QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 規制と規制緩和② (国際経営、国際物流/星野裕志)

規制と規制緩和②

星野裕志 国際経営、国際物流

19/02/05

今回は前回の続きでLCCのお話です。最近ローコストキャリアのLCCが非常に増えていて、福岡空港でも既存のネットワークキャリアと言われるシンガポール航空やタイ航空、大韓航空などの会社が13社乗り入れていますが、LCCも10社来ています。韓国だけでも既存の航空会社、大韓航空、アシアナ航空に加えて6社のLCCが来ています。むしろLCCが主流になりつつあるということです。急速にLCCが増えていることは、規制の緩和が影響しているという話でした。欧米では1970年代の終わり頃に出現したLLCがようやく日本の国内線にも登場して2012年が日本のLCC元年とも言われています。それは国土交通省による市場の参入や運賃に関する規制が撤廃されたり、緩和されたことが大きいと思います。今日はその規制と規制の緩和について話を続けたいと思います。

規制は必要なのかどうなのか、企業に判断を任せてはどうなのかという話で、企業に判断を任せると例えば安全性が脅かされる可能性もあるなど色々な問題があるので、やはり企業に任せてしまうというのは少し難しいという話を前回はしましたが、今日は同じような別の例で話してみます。
ウ―バーのようなお手軽な配車サービスや民泊のAirbnbというようなシェアリングエコノミーが今や世界的な流れです。しかし、なかなか日本では認可されないか認可までにかなりの時間がかかっています。それはやはり規制がかかっています。これもLCCや同じようにサービスが消費者には歓迎されるものであるはずです。利便性も高く、ローコストであれば、どんどんウェルカムなはずですが、その辺がなかなか難しいということです。
ただ、短期的に見れば確かにその通りで、便利で料金も安くてありがたいサービスと思いますが、規制が無くて企業自身のルールで運用されたとすれば、何か不都合ってやっぱり生じるのではないかと思います。例えばLCC、ウーバー、Airbnbを利用した際に、事故やセキュリティ上の問題が生じるかもしれません。もしルールが設定されていなければ、誰がそれに対して責任を持って対処してくれるのか、被害の補償がされるかも分かりません。もっと既存の業界に対してインパクトということを考えてみると、料金が下がることでホテルやタクシーの既存の業界に大きな影響が出てきます。もしかしたら倒産や撤退、必ず収益率の低下が出てきます。一方で新たなサービスが安定的かつ持続的にずっと提供される保証がありません。もし全面的に撤退した後に結局大きな不便を被るのは顧客になります。それが長期的な視点で重要です。

では、輸送のサービスにおいて何故規制が必要なのかについて少しその観点から考えてみたいと思います。規制には大きく3つの分野があると思います。
1つは経済的な規制です。市場に参入することや新しい路線を開設すること、運賃、料金、サービスに関するルールです。例えば航空会社でも鉄道でもバスでもタクシー会社でもいいですが、新規に参入することや新しい路線や航路を作ること、あるいは撤退すこと、また運賃や料金の設定やサービスのレベルについても規制がまず1つ目に、経済的な規制として存在します。
2つ目は安全上の規制です。施設や設備、オペレーション上の安全性や危険物の取扱などが規定されているのが2つ目です。例えば韓国のフェリーボートのセウォル号が沈没事故、まだ記憶に鮮明ですが、何が起きたのかと言うと、貨物の積み過ぎや必要な救命ボート、救命胴衣が備えられてなかったということも問題視されました。やはり利益優先になってしまうと安全基準が充足していなかったということは被害の拡大に繋がったと思います。だから安全上の規制も必要になってきます。
3つ目、社会的な規制です。船舶の油漏れ、油濁と言いますが、それや交通機関の排ガスなどについて環境保護の視点や事故の補償に関する規制です。例えば船舶事故によって油が流出すれば、海岸線の自然や漁業など産業に莫大な被害をもたらすことになります。そのため、やはり交通機関は必要な基準を満たす必要があります。
このように経済的、安全上、社会的という3つの視点から一定のルールを満たすというのが規制によって義務付けられています。

元々は公益を守るということ、あるいは未成熟な時代の航空会社や新しい産業を振興するために今設定されているものが規制と思いますが、ただその後、政府が需給調整、需要と供給の調整をするよりもむしろ市場原理に委ねた方がうまくいく、あるいは公営事業よりも民間で運営する方がむしろ効率的であるということがかなり規制緩和されてきました。例えば誰もが知っている国鉄からJRに移行したことやJALのような国営の航空会社は海外にはヨーロッパなどに非常に多くありましたが、今は公営化、あるいは民営化されてきていることは世界的な流れです。だから、規制緩和や自由化の方向には向かっています。以前あった官庁の規制というのは、どんどん緩和されてきています。
日本国内の交通機関を見ても、例えば以前は免許制であった様々な交通事業が許可制になります。免許を取らないといけないというのが許可で済みます。あるいはかつて事業を辞めることや路線を止めることというものが許可制でしたが、今は事前通告だけでいいです。例えば運賃や料金の認可制が廃止されて自由に設定してよくなり、規制緩和の自由化の流れにあります。
一方で恐らく最後まで残るだろうなというのは、やはり安全性の確保や消費者の保護の問題と思います。恐らく企業の自主規制には任せられないということです。経済性優先でないがしろにされると不利益を被るのは消費者であり、まさに公的な問題が生じるということになると思います。

今日のまとめです。規制とは経済的な、あるいは安全上、社会的な観点から運輸機関、交通機関について行政によって行われてきたことです。確かに短期的な視点から見ると市場原理に委ねることで、より効率的に事業を運営されることもあり得ます。そのために多くの規制は緩和されてきました。ただ、一方で安全性の確保や消費者の保護ということを考えてみると、やはり最後まで公益性は残るのかと思います。規制は必要なのかなとも思っています。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ