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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 箱根駅伝から見る日本の組織・チーム論 (組織行動とリーダーシップ/福田亮)

箱根駅伝から見る日本の組織・チーム論

福田亮 組織行動とリーダーシップ

19/02/01

今日は、毎年お正月に実施されている箱根駅伝のお話です。みなさんは毎年「箱根駅伝」をご覧になっていますか。

「箱根駅伝」は毎年視聴率が30%前後で推移しており、ゴール付近や箱根など沿道の人々を合わせると100万人近い人が応援に駆けつける一大イベントになっています。実は「駅伝」は日本固有のもので、世界ではあまり普及していません。海外では個人競技の「マラソン」の考え方が強く、マラソンを団体で走る駅伝は日本ほど普及していません。オリンピックの競技の中にはバトンを繋ぐリレーはありますが、あくまでも短距離のものであって、長距離をたすきで繋ぐスタイルはありません。今日は、このあたりに日本固有の要素があるのではないかということについて考えていきます。

お正月は、「箱根駅伝」だけでなくニューイヤー駅伝という実業団のチームの駅伝などもあり、お正月の三が日は、毎日駅伝があります。企業も含めてなぜここまで駅伝に力を入れているのかというと、ここに日本人固有の組織や集団に関する考え方が映し出されているのではないかと思います。

箱根駅伝は、往路と復路を合わせると10人の選手が参加をしています。そのため、誰か1人突出した人がいたら勝てるというスポーツではありません。1人1人が力を上げることでチームが勝つというところも非常に日本的な和を大事にする感覚に近いと思います。駅伝には、もちろん「個人の成績」も大事ですが、それ以上にチーム全体の勝利を優先するという側面もありません。だからこそ、自分の調子が悪くてもたすきを持っていると、「頑張らないといけない」という気持ちになり、限界を超えられるというスポーツの精神性が醸し出されています。この「チームのために限界を超えて頑張る」という精神性にみんな感動するわけです。そういった部分が多くの日本の企業・組織が持っている大事な部分ではないかと思います。

さらに興味深いのが、バトンではなく「たすき」、リレーではなく「駅伝」と呼んでるところです。ここにも日本固有の考え方が現れているような気がします。駅伝というのは「駅を伝わる」ということで、元々は駅伝の発祥は「京都から東京まで」でした。昔は情報伝達のために様々な人や物が移動していました。そのため、およそ16kmの範囲に宿場を置き、リレーをしながら移動していました。これになぞらえて「駅伝」としているため、「たすき」という言葉には様々なものが引き継がれる、渡されるという思いも込められています。特に歴史や伝統などを引き継いでいくという思いも込められています。やはり、伝統を思んずる日本、そしてチーム、和を思んずる日本というのが駅伝という競技にとても現れています。そこに多くの日本人は無自覚的に感動するのではないでしょうか。

一方で、なかなか箱根駅伝から世界に通じる選手が出てこない、箱根駅伝で燃え尽きてしまうという問題もあります。「チームのために」に徹するあまり、自分の将来を考えることよりも、「チームのために」ということを優先してしまうことが選手の寿命を短くしてしまっているのかもしれません。また、若い人の考え方も変化する中で、「チームのために」という考えが行き過ぎることによって、様々な問題も起きています。最近はチームの指導方針も変わり、強豪校も増えてきました。青学の原監督が出てきてから「チームの在り方」、「指導の仕方」が変わってくるのかなという気がしました。

「個々の力をいかに伸ばすか」、「個々の自主性をどう開くか」ということに力を入れている新しい世代の監督もすごく増えてきています。東海大の監督に両角さんという方がいらっしゃいますが、この方も個人の自主性や成長を尊重した指導方針を持たれており、こうした変化はビジネスパーソンからすると興味深いです。ビジネスの中でも会社の中での在り方が従来の「会社のために」から、それぞれの能力を活かしながら会社としても業績を上げていくというということにどう繋げていけるのかを考えていかなければなりません。そういう意味では、箱根駅伝から組織の団結や忠誠、ロイヤリティを学ぶ一方で、個人個人が伸び伸びと生き生きと活躍するという一見矛盾するような考え方をどう合わせていくかというのを考えるヒントがたくさん含まれているように感じます。

では、今日のまとめです。
「箱根駅伝」から日本の組織論を考えるヒントを掴んでみてはいかがでしょうか。

分野: グロービス経営大学院 リーダーシップ 組織行動 |スピーカー: 福田亮

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