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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 提案価値の差別化―アンバンドリング (企業戦略、生産管理/目代武史)

提案価値の差別化―アンバンドリング

目代武史 企業戦略、生産管理

18/11/15

今回も差別化戦略についてお話します。企業がどのように他の企業と差別化を図るかということです。特に今日は、お客さんに対する提案価値をどのように届けていくか、そこの差別化について考えていきたいと思います。今日取り上げるのは、アンバンドリングというものです。

バンドリングとは束ねることですが、その否定型がアンバンドリングで、束になっていたものをバラバラにすることです。これが差別化戦略とどのような関係があるかということですが、ヒントは格安航空会社の経営にあります。格安航空会社は人や荷物を運ぶ以外の部分をオプションとして切り離して、それによって極めて低い運賃を実現しています。一般的なフルサービスの航空会社の場合は、食事や手荷物の運搬、毛布の提供などが運賃に含まれています。これがいわゆるバンドリングです。アンバンドリングの場合はこのような付帯的なサービスを運賃から切り離すことで低価格の航空輸送サービスを提供しています。つまり、バラバラにして、とにかく飛行機に乗って目的地まで行くことだけを運賃としています。但し格安航空会社の場合でも食事や毛布、手荷物の運搬といったサービスを提供しないわけではありません。これらはそれぞれのサービスに値段を付けた上でお客さんのニーズに応じて選べるようにしています。
もう一つ例を挙げると、理髪業のQBハウスという会社があります。この会社はいわゆる千円カットの先駆けです。従来の床屋さんはカット以外にも洗髪やひげそり、マッサージ等も含めて3,000~4,000円くらいの料金でした。所要時間は大体1時間弱くらいです。QBハウスの場合はカットのみで、洗髪やひげそり、マッサージなどはありません。更に、予約の受付やレジの現金のやり取りもありません。所要時間は約10分です。それで料金は1,000円に抑えられています(現在は若干料金が改定されています)。これよく考えてみると、一人10分なので1時間あたり6人回せます。そうすると、時間単価はフルに回ると1時間当たり6,000円ということで通常の床屋さんよりも収入は大きくなるということになります。お客さんにとっては欲しいサービスだけを受け取れ、企業にとっては余計な設備投資や作業を削り落とすことでコスト化を実現できます。
さらにもう一つアップルの事例をあげます。i-Tunesというサービスで音楽配信を行いましたが、これもアンバンドリングの一種です。従来の音楽は、いわゆるアルバム単位で音楽を購入していましたが、スティーブ・ジョブスが様々な交渉して、一曲単位で音楽を購入できるようにしました。従来であればアルバム単位でしか聞くことが出来なかったような楽曲も、一曲単位でかつ一元的に検索・購買出来るようなサービスを作ったことでで、従来日の目を見なかったような楽曲もダウンロード出来るようになりました。

では、アンバンドリングすることで何故価値が生まれるかということです。これはユーザーにとっては本質的なサービスのみに対価を払う一方で、不要なサービスに支払われていた部分をそぎ落とすことで節約に繋がるということが言えます。また、アンバンドリングの場合は決してその付帯的なサービスを無くすという意味ではなくて、各サービスに適切な値付けをした上でユーザー自身に選べるようにしています。だから、ユーザーに選択の自由を提供するということも一つの価値だと考えられます。
一方で企業にとっての価値ですが、このアンバンドリングというのはしばしば価格破壊をもたらすために既に市場で一定の地位を占めている企業にとってはかなり厄介な動きです。特に長く業界にいる企業というのはお客さまのニーズに応えるために様々な付帯的なサービスを提供していて、かつそこに設備投資や適切な事業体制を構築しています。例えば、先程の床屋の事例から言うと、60分掛かっていた接客を10分に短縮することはとても難しいですし、料金の面でも3,000~4,000円のものを1,000円に値下げすることはとても出来るものではありません。
アンバンドリングは既存の企業からするとかなり脅威ですが、新しく業界に入っていこうという企業、それから業界の中でも割と下位の立場にあって逆転をこれから目指していく企業にとっては非常に競争上の大きな武器になり得るということが考えられます。更に余計なものを削ぎ落とした製品やサービスを提供することでお客さんをまず掴む、その上で付帯サービスを排他的に提供することが出来ると更に利益を上げる可能性が広がってきます。例えば、格安航空会社の飛行機を考えてみると、運賃は安いので一旦搭乗すると飲み物や食事、毛布という機内の有料サービスを使う他ないので、そのような意味で言うと、一旦低価格でお客さまを囲い込んでおいて、更なる利益は付帯的なサービスからあげるというビジネスモデルも考えられます。

今日のまとめです。従来、束になっていたものをバラしてそれぞれに値段を付けて提供することをアンバンドリングと言います。差別化戦略は顧客に他とは異なる価値を提供することで競争上の優位を獲得する戦略ですが、アンバンドリングは価値の提供方法に関する戦術の一つと言えます。新規参入企業にとってアンバンドリングは有効な武器になることが多いといえます。ただし、新規参入企業同士でいうと、決定的な武器にはなりづらいということも注意する必要があるでしょう。

分野: 企業戦略 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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