QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 同調 (産業組織心理学、社会心理学/三上聡美)

同調

三上聡美 産業組織心理学、社会心理学

18/10/23

今日は「同調行動」についてお話をしたいと思います。
8月に漫画家のさくらももこさんが亡くなりました。私は小学生の頃からずっと「ちびまる子ちゃん」が好きだったので、ショックで気持ちが沈んでしまい、思わず「ちびまる子ちゃん」をネットで検索してみました。すると、とても懐かしい話が出てきました。「憂鬱な参観日の巻」というお話です。

まるちゃんが恥をかきたくないからと、どうにかして授業参観にお母さんが来ないように画策するお話です。結局、お母さんは参観に来てしまいます。まるちゃんは、算数の授業なのに社会のノートを机の上に出してしまい、お母さんに飽きれられてしまいます。お母さんに良いところを見せたいまるちゃんは、さっぱり分からない算数の問題で、とりあえずみんなが手を挙げているからという理由で、手を挙げます。「どうせ当てられることはないだろう」と思っての行動でした。しかし、そういう時に限って当てられてしまうのです。結局まるちゃんは正解できずに、お母さんに飽きれられてしまいます。授業の最後にまるちゃんの描いた絵が入賞して褒められるという場面もあるのですが、そういう時に限って、お母さんはお姉ちゃんのクラスを見に行っていたという落ちのついた話です。

このお話の中の「みんなが手を挙げているからまるちゃんも手を挙げる」という行為は、今ではダチョウ倶楽部さんの「どうぞ、どうぞ」のネタがお馴染みになっていますね。この「どうぞ、どうぞ」という一連の流れは、今では子育てにも使えるそうです。先日、親戚が集まった時にイヤイヤ期の私の甥に、いとこ達が「どうぞ、どうぞ」作戦をしていました。
例えば、靴を履きたくないなどの理由で「イヤイヤ」と言っている時に、「じゃあ、私履こうかな」「私も」「私も」と色んな人が言っていたら、拒否していた子どもも「じゃあ履こうかな」となり、みんなに「どうぞ、どうぞ」と譲られて、結局履いてしまうようです。

さて、みんなが手を挙げているから自分も手を挙げるというように、周りの人と同じ行動をすることを「同調」と呼びます。飲み会での最初の1杯はビール、自分の仕事が終わっても周りがまだ仕事をしていると周りに合わせて帰らないというのも「同調」の一例です。

今日は、アッシュという人が行った同調実験をご紹介します。アッシュは、以前お話しした「印象形成」の実験を行った人でもあります。相手について様々な情報があったとしても、特徴的な1つの情報だけで相手のことを「こういう人だ」と決めてしまう人のお話です。
アッシュが行った同調実験は、標準サンプルと同じ長さの線を比較サンプルから選ぶ課題になります。例えば、標準サンプルの線の長さを10cmとすると、比較サンプルには7cm、10cm、9cmの線が書かれています。それぞれのサンプルをA、B、Cとしましょう。標準サンプルと同じ線は、当然Bですね。
アッシュは、まず一人ずつ「同じ長さの線はどれですか?」と尋ねました。すると、ほとんどの人が「B」と答え、間違えることはありませんでした。次にアッシュは、7人集団で実験を行いました。実は、その7人のうち6人はサクラです。6人のサクラがわざと違う答えを言って、最後の1人の験参加者はどのように答えるかという手続きを行いました。その結果、ほとんどの参加者が、サクラの6人に引きずられて違う答えをしたという結果になりました。
では、なぜ同調が起こってしまうのでしょうか。
ドイチェとジェラルドという人達は、その理由を2つ上げています。1つ目は、人は正しく反応したいと思っていても、自分の判断に自信が持てない時には、周りの人の情報を正しいものとして受け入れてしまう傾向があると述べています。もう1つは、人は周りの人に好かれたいという気持ちから、なるべく周りから逸脱しないようにしてしまうためだとされています。

また、同調は、自分と異なる反応をする人の数が多いほど起きやすいと言われており、さらに、同調は全会一致で異なる反応をする時に起きやすいと言われています。先程ご紹介した線の長さの実験で、6人中1人でも正解を言う人がいれば、7人目の実験参加者は正解が言いやすくなり、同調が起こりにくくなってしまいます。しかし、7人のうち、6人が同じ答えを言った場合、最後の1人は前者と違う答えを言いにくくなるわけです。同調行動には個人差や文化差もあります。他者と一線を画そうとする傾向の強い人は、あまり同調しないようですが、日本人は同調傾向が高いと言われています。

皆さんは、こんなエスニックジョークを聞いたことはありませんか。
「様々な民族の人が乗った豪華客船が沈没しそうです。その時に、日本人の乗客を海に飛び込ませるにはどのように声をかければいいでしょうか」という問題です。

答えは、「もうみんな飛び込みましたよ」と声をかけると良いそうです。そう言われると、日本人は「なら私も」と海に飛び込むんだそうです。
ちなみにアメリカ人には「海に飛び込んだらヒーローになれますよ」。ドイツ人は、「規則では海に飛び込むことになっています」というのが答えのようです。ドイツ人と日本人は似ているところがありますね。

では、今日のまとめです。
周りの人と同じ行動をすることを「同調」と呼びます。同調は、集団がうまく纏まっていくためには必要な行動であり、そして纏まりの良い集団ほど同調行動が起こりやすいとされています。しかし、同調することが逆にマイナスになることもあるため、その時は注意が必要です。

分野: 社会心理学・組織心理学 |スピーカー: 三上聡美

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ