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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 中間選挙後トランプと対中国戦 (企業財務 M&A/村藤功)

中間選挙後トランプと対中国戦

村藤功 企業財務 M&A

19/01/22

今日はまた、トランプ大統領の話をしたいと思います。アメリカの中間選挙がどうだったか覚えていますか? 中間選挙では、上院の多数は共和党が維持したのですが下院で負けて、ねじれ国会になってしまいました。下院で負けたのにも関わらず、勝ったとトランプは主張しています。その後、何をやり始めたかと言うと、ケリー首席補佐官やマティス国防長官をクビにしたのです。この二人が歯止めだったのですが、二人の歯止めを欠いて、トランプの言いなりの人達ばかりを周りに集めて大丈夫なのかという心配がちょっとあるでしょう? 司法省でもセッションズ司法長官を辞めさせて、ローゼンスタイン司法副長官がもう私は辞めると言って辞表を出したところです。周りに嫌なことをいう人は置いておかないということに相変わらずなっています。2月にはロシアゲートを捜査しているモラー特別検察官が報告書を出すのですが、そうすると下院が弾劾するかどうかという話になってきます。

まず、どうやって中間選挙を勝ったのかです。中南米から来る移民キャラバンは許さないと言っていたのは覚えていますか? 最近言っている事は、国境にやっぱり壁を作る、です。これは最初の選挙で大統領になる時からずっと言っているのですが、国境の壁の建設費用として57億ドル位の予算を計上しない限り予算に署名をしないと言って、一部の政府機関が閉鎖されています。次に、外交防衛に関するトランプ政策の進捗です。中国に対しては、昔は中国に関与しておいた方がいいのではないか、豊かになってくれば民主的になるのではないか、技術はどっちみちアメリカの圧倒的優位は揺るがないだろう、と思っていました。ところが、習近平はずっとやるつもりのようだし、最近中国の技術も結構アメリカに追いついてきているようです。その結果、中国とアメリカとの間に新冷戦が始まりつつあるのです。

一方で、中東からアメリカは撤退し始めています。アメリカは世界の警察ではないとオバマ前大統領が言い始めたのですが、無駄だから撤退するとトランプ大統領もずっと言っていました。去年の12月にアメリカ軍をシリアから撤退するぞと言い、これに対してマティス国防長官がまずいのではないかと言った事が辞任のきっかけになりました。シリアから撤退するとか、アフガニスタンの軍隊を半分にするとか、そういう事をやっているわけです。マティス国防長官としては、撤退なんかしたらロシアとかイランとかアサド政権が喜んでしまうと考え、他の同盟国もブツブツ文句を言っています。そこで、アメリカの国会でも、トルコがクルド人を越境攻撃するような事になったら大変だ、そうしない約束をする前に撤退しないようにしようとか、最近ちょっと話が変わってきています。

中国との貿易戦争は、最初は鉄・アルミで全世界と始まったのを、通商法301条で最初は340億ドルに25%、それから160億ドルに25%から始まって、2000億ドルに10%の関税を掛けることになりました。2000億ドル分については今年の1月から10%から25%に上げると言っていたのを、12月の初めにトランプと習近平が会談をして90日の交渉猶予をあげましょうという話になりました。3月1日までに納得のいく案を出してくれればいいが、ダメだったら3月2日から25%に上げるぞという話になっています。しかし、新冷戦下でそんなことを本当に合意できるのかがとても心配です。

一方で、アメリカの国内でも色々な影響が出始めています。関税を上げたら中国が困るだけだとトランプは思っているらしいのですが、本当はアメリカにも困る人がいっぱいいますよね。GMが北米の5工場を停止するとか、AppleのiPhoneが中国で売れないとかが起こっているのです。これからどうなるのかですが、中国は相当な提案をしてきたので、90日の間に色々交渉している訳です。中国は1兆2千億ドルくらいの輸入拡大策を示しました。元々最初にトランプが文句を言ったときに、中国はアメリカから中国への輸入を拡大すると言ったのにアメリカが関税を上げてきたもので、じゃあ報復だとなりました。アメリカが関税を引き上げて、中国も報復で関税を引き上げて、両方でお互いにやったらやり返すというようなことをやってきたわけです。

実際に、アメリカの中国への大豆輸出は、去年の6月に63万トンくらいだったものが11月にはもうゼロになってしまいました。63万トンは2億7千6百万ドルくらいの話なので、300億円以上の話です。これが無くなってしまったので、アメリカも困っている訳です。ただ、アメリカとしては、中国に追いつかれて、世界のスーパーパワーはアメリカだけではなく中国もだ、という話になるのは嫌です。そういう意味で、中国をやっつけるという方針はトランプと共和党だけに限られず、民主党とアメリカ国民も大賛成している状況です。しかし、トランプに対して習近平が全部OKと言うわけはないでしょう? そもそも、もし共産党を解散して民主的な国にするまでトランプが我慢しないのだとすると、そんな事を中国が認めるはずもないわけじゃないですか。そういう意味では合意される可能性はそんなに大きくはないという状況です。

今日のまとめです。トランプ大統領は中間選挙で下院の多数を失ったわけですが、中国との貿易戦争だとか移民の入国阻止をやって、上院の多数は維持しました。ケリー首席補佐官やマティス国防長官も更迭して、もう歯止め役がいなくなっています。海外からの様々な文句を考えれば次の大統領は民主党になっても良さそうなものですが、本命候補者がいません。そのため、2020年の大統領選挙でまたトランプになるという可能性が結構強くなってきているのです。去年の12月1日の習近平との会談で、3月1日までに合意できれば、2000億ドル分の関税を10%から25%に上げないという事になったのですけれども、もうアメリカと中国はある意味新冷戦が始まっているという状況の下で、合意できる可能性がどのくらいあるのかと言うとちょっと疑問があります。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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