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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 仮想通貨(ビットコイン)について(その1) (企業財務管理、国際金融/平松拓)

仮想通貨(ビットコイン)について(その1)

平松拓 企業財務管理、国際金融

18/11/20


デジタル・エコノミーの関連で話題に上ることの多いものとして、仮想通貨があります。今回と次回、この仮想通貨についてビットコインを中心に話お話しします。

現在では数多くの仮想通貨がありますが、最初の仮想通貨であるビットコインは、現在でもその価値総額が最も大きく、代表選手と言えます。とはいえ、ここで言う仮想通貨とは一体どのように定義されるのでしょうか。わが国では「紙幣や硬貨ではなくて専ら電子データのみでやりとりされる財産的価値であって、円や外貨建ての資産となっていないもの」であって、「電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」と定義されています。最初の「円や外貨建ての資産ではない」というのは、それが独自の価値基準をもつということを意味しており、後の「電子情報処理組織を用いて移転する事ができる」というのは、所有者がそれを誰かに移転したら(支払った)、それで債権債務が相殺されて消滅する資産ではなくて、コンピューターネットワークを通じて転々流通するということを意味しています。

福岡で言えば、NIMOCAやSUGOKAなどにチャージされた価値も、同じ電子データでやり取りされる財産的価値ですが、これ等は基本的に円で交換価値が固定されている「通貨建資産」です。しかも、これ等は乗車券とか品物の購入に使われると、使用者が予め発行者に対して円(通貨)で払い込んでいた(チャージしていた)残高(債権)と相殺される形で決済されてしまうので転々流通はしない、という二つの点で仮想通貨とは異なっています。これ等は「前払式電子マネー」、或いは「前払式通貨建資産」という形で区別されています。

最初の仮想通貨であるビットコインは、2009年にSatoshi Nakamotoという日本人名を名乗る技術者による投稿に基づき開発された通貨システムです。このビットコインに代表される仮想通貨の大きな特色は、決済を記録するための、ブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳システムを採用しており、これが円など一般の通貨(以下フィアット通貨)と大きく異なる点です。フィアット通貨の場合は、中央銀行及び銀行システムが保有する台帳及び紙幣や現金によって価値の移転の証明がなされますが、ビットコインでは中銀も銀行システムも現金も不要で、電子的なデータがブロックチェーンを形成するコンピューターネットワーク上の台帳に記帳されることで証明されます。つまり、政府や中央銀行による管理なしで成立するシステムとなっており、さらに、特定の通貨建ての資産ではないので、グローバルに流通させることができる(その場合、為替リスクがなくなる)という利点を持っています。

当初は一部の専門集団(愛好者)の中で所有され、資産全体の規模も、1単位の価値も限られたもので、最初の取引ではピザ2枚購入するのに1万ビットコイン支払われたという話です。しかし、2013年頃のキプロスで起こった金融危機の際に、資本流出規制を回避する目的で資金が流入して資産規模が急拡大しました。ビットコインの供給量は予めシステムで定められていることから、その交換価格が急騰して注目を集めるようになった訳です。その後も、中国などからの資本規制策を逃れようとする資金の流入等でその価値は変動を繰り返し、2017年後半には一時2百万円を突破しました。

もう一つ、わが国でビットコインの名を広めたのは、仮想通貨と円などの通貨の交換を行う仮想通貨交換所において巨額の盗難事件が発生したことです。2014年に東京にあった当時世界最大規模の交換所、マウントゴッコスにおいて500億円近い価値を持つビットコインの盗難事件が発生し、本年(2018年)始めには、当時日本最大級の通貨交換所コインチェックにおいて、時価500億円を上回る仮想通貨NEMの盗難事件が発生しました。さらに最近でも盗難被害が繰り返されています。このような事件を通じ、投資対象としてのリスクの大きさで逆に注目を集める結果となってしまいました。

フィアット通貨類似の資産という性格からして、厳しい規制対象となってもおかしくないビットコインですが、一部の国で取引が禁じられたり、或いは交換所が閉鎖されたということはあるものの、一つには国境に縛られないので規制がしにくいということ、そして先端的な取引を悪戯に規制して新規技術の芽を摘みたくないという各国当局の姿勢もあって、多くの国で様子見が続いていました。我が国でも2017年になって漸く対応する法律「改正資金決済法」が施行され、仮想通貨交換業者の登録制が導入されました。

ビットコインの技術は公開されており、従って、類似の仮想通貨を作ることは難しくありません。実際に既にイーサリウム、リップルなどを筆頭に、数百もの仮想通貨が乱立しています。それでもやはりビットコインの知名度が圧倒的で、全体の資産価値(時価総額)は約13兆円と、2位のイーサリウムの約5倍となっています。

次回は、ビットコインについての評価を採り上げてみたいと思います。

今日のまとめです。仮想通貨とはコンピューターネットワーク上を電子データとして移動する財産的価値のことで、円などの通貨に価値が固定されないものです。代表選手はビットコインですが、これ等はブロックチェーン(コンピューターネットワークにより記録される分散型台帳)技術により、中央銀行を必要としない仕組みを有しており、従って国際的にそのまま通用し得る決済手段といえます。しかし、そのシステムは斬新な一方で、歴史が浅く、脆弱性を伴う面があるので、使用するには注意が必要です。

分野: ファイナンス 国際金融 |スピーカー: 平松拓

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