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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 財投と財政再建 (企業財務 M&A/村藤功)

財投と財政再建

村藤功 企業財務 M&A

18/11/09

今日は財投と財政再建という話をしたいと思います。財政投融資を財投というのですが、日本の財政は再建しないといけない程、困った事になっています。まず、政府セクターの借金はどのくらいあるか知っていますか? 財投債というちょっと毛色の変わった物を除いて、政府セクターの借金が千二~三百兆円あり、GDPの200%を超えています。アメリカやイギリスとかドイツ辺りは100%を切っているので、普通の先進国の優に2倍以上もあるのですよ。財務省がちょっと心配だからといって、中央政府の貸借対照表をホームページに毎年公表しているのですが、これによると去年の3月で483兆円の債務超過になっています。但し、中央政府が債務超過だからといって潰れるわけではありません。国債を発行して日銀が引き受けてくれれば、日銀はいくらでもお金を作れるので、民間企業の債務超過と政府の債務超過は違うわけです。

では、債務超過でもいいのでしょうか? 個人の相続では両親に負債があれば相続放棄できますが、政府に負債がある場合、国民は相続放棄不能で、結局、若い人達が返さなければならなくなります。おじいちゃんおばあちゃん達は政府から色々と社会福祉を受けて、死んだ後に借金を残す。そうするとサービスを受けなかった子供達や孫達、そして、まだ生まれていない人達は、気が付いてみるとサービスも受けていないのに返さなければならない借金が日本にあるという事になります。生まれながらに借金を負担しないといけないということは、ちょっと可哀相です。世代間不公平という意味では、債務超過をずっと継続している事はどうもあまりいい事ではなさそうです。

先ほど財政投融資はあまりみんな知らないという話をしましたが、結構大変な金額の財政投融資を少し前まで行っていました。実は、日本の国の予算が80兆円で財投が40兆円という具合に、半分が財投みたいな状況だったのです。民間銀行が危ないというので、国民は郵便局にお金を持っていきました。郵便貯金や簡易保険、それと年金を全部合わせると、ちょっと前まで500兆円位ありました。それを使って大蔵省の資金運用部が公的金融機関や公的事業会社に投融資を出して公的事業を行うことが財政投融資でした。日本は高速道路住宅、空港、港湾などのインフラ、それから年金、医療などの社会福祉を中心として大変なお金をかけてきましたが、これらは税金や掛け金だけで運営されてきたわけではありません。これまで財政投融資のお金を使って、インフラを作ったり社会保障をやったりして来ました。その結果、毎年の財投計画が国の予算の半分ぐらいに、あまりにも大きくなってしまったのです。こんなものをずっとやり続けていいのか、ちょっと小さくしようという話になって、2000年くらいに資金運用部を廃止しました。2000年に38兆円だった財投計画が2007年には14兆円に減り、大蔵省資金運用部が解体された結果、郵便局にお金が段々戻ってきたのです。

今、日銀が民間銀行から国債を買い集めて、ゼロ金利だとかマイナス金利だとかで、金利が殆ど無くなってしまっています。郵便貯金や簡易保険からお金が来なくなった公的事業会社や公的金融機関は、財投債とか財投機関債を発行しています。これは債券で、金利を払わないといけません。しかし、国債の金利をゼロ金利にしてしまったため、財投債や財投機関債の調達コストもほぼ0になってしまったのです。公的事業会社や公的金融機関は、ほぼゼロの調達コストで色々な事業をやっています。

最近の問題はプライマリーバランスで、小泉さんが2011年度までに黒字化すると言っていました。しかし、それはリーマンショックで無理だと言って麻生さんが断念しましたが、安倍さんが2020年までにプライマリーバランスを黒字化するとしました。プライマリーバランスとは国が国民から集める収入から国が支払う支出を引いたボトムラインを黒字にすることです。これが、赤字になると赤字国債を発行しないといけなくなります。2020年までに黒字にするというのは国際公約です。

来年の10月に消費税を2%上げる話があるのですが、これを上げたらどうなるか知っています? 残念なことに、消費税を上げてもプライマリーバランスは黒字になりません。元々全然足りない話なのです。1%で2.5兆円ぐらいなので、2%だと5兆円くらいになります。しかし、2%あげて10%にした位では全て借金の返済に使っても全然足りないのに、半分くらいは社会福祉に使おうみたいなポピュリズムが蔓延しているので、その結果、全然借金を返せないのです。もし、ゼロ%成長でなくて3%成長を見込んでも10~20兆円は赤字であり、普通にいったら30~40兆は赤字のままでしょう。そうすれば、また赤字国債がどんどん増えていく事になります。今の日本はGDPに対する借金の比率が218%あるのですけれども、アメリカ、ドイツとかそういう国だけではなくて、ギリシャの188%、イタリアの130%よりも日本の方が断然悪いのです。「日本は最悪なのですよ、実は」って私はずっと言っているのですけど、何も起こらないと皆なかなか「そうだね」と言ってくれないのです。

でもこのままというわけにはいきません。国は破綻しないけど、このまま赤字国債を発行し続けると国内でもう消化出来なくなります。政府がドル国債を発行して海外の投資家に買ってもらうとすると、払えなくなったら債務不履行になります。ある日突然IMFが乗り込んできて、あんた達経営ができないのでどけ、と言われるかもしれません。「社会福祉をどんどん削減するけどそれでいいですね」、と。日本国民は怒ってプラカードを持ってデモをするかもしれませんが、外から見れば、「あの人達はキリギリスで、先にお金を使って今債務を払えないだけ」と言われると思われます。何年か前にギリシャで同じ様な事がありました。今度は、我々がその時の様に外から言われるという時代がくるかもしれない、という事です。

今日のまとめです。日本政府は人口減少・少子高齢化による社会保障費の増大でほぼ破綻しており、本当は社会保障制度改革が必要です。財政投融資は一時縮小したのですけど、また最近増大を始めています。消費税を8%から来年10%に上げても全然足らず、国際公約だったはずの2020年のプライマリーバランス黒字化は全く達成出来る見込みがなくなってきました。でも具体的な期限は示されていない状況で、日本の政府債務のGDP比率は先進国だけでなくて、ギリシャやイタリアを含めても最悪という状況です。

分野: その他 |スピーカー: 村藤功

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