドネシア、フィリピン、韓国、台湾、コロンビア等も、今後加盟に向けて関心を寄せていると言われています。

さらにTPPは、最終的に関税の完全撤廃を目指していることから、今後の影響はさらに大きくなる可能性があります。

前回は経済連携協定EPAと自由貿易協定FTAの違いについて説明をしました。今回の
環太平洋パートナーシップ協定は、前者のEPAですので、単に関税の撤廃や引き下げを通じて、貿易の機会の拡大が図られることと並んで、企業活動の環境の改善の両方が期待されています。

今日は、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に基づく、ビジネスの流れ=商流とそれに伴うものの流れ=物流のお話をしたいともいます。

TPPによって、加盟国間でのビジネスが促進されことになりますが、具体的に輸出入品が増加します。この放送でも、何度か説明をしてきましたが、この5年間毎年パナマに出張して、2016年6月に完成したパナマ運河の拡張工事の影響の研究をしてきました。具体的には、拡張工事によって、コンテナ船であれば、従来の3倍近い積載量の大型船舶が、パナマ運河を通行できるようになりました。

大型化の効果とは、規模の経済性により、一度に運べる貨物の量が増加することで、運賃の低下が可能になります。

かつてのパナマは、運河を単に船が通行する国でしたが、現在は大型の船舶が貨物を積み下ろしするターミナルの拡充が行われており、パナマ経由で中南米と域外の貨物が輸送される仕組みができて来ています。実はもともとパナマ運河の完成した1914年から百周年を目標としていたのでが、工事の難航で、2年遅れたという事情はありますが、結果としてTPPの締結のタイミングで運河の拡張工事も行われたことになり、良いタイミングで行われたといえます。

今回のTPPに加盟するチリと日本の貿易を考えると、チリからは冷凍の魚やぶどう、銅が輸入され、日本からは自動車やタイヤが輸出されています。同様にペルーからは、銅や亜鉛が輸入され、自動車やタイヤが輸出されています。メキシコは、豚肉やアボカド、自動車部品が輸出され、自動車や電気回路の部品などを輸出されています。

パナマを経由して、これらの貿易がさらに促進されると共に、新たな品目の輸出入の増加が予想できます。それはTPPによる関税と輸送の運賃の低下が期待されるからです。

貿易拡大に向けて、関税と輸送の両方の環境が整うことに加えて、今回のTPPでは、税関による通関の円滑化や域内の原産地規制の明確化も目指されています。例えば、チリとペルーでは、現在税関における貨物の通関にかなりの時間要しているようですが、今後はより短時間での貨物の引き取りが可能になることが期待されています。

前回、FTAやEPAの効果として、輸入のソースや輸出先が多角化することで企業のチャンスを拡大し、リスクを軽減することになるということについてお話しましたが、日本の市場が縮小し、世界の中でも日本のプレゼンスが低下することは、避けられないと思います。そのような中で、今まで日本の企業がそれほど注目してこなかった、あるいは得意としてこなかった中南米にアプローチする機会としてのTPPの意味は、とても大きいと思います。

ビジネスが生じることは、かならずそれに伴ってものも動くことになります。ですから、
ビジネスの商流とものの物流と情報の流れの情報流は、今日不可分の関係にあると思います。

幸いに、TPPの締結とパナマ運河拡張が、同じタイミングで生じたことを、今後日本の企業は大きなチャンスと捉えていただきたいと思います。

それでは、今日のまとめです。
メキシコ、ペルー、チリを含む11カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の発効は、今後の広がりという点でも、日本にとっての新しい調達ソースと市場の開拓という点で、大きな意味があると思います。商流と物流の環境整備が進んでいる状況を活かして、新たな機会になればと思います。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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