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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 競争戦略:ロングテール(1) (企業戦略、生産管理/目代武史)

競争戦略:ロングテール(1)

目代武史 企業戦略、生産管理

19/03/06

 今日はロングテールという現象をピックアップしたいと思います。
 世の中にはヒットしている商品とそうでない商品があります。ヒットしているものは、売れ筋、そうでないものを死に筋と言います。いわゆる20対80の法則というものもありまして、2割の売れ筋商品が全体の過半数を稼ぎ出すというような現象がよく起こります。逆に言うと、残りの8割の商品の売り上げを全部足し合わせても、上位の売れ筋商品に及ばないということが起こります。そこで商品の売れ行きを見ながら売れ行きの芳しくない商品をてこ入れしていったり、それでもダメな死に筋商品は棚から排除したりしていきます。それにより、売り場全体を活性化するということが商売の基本中の基本ということになります。

 一方で、ビジネスにイノベーションを起こしたい時には、常識を疑ってみることが重要になります。つまり、今常識となっている事柄の前提条件を疑ってみるわけです。では、死筋の排除について考えてみましょう。
 なぜ死に筋を排除して売れ筋だけを残すということが必要なのでしょうか。例えば、コンビニやスーパーでは、死筋商品をテコ入れしていくか、排除してしていかないと、売場面積当たりの効率はとても悪くなります。どの店でも売り場に置いておける商品種類や量には、限度があります。商品棚が物理的に限られているためです。その結果、売れ筋商品はさらに売れていき、死に筋は排除されるから販売量が減っていきます。
 このことを視覚的に理解するために、次のようなグラフを想像していきたいと思います。横軸に商品を売上ランキング別に左から右に並べていきます。縦軸には各商品の売上高を示します。そうすると、左上から右下がりに連なるグラフができます。売場に物理的な制限がある時には、死に筋はあるところでカットして売れなくなるので、とても勾配が急なグラフになります。スーパーやコンビニの売り上げランキングのグラフは、まさにそのような形になります。
 一方で、もし無限に広い売り場があったらどうなるでしょうか。いっけん死に筋商品であっても、世の中に見渡してみると様々な人がいるので、ひょっとすると買って下さる方いるかもしれません。そのようなものも棚に置いてさえいれば、ひょっとしたら売れるかもしれません。確かに数は少ないかもしれないけれど売れる、そのようなものが塵も積もればで累積していけば、かなり大きな売上になることが次第に分かってきました。
 では次に、商品を売り場に置くコストはどうかということです。デジタル空間上に楽曲データを置くのであれば、殆どコストかかりません。例えば、アメリカで最大のCDショップは実はウォルマートのCD売場ですが、その平均在庫数は楽曲に換算すると1店舗当たり約5万5,000曲だそうです。それに対してインターネットの楽曲配信サービスにRhapsodyというものがありますが、ここには450万曲あります。全然桁が違います。ウォルマートには店舗スペースの制約があるために、いわゆる売れ筋の上位5万5,000曲を置いています。一方で、Rhapsodyの楽曲のダウンロードデータを見ていくと、5万5,000以下からの売上が全体の45%に達しています。つまり、この45%の分はリアルな実店舗では実現しなかった売上ということになります。
 同様の現象は書籍でも確認することができます。非常に大きな本屋さんでも、店舗に置いておけるのは大体10万タイトルです。これでも相当な数ですが、一方で、ネット書籍販売のAmazonであれば、莫大な数の書籍が置いておけます。Amazonの場合は、この10万位以下のタイトルからの売上が30~40%に達すると言われています。このようにAmazonにしろRhapsodyにしろ、インターネットを活用してデジタル空間上に在庫を置くということで、物理的な空間の制約を受けないことが特徴です。事実上、在庫スペースがほぼ無限にあって、1品あるいは1タイトルあたりの在庫コストも非常に小さくなります。
 従来であればビジネスが成り立たなかったような人気の低い商品からでも利益が上げられるようになってきました。そうすると、あまり人気がない商品もずっと商品棚に残るようになります。これを先程と同様に、横軸に商品のランキング毎に並べて、縦軸に売上をとると、売上ランキングのグラフは、右側に無限に長く(Long)伸びるしっぽ(Tail)のような分布が見えてきます。それがロングテールです。

 今日のまとめです。ロングテールとは、商品を人気ランキング別に並べたとき、売上高の分布を示す山が非常に裾野の長い形状となって、長いしっぽのように見える現象を言います。従来は商品の販売スペースの物理的制約のために採算の取りやすい売れ筋商品に絞り込む必要があったことから、ショートテールの商品売上分布になっていました。一方で、インターネット上のデジタル空間上に商品在庫をおける場合には、商品スペースは事実上無限にあります。在庫コストも小さいことから、マイナーな商品でも小さな数量ながら、売上を期待することができます。それを積み重ねることで、従来は切り捨てられていたニッチな領域から相対的に大きな利益を上げることが期待されるわけです。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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