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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > シェアリング・サービスについて考える(1) (企業財務管理、国際金融/平松拓)

シェアリング・サービスについて考える(1)

平松拓 企業財務管理、国際金融

18/12/12

10年前には聞いたこともなかったシェアリング・サービスですが、今やそれに関連した話を聞くことは珍しいことではなくなりました。それだけ急速に身の回りに普及してきた訳ですが、しかし、何故、シェアリング・サービスがこうまで急速に広がってきたのか、そして、規制との関係はどうなっているのか、こうしたことについて、今回と次回の2回で考えて見たいと思います。
皆さんはシェアリング・サービスを実際に利用したことがあるでしょうか。また、あるとしたら、具体的にはどのようなサービスでしょうか。この質問の答えは、シェアリング・サービスに何を含めるのか、ということで大きく違ってきます。ネットなどではシェアリング・サービスについて、「物品を多くの人と共有したり、個人間で貸借したりする際の仲介を行うサービス」といった解説をしているものがありますが、この場合、「仲介を行う」、つまり、プラットフォームの提供がシェアリング・サービスと定義している点で比較的狭い捉え方だと思います。この他に、自社で資産を保有して、それを不特定多数に提供するようなサービスを含めて考えることもできますが、この点は、次回、触れてみたいと思います。
この狭い定義に当て嵌まる代表例が、シェアリング・サービスの火付け役でもあるAirbnbやUBERなどです。前者は空き部屋・空きカウチ(couch:ソファの一種)を貸そうとする人と、それを探す人を仲介し、後者は空き時間に自家用車を使って有料で人を運ぼうという人と、車で安く便利に移動したい人を仲介するサービスで、企業はいずれもアメリカで、それぞれ2008年と2009年です。
実はこのタイミングは重要です。何故なら、一つには所謂リーマンショック、世界金融危機でアメリカ経済がどん底に落ち込んだ時期と重なっているからです。この2つのサービスはどちらも利用者にとって割安で、サービス提供者にとってはそれまでなかった副業収入をもたらす、まさに、時宜に叶ったビジネス・モデルだった訳です。そして、もう一つあります。それは、直前の前年の2007年にはAppleにより初代のiPhoneが販売されて、スマホの時代が到来したということです。
インターネットのお陰で、人々はHPやブログを通じ、或いはYOUTUBEに動画をアップして不特定多数の人に発信できるようになりましたが、さらにスマホの登場で、何時、何処にいても、その場所でネットに接続できるようになり、位置情報を通信相手と共有できるようになりました。つまり、ネットの世界と移動する個人を結ぶ、最後の一マイル(Last 1mile)が埋まった訳です。
太古の昔、人は物々交換で生きていたとされますが、人が一人、或いは共に生活する少人数のグループで直接獲得できるものは限られており、生活を豊かにするためには、交換が必要でした。しかし、この時は自分の欲しいものを誰が持っているか、誰が自分の持つものを欲しがっているかを知ることが難しく、欲しいものを得ることは簡単ではありませんでした。そのため、やがて通貨(貨幣)が使われるようになる訳ですが、同時に専業化ということも促されました。つまり、専業化すると、必要なものを得るために誰の所へ行けば良いかが明らかになる訳です。
しかし、このラスト1マイルが埋まり、人々がリアルタイムの情報で結び付けられたことで、必ずしも専業者のサービスに縛られる必要はなく、自分の欲しているサービスを、それをシェアしてくれる人から受けることが可能になりました。つまり、ホテルやタクシーを利用するのではなくて、簡単に人の家の空き部屋に泊めてもらったり、自家用車で安く運んでもらえるようになったのです。
こうしたことがシェアリング・サービスのこの10年間の急激な普及の背景にある訳ですが、同時に、このシェアリング・サービスの展開は、やや大げさな表現になるかもしれませんが、太古の昔から現在の社会・制度に至るこれまでの進化の前提が変化したことも意味している訳です。つまり、この情報があれば、今ある社会や経済に至る進化とは別の進化があり得たことになります。そのように考えると、今、起こりつつある変化は本の序の口で、今後とも大きな変化が生じる可能性を秘めているということができるのではないでしょうか。

まとめ:シェアリング・サービスの普及の背景には、スマートフォンの普及によって移動する個人とネット情報の間の最後の1マイルが埋まったことで、消費者が必ずしも専門業者のサービスを利用する必要がなくなったことがあります。同時に、このことは、これまで進化してきた私たちの社会や経済に、まだまだ大きな変化をもたらす可能性を秘めていると考えることができそうです。

分野: ファイナンス 国際金融 |スピーカー: 平松拓

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