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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > レゴブロックを活用したビジネス研究 (管理会計、コストマネジメント/丸田起大)

レゴブロックを活用したビジネス研究

丸田起大 管理会計、コストマネジメント

18/10/19

前回は、大学でのビジネス教育の場でおもちゃのレゴブロックが大変活用されているというお話をさせていただきました。今日は、ビジネスに関する学術的な研究の場でもレゴブロックが使われているというお話をしたいと思います。

私自身が関わっている研究の例を紹介しますが、我が国の企業では新製品の開発・設計段階で目標原価を設定してコストを作り込んでいくという活動が広く行われており、一般に原価企画と呼ばれています。例えば、目標原価を変えたら、原価低減効果、つまり原価を引き下げようとする努力にどのような変化が生じるかといった課題を研究する場合に、企業にその目標原価を変えてくださいというお願いをする事は企業側も迷惑でしょうし倫理的にも問題がある。そこで、研究者達は学生達に協力をしてもらって、大学の教室で実験を行う。この学生を被験者とした実験研究の1つのツールとしてレゴブロックが活用されているという事になります。

どのように活用しているかといいますと、原価企画の研究の例では、レゴブロックで作ったトラックのモデルチェンジをしてもらうという作業を設定したりします。実験参加者の募集という形で、通常のアルバイト求人のような広告を貼りだして、理系・文系・男子・女子といった様々の属性の学生を集めてきます。集まってきた学生達をお互いの作業を見る事が出来ない囲いのついた机、そういったものに座ってもらって、例えばトラックの現行モデルが200万円となるように、ブロックに材料費や労務費の値段を設定しておいて、モデルチェンジにあたって出す必要がある仕様の変更だとか、品質水準っていったものも指示しておきます。

その上で学生に与える目標原価の水準を例えば180万円、170万円、160万円といった3種類ぐらい用意しておいて、それを学生にランダムに与える。同じくコストを設定しておいて、取り替え可能なブロックセットを渡して、同じだけの制限時間を設定して、それぞれ学生にモデルチェンジの作業をしてもらう。時間がきましたら最終的なニューモデルのトラックを提出してもらって、コストがどれぐらい下がっているか、仕様とか品質を満たしているかといったチェックをする。その結果を見てみますと、もちろん難易度の高い厳しい目標原価を与えられた人ほどコストをより下げていたというとてもシンプルな効果を確かめる事ができました。

しかし、目標原価の難易度が高かった学生ほど仕様とか品質を充分には満たせていなかったという問題も生じていました。つまり、原価を下げるために仕様とか品質を犠牲にしてしまうという行動が学生を使った実験でやっても生じたという事になります。おそらく、現実の実務でも起きている事が学生にも起きるという事です。

さらに気になる傾向というのがありました。実験の参加者の中には経済学部の学生も含まれていましたので、彼らは授業で会計学などを学んでおり、他の学生に比べればコストの知識をもっている。コストの知識をもっている学生の方が、そうでない他の学部の学生よりも高いパフォーマンスを示すと期待していたのですけども、結果はその逆になった。実験結果を見てみますと、目標原価の水準として色々な水準を与えましたけども、経済学部の学生のコストの下がり具合はあまりよくなかったという結果になりました。

いろんな解釈が可能かと思いますが、経済学部生がコストの知識があったがために、その目標原価に到達するという事を非常に優先して、モデルチェンジを進めながら今コストがどの程度まで下がっているかというのを非常に気にして、見積もりながら作業をして目標に到達したらそこで満足してしまってそれ以上の努力をやめてしまった。これに対して、コストの知識をもっていない他の学部生の方がコストの事はあまり気にしないで大胆にモデルチェンジを続けて、結果として最終的には目標原価を超える大きなコストダウンが実現していたというような事が起きていたのかもしれません。

以上の実験によって、目標原価の水準が厳しいほどコストを下げる努力を引き出す事が確かにできそうですが、仕様や品質といった他の要素を犠牲にする可能性が高まったり、またコストの知識をもっているという事は、大胆なコストダウンにとってはむしろ足枷になってしまうという可能性があるのではないかという知見が得られました。こういった知見は実際のビジネス実務においても示唆があるものではないかと考えております。

以上の一例ですけども、実験にレゴブロックを使うという事になれば世界中で同じブロックを購入できますので、世界中で一斉に同じ実験をする事ができて、多くのデータを集める事ができる。またブロックを使う事によって学生の満足度自体が高まる事がありまして、教育効果と研究成果を同時に得られる一石二鳥というような状態が期待できるという事になります。

今日のまとめです。大学のビジネス教育や研究の場面でおもちゃのレゴブロックは、教育効果と研究成果を共に与えてくれる貴重なツールとなっていますので、ぜひみなさんのお宅でも、お片付けは大変でしょうがお子さん達にブロック遊びをぜひさせておいてくださいというお話になります。

分野: コストマネジメント 管理会計 |スピーカー: 丸田起大

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