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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 事業の「意味」や「目的」が問われる時代 (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

事業の「意味」や「目的」が問われる時代

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

19/02/14

【今回のまとめ】
・トヨタほどの優良企業ですら、「自動車会社からモビリティの会社へ」と、自社事業の「意味」や「目的」を再定義しないと生存できない時代になっている。皆さんの会社でも、自社事業の「意味」や「目的」を再確認してみては如何だろうか。

・近年、IoTやAIを始めとして、様々な技術革新が急速に進み、製品開発のハードルが下がり、そのスピードも加速している。
・例えば、アプリのアイデアを思いついたら、直ぐにプロトタイプを作成し、リード・ユーザーの評価を得ながらいち早くローンチする、といった行動を簡単に取れる時代になっている。あるいは、ファブラボと呼ばれるものづくりの設備を揃えた施設が市内に充実し、3Dプリンタを使って短時間で試作品を作成し、潜在顧客のフィードバックを得る、といった行動が取りやすくなっている。
・その結果、多種多様な製品が市場投入されることになり、熾烈なシェア争いが加速し、競争に敗れて撤退を余儀なくされるケースも多い。
・このような状況で、何を手がかりに自社の事業のあるべき姿を見出すべきなのか?今回は、事業の「意味」や「目的」を問うことの重要性について考察してみたい。
・まず、「統計学が最強の学問である」の著者の西内氏のツイートを紹介したい。

ヒューレット・パッカードの初期を支えたデザイナーが「『新しいトースターを作ろう』ではなく『温かくてこんがりしたパンを得るための方法を考えよう』と言い換えるだけであらゆる可能性が生まれる」という言葉を残してるんだけど、これは大抵の仕事において大事な考え方である。


・これはまさに、事業の「意味」「目的」を考える、ということに当てはまる。製品開発に携わる担当者が開発に没頭するあまり、ついプロダクトそのものの完成度や機能性のみに執着してしまい、それがユーザーにどのような意味をもたらすのかという視点が置き去りにされてしまいがちだ。
・先のヒューレット・パッカードのデザイナーの例では、開発目的を「トースター(名詞)」にするか「こんがりしたパンを得る(動詞)」にするかで、結果が全く異なったものになることを示している。
・『デザイン思考』の分野では、開発目的として「名詞」ではなく「動詞」を意識することが重要だと指摘されている。例えば、『デザイン思考』を用いた製品デザインで知られるコンサルタント会社IDEOの創設者ビル・モグリッジは、「我々は動詞をデザインしているのだ。名詞ではない」と延べている。人々の真のニーズは「動詞」の中に隠れており、例えばそれが「こんがりしたパンを得る」ことであって、必ずしも「トースター」が最善策とは限らないのである。
・また、ベルガンディというイタリアの経営学者は、その著書「突破するデザイン(2017)」の中で、「食べ物」を例に挙げながら、その目的は「健康的である」、「パートナーと料理することで、同じ感覚を共有する」、「現地生産を支援して、持続可能な社会を実現する」といった具合に様々に異なることを示している。
・多摩大学教授で同大学目的工学研究所の紺野登氏は、「企業1社では対応できない社会や環境の激動に対して、目的を媒介にして競争ではなく協業し、社会的に意義あるイノベーションや事業を創造しようというのが時代の大きな流れだ」と延べている。
・近い将来、トイレは「用を足すための設備」だが、IoTなどのデバイスの進展によって、これからは「日々の健康をモニタリングするデバイス」という新しい意味を持つかもしれない。あるいは衣服は、「調温・調湿+ファッション」を目的としてきたが、「体温や心拍モニタリングによる体調管理デバイス」という意味を持ち始めている。
・トヨタ自動車の豊田章男社長が、2018年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショウ)で、新しいコンセプトカー"e-Platte"を発表した際に、「トヨタは自動車メーカーから、モビリティの会社になる」とスピーチして話題になった。トヨタほどの優良企業ですら、自社事業の「意味」を再定義しないと生存できない時代なのだ。
・製品を開発して世の中に出すにあたって、その「意味」や「目的」をどう設定するかで、出来上がる製品が全く異なる。我々は、事業や製品の「意味」や「目的」を問うことが極めて重要な時代に入っているのである。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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