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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > デフレは終わった (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

デフレは終わった

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/10/05

今日はデフレが終わったという話をします。前回、デフレは困ったことだという話をしました。物価は下がる方が上がるよりありがたいと考えている消費者は多いのでしょうが、日本経済全体の事を考えると、物価が緩やかに上がる事の方が下がるより良いことなので、そこはご理解いただければと思います。今回はそのデフレが終わった、物価が上がり始めた、良かったね、という話をするわけです。

昨年の秋にヤマト運輸が値上げをしました。その時私が考えたのは、ちょっとまてよ、これはライバルたちに客を奪われて大丈夫かと思ったわけです。バブルが崩壊してからの日本経済は、ずっと長い間経済が低迷していたので、各社が値下げをしてライバルから客を奪うことばかり考えて値上げをする勇気のある会社はありませんでした。しかし、実際にはヤマト運輸が値上げをしたらライバルたちも値上げをしたのです。これは私にとってはすごく大きなニュースだったわけです。ライバルたちも労働力不足に悩んでいるので、値上げをしないでヤマト運輸から客を奪い取ってこようと考えることが出来なかったわけです。もっといえば、値上げをしないと、ヤマト運輸から荷物が流れこんできて運びきれないということを心配したのかもしれません。

実際、日本郵便は値上げのタイミングがちょっとヤマト運輸より遅かったので、荷物が流れ込んできて、年末の一番忙しい時に運びきれなくて混乱したという話も聞こえてきました。みんなで値上げをすると、各社ともに客の数はそれほど減らないので、各社とも収入が増えるはずです。そうなると、ヤマト運輸としてはもう一回値上げをして、もっと収入を増やそうと考えるかもしれませんね。従業員が忙しすぎるので少し荷物の量を減らしたいと思っているわけです。それなのに値上げをしても荷物の量も客の数も減らなかったということは、もっと値上げをしないといけないと考えるのが自然です。

宅配便業界で値上げが始まったということは、他の業界でも同じ動きが広がってくる可能性が強いと思います。もう既に似たような動きが出ている業界もありますし、これからどんどん広がるでしょう。宅配便業界が高いアルバイト代を払って他の業界からアルバイトをどんどん引き抜いてきています。値上げしたら収入がいっぱい増えたので、じゃあ高いアルバイト代を払ってアルバイトをかき集めてこようというのは分かるのですが、そうなると他の業界も、アルバイトを引き抜かれたらたまらないので、時給を引き上げないといけません。そうなると他の業界も値上げしないとまずいということになってくるだろうと私は思っているわけです。

もちろんすぐ値上げをする業界もあれば、しばらくたってから値上げをする業界もあるでしょう。しかし、私からみるとヤマト運輸の値上げが、デフレが終わってインフレの時代が始まったんだよということを伝える号砲が鳴り響いたというふうに感じられたわけです。景気が回復をはじめて5年もたってやっとデフレの時代が終わったのか、という感じで感無量です。

1つずつ順を追って考えていきましょう。景気がとっても悪い時、どこの会社も社内に暇にしている人が大勢居ます。景気が回復をはじめてちょっとずつ仕事が増えてきても、社内で暇にしている人たちが忙しく働くようになるだけですから物価は上がりません。ちょっと余談になりますが、実はこの時は会社の利益がものすごく大幅に増えるのです。人件費が増えないのに売り上げだけが増えるのですから。それからもう1つ、前年の利益が小さいので、増益率でみるとものすごい大幅な増益になることがあります。まだ人々は景気が良くなったことに気づく前に大幅増益の決算が発表されてびっくりすることがよくありますが、こういう理屈なわけです。

景気が更に回復すると企業はアルバイトを雇うわけです。でもこの時点では失業者がいっぱいいるので、安い時給で好きなだけアルバイトを雇う事が出来、値上げをする必要もありません。更に景気が拡大すると、アルバイトの奪い合いが始まるのでアルバイトの時給が上がっていきます。しかしそうなると今まで仕事探しをあきらめていた人たち、例えば高齢者とか子育て中の主婦なんかが働きに出ますので、アルバイト料の値上がりのペースはそんなに早くないのです。更に景気が拡大してさらにアルバイト料が上がると、企業は値上げをするのかなと思うのですが、やっぱりここで値上げをしたらライバルに客を奪われるだろうなと思って値上げを我慢する。先ほど話したように、企業は結構もうかっていますから、値上げを我慢してもなんとかなってしまうということもありますよね。更に景気が拡大して、アルバイトの採用が本当に難しくなってくると、ようやく企業は値上げをする。値上げをするとライバルに客を奪われるかもしれないけど、背に腹は替えられないと考えるわけです。でもその頃にはライバルも同じように苦しいので、追随値上げをするという場合も多いという事を今回学んだわけです。

そのため、5年という本当に長い時間がかかったのですが、例えば氷の塊に熱を加えてもしばらく温度は上がりませんよね。氷が全部溶けた終わった時から急に温度が上がり始めます。今回はその氷の塊がすごく大きかったので溶けるのに時間がかかったということですが、ヤマト運輸の値上げが、おーい氷が溶け終わったぞ、これから水の温度が上がっていくぞという事を知らせてくれた事件だったのだろうなと私は思っています。そうなると、今までとまったく違う世界になったのかもしれないので、そこはよく見ていかないといけません。

今日のまとめです。ヤマト運輸の値上げを切っ掛けに、宅配便各社が値上げをしました。その動きは他の業界にも広がっていくはずです。他の業界も宅配便業界と同様に労働力不足に悩んでいるからです。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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