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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 「目」の効果 (産業組織心理学、社会心理学/三上聡美)

「目」の効果

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

18/11/28

今日は「目の効果」についてお話をします。

みなさんは、田んぼや畑や公園などの「え?こんなところに?」という場所で鳥居を見たことはありますか。最近よく見かけるようになりましたが、私が住んでいた鹿児島では、よく「たのかんさあ(田の神さあ)」という石像が田んぼの畦道に置いてあります。「たのかんさあ(田の神さあ)」とは、豊作を願う風習として祀られている神様のことです。鹿児島弁で、神様を「かんさあ」と言います。私はそれに見慣れているせいか、意外なところにある鳥居はあまり気にはならないのですが、それでも小さな鳥居が増えたなという風に思っています。この増えてきている小さな鳥居ですけれども、ごみのポイ捨てや犬の糞の放置防止のために作られていることが多いのです。これは意外と信仰心が厚い日本人の心理を利用した方法で、鳥居が側にあることで、「神様が見ているかもしれない」という気持ちにさせて、ちょっとした悪い出来心を防ぐ効果があるとして広まっていきました。

さいたま市では、バージョンアップした鳥居が効果を発揮したというお話があります。高さ1mぐらいの鳥居の2本の柱の真ん中に目玉が付けられました。その目が付いた鳥居は、周辺に50から60ぐらい点在しており、道行く人たちはびっくりしているみたいです。夜に見ると更に怖いですね。しかし、その効果は抜群で、ずっと悩まされていたごみの投棄と撤去のいたちごっこはなくなったそうです。鳥居と目の組み合わせは、少し怖いですが、効果的だったようです。鳥居との組み合わせに狛犬ではなくて、目をチョイスしたところが、やはり目だけに目の付け所が良かったのかもしません。

「他人の目」というのは、人をお行儀良く振る舞わせたり、正しい行動をとらせたりする効果があるようです。ここで一つ面白い研究をご紹介しましょう。
2種類の異なるポスターをレストランに掲示して、お客さんがどのように反応するかを調査しました。まず、無人の飲み物コーナーを設置して紅茶とコーヒーを用意しました。飲みたい人は近くに置いてある料金箱にお金を入れて、飲み物をコップに注ぐシステムです。追加料金を払えばミルクを追加できます。販売する人がいない状況で、お客さんがきちんとお金を払うのかどうかを調べました。更に、この飲み物コーナーの近くに、飲みに来た人の目の付きやすいところに、人の目と鼻のポスターを貼っておきました。その結果、鼻のポスターを貼った時よりも、人の目のポスターを貼っていた時の方が、料金は支払われていることが分かりました。この結果から、目のポスターを貼ることによって不正が防がれたということが分かりました。

同様の実験がもう1つあるので、ご紹介します。利用者自身がごみをごみ箱に捨てるように求める文章が書かれたポスターを貼った実験です。このポスターは2種類用意されており、一方にはお花、もう一方にはこちらを見つめる瞳の写真が使われました。ポスターに目をとめて食事の片付けをしたお客さんの数を調べたところ、花のポスターを掲示した時に比べて瞳のポスターを掲示した時の方が、2倍の数のお客さんが指示に従ったという結果となりました。この研究の結果から、実際の人の目でなくても、絵や写真で描かれた目でも見られているという気持ちにさせられることがわかりました。先程の鳥居の場合、神様が見ているかもしれないという気持ちにさせる鳥居と、誰かが見ているかもしれないという気持ちにさせる目が相乗効果をもたらしたのかもしれません。

仕事や勉強で集中力を高めたい時や、作業をはかどらせたい時、目のポスターを壁などに貼ってみてはいかがでしょうか。上司や先生に監視されている気持ちになって作業が進むかもしれません。また、家や職場よりも、ファミレスやコーヒーショップなどで作業する方がはかどると言う人もいますが、みなさんは、どちらでしょうか。

実は、「見物効果」といわれ、作業している時に他人にその姿を見られることによって、作業の質や速度などが影響されるという効果があります。見ている人が知り合いでなくても、お店の中の誰かに見られていると感じていることで頑張らなくてはという気持ちが無意識に出てくるのだそうです。
また、SNSでも筋トレやダイエット、節約などを頑張った結果を載せる人がたくさんいますよね。おそらくそうした人たちも、不特定多数の人に見てもらい、「いいね!」をたくさんもらうことで、更に頑張ろうと気持ちを高めているのだと考えられます。

しかし、この「見物効果」については、他人から見られることによって作業がはかどらないという逆のパターンもあります。ファミレスやコーヒーショップでの作業は集中できず、家や図書館の個人スペースなどの、あまり人の目が気にならない場所の方が作業がはかどるという人は、逆のパターンに当てはまるので、「見物効果」は使えません。その人によって、どちらがやりやすいかが異なります。自分にあった方法を探してみてください。

では、今日のまとめです。
誰かに見られているという気持ちは、人に正しい行動をとらせたり、やる気を起こさせる効果があります。それは知らない人でも、あるいはポスターでも効果があるというお話でした。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

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