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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 悲観的な話ほど聞こえて来やすい (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

悲観的な話ほど聞こえて来やすい

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/11/14

今回は、悲観的な話ほど聞こえて来やすいから注意しましょうという話です。
世の中には悲観的な話があふれていて、油断していると世の中ではすごく悪い事が起きているのではないかと思えて来ますが、そのようなことは無いので安心しましょうということです。情報を発信する人、加工する人、伝える人、それぞれに悪い情報を優先する可能性があります。

ドル高円安になったとします。輸入原材料を使っている企業は「大変だ」と大声を出します。「円安で輸入原材料が値上がりして苦しいです。社員はボーナスを我慢して下さい。下請け企業は部品の値下げをお願いします。政府は我々に支援をお願いします」と言います。
一方で、輸出企業は、海外から送られてくるドルが高く売れて儲かりますが、黙っています。「儲かってます」と言うと、従業員から賃上げの要求が来ますし、下請けメーカーからは部品の値上げの要請が来ますし、下手をすると税務署の調査員が訪ねてくるかも知れません。それだけではありません。日本人は、「儲かりますか」と聞かれると「ダメですね」と答える人々のようです。他人に自慢をするなと教育されて育つからでしょうか。自慢をすると妬まれるからでしょうか。もしかすると、本当に悲観的な遺伝子を持っているのかも知れません。
例えば、消費者に物価の見通しを聞くと、とても高い物価上昇率の数字が返って来ます。実現すれば日銀総裁が喜びそうな数字ですが、実際にはなかなか実現していません。企業に仕入れ価格の見通しを聞くと、やはり結構高い数字が返って来ますが、同じ企業に販売価格の見通しを聞くと、低い数字が返って来ます。日銀短観というアンケートを見ると、過去何十年もずっとそうです。もしも彼らの予想が当たっていたら、日銀短観に回答している企業のほとんどは今頃倒産していなければいけないというくらいの数字が並んでいます。

経済評論家について考えて見ましょう。来年の日本経済はどうですかと聞かれた時に、「大丈夫でしょう」というよりも、「心配なことが沢山あります」と答えた方が、賢そうに聞こえるでしょう。それだけではなく、話も面白く聞いてもらえます。「何も困ったことは起きず、順調です」では聞き手がつまらないですが、「たとえばこんなリスクがあります。別のリスクもあります」といった話をすれば、聞き手が飽きません。
トルストイの小説に、「幸せな家庭はどこも同じように幸せであるが、不幸な家庭はそれぞれに不幸である」という言葉があります。順調な経済はいつも同じように順調ですが、困った経済はそれぞれに困るので、色々な話が楽しく語れます。景気が良くなると予想している人は、景気が悪くなると人々に怒られます。皆が不景気で不機嫌だからです。景気が悪くなると予想している人は、景気が良くなっても怒られません。皆が好景気で上機嫌だからです。だから不景気を予想しておいた方が得だと言うこともあるかも知れません。
それから、今の日本では、楽観的な経済評論家が残っていないという面もあるようです。バブル崩壊後の長期低迷期に、楽観的な評論家は予想が外れ続けたので、すっかり人々の信用を失ってしまったというわけです。

マスコミは、悲観的なニュースや悲観的な評論家を優先する傾向があります。それは、顧客である情報の受け手がそれを期待しているからです。「何も起こりませんでしたし、今後も何も起きないでしょう」ではニュースにならないので、「大変なことが起こりました」「今後の展開が心配です」という方がお客への受けが良いです。お客の中には「どんな困ったことが起こりそうなのかを知ったうえで対策を考えたい」という慎重な人もいるでしょう。もちろん、他人の不幸は蜜の味、という事で困った話を聞きたがるという人も多いでしょう。
マスコミの役割として、政府が暴走しないように常に政府を監視して牽制するということが求められていますが、それを誤解して政府に都合の悪い情報ばかり流しているマスコミもあるので要注意です。もちろん、FM福岡さんのことではありません。
たとえば、政府が国民の年金を運用していますが、運用の損が出ると大きく報道するのに、運用で儲かるとあまり報道しないというマスコミは多いようです。そこで、政府は運用で損をしていると思っている人もいるようですが、ご安心ください。運用開始からのトータルでは、大幅な利益となっています。

今日のまとめです。世の中は、悲観的な情報があふれています。しかしそれは、情報を発信する人、加工する人、伝える人がそれぞれに悲観的な話を優先している結果かも知れません。本当の世の中は、そんなに悪いことばかりじゃない、という事かも知れないので、悲観的な情報は注意深く扱いましょう。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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