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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 経営は矛盾との対峙 経営者 ・コンサルタントと して学んだ5つのこと① (企業家リーダーシップ/廣瀬 聡)

経営は矛盾との対峙 経営者 ・コンサルタントと して学んだ5つのこと①

廣瀬 聡 企業家リーダーシップ

18/10/01

これから5回に渡り、「経営者」についてお話していきます。私の約30年の社会人生活のうち、20年をマネジメントコンサルタントとして、有名な経営者のみなさんと関わり、また自分自身も経営の立場にたってきた経験を踏まえ、経営者の姿についてお話していきたいと思います。シリーズ1回目の今日は、「経営とは矛盾との対峙である」というお話です。

経営には矛盾がたくさんあります。例えば、「売上を上げなければならない」と思っているとします。しかし、実際に売上が上がってくると、今度は「コストを下げろ」「短期的な課題を解決しろ」と言われ、それらを解決すると、今度は「長期的な本質的な問題はどうだ」と言われてしまいます。そうした点で言えば、常に矛盾と対峙しなければならないというのが経営の仕事ではないかと思います。

ここで、より皆さんに具体的にイメージしていただくために、実際に私が経験した話をしましょう。
ある会社の中で大きな組織改革をすることになりました。それまでの組織は、「営業組織」だったのですが、実際の営業をする人もいれば、事務をする人、入ってきた電話をとる人など、それぞれが複数の役割を担っており、あまり効率的ではありませんでした。そうした現状を受けて、コンサルタントの私は、「きちんと職務職責を明確にしましょう」と提案し、実際に自分が役員に入り実行していきました。最初は大きな結果が出ました。ある意味でヒーローになりました。その人の役割をきちんと決めてあげると結果はついてきました。ところが、1年、2年、3年目あたりから変調をきたしてしまいます。どういうことかと言うと、これまでは、何か大変な時1人が夜遅くまで作業をしていると、大変そうなオーラに気付いた仲間が、夜遅くまで残って一緒に作業してくれたり、みんなで残業した後に「ちょっと飲みに行こうか」と労をねぎらったり、お互いのことを理解しながら助け合うことで相互理解が進み、結果としてチームとしての一体感がうまれていました。ところが、私が役割と職務と職責を明確にしたことで、実は私自身がこのチームに壁を作ってしまっていました。結果的に3年後、夜宴会で私が呼ばれてみなさんの話を聞いていて感じたのは、「これまずいことをしてしまった」ということでした。本当の意味での組織の強さ、チームでの一体感といったものを結果的に壊してしまってるんじゃないかという思いでした。短期的な結果は達成できましたが、その後環境が変わっていく中で、いざという時にみんなが協力して新しい環境に合わせていくような組織としての力を失わせる結果となってしまったわけです。そうなると何が起きるかというと、それぞれがそれぞれの仕事をして、チームとしてまとまらなくなり、結果的には売上が上がらないばかりではなく、良い人達が1人、また1人と辞めていってしまいます。そうなるともう会社としては大変なことです。次に起きるのは、それが専門に出来る人達を入れて穴を埋めようとしていきます。そうすると更に組織としての一体性が失われていき、変わりゆく環境の中で対応出来るチームが失われていってしまいます。

この話を振り返ってみると、「短期の結果を求めて、長期の結果を失ってしまった」あるいは、「部門の1つ1つのチームの最適を図ったけれども大きなチームとしての最適というものを失ってしまった」という観点では、結果的に私は短期的には良かったかもしれないけれども、この組織そのものにとっては悪いことをしてしまったという結論になります。

ここで最初のテーマ「矛盾との対峙」を思い出してみてください。この例では、「それぞれの役割をきちんと明確にする」こと自体は非常に大切なことですが、同様に「チームで1つになる」ということも大切であったわけです。つまり、この2つに矛盾があったといえます。そのため、最初のプランをたてる時には、そうした両方の影響をしっかりと考える必要があります。短期の結果を出す時には、長期の影響を考えて、例えばこの時の私のケースで言えば、「職務職責(役割)を明確にした(=壁を作った)」とすれば、一定期間毎にお互いをよく知るような人事異動を入れてあげるとか、あるいは定期的に組織横断的に飲み会を開くための予算をつけるなど、そういった長期的な展望を考えた上での対策を考えなければなりません。そこにある意味で「矛盾との対峙」という言葉を使っているわけです。「短期(的な結果)」と「長期(的な結果)」の両方を見ながら解決策を考えていかなければならない。そして今の話で言えば、「個々のスキルを高める」ということと、「全体の和」のバランスをとって考えていかなければなりません。私自身この計画を立てた時は33歳でした。その時には「短期的な結果」、あるいは振り子で言えば片方に降ることが正しいという風に信じていましたし、それをやりきることこそが価値に繋がると思っていましたが、実際にその後自分が経営の仕事に就いてみて、たくさんの社員やその家族の人生を含めて考えるようになり、一方の見方だけではいい結果には繋がらないということを私自身が学びました。そうした経験を経てみてみると、他の優れた経営者の方々も一方に振れるのではなく、両方のバランスをとった良い経営をされていることにようやく気付くようになっていきました。

では、今日のまとめです。ビジネスは矛盾との対峙です。1つの答えがあるという世界ではありません。その場、その場、現場、現場に答えがあります。だからこそ目の前のことに真剣に取組ながら、簡単な答えを出してはいけません。さらにどうするべきかについてはまた次回お話したいと思います。

分野: 企業家リーダーシップ |スピーカー: 廣瀬 聡

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