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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 労働生産性が上がる (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

労働生産性が上がる

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

18/10/02

今日は、少子高齢化による労働力不足で日本経済の労働生産性が上がるという話です。労働生産性というのは、労働者が1時間働いて作り出す物の量の事だと考えて下さい。日本は先進国の中で労働生産性が低い方だと言われています。要するに、日本人はまじめに働くけど、その割に生産的ではないよねという事です。労働生産性の統計の作り方とか国際比較のやり方とかには色々あり、計算する人によって程度の差はあるわけですが、日本人は長時間働いている割には作っている物が少ないという点は、割と多くの人が同じ結論を出しています。

無駄な会議が多いからとか、上司が帰るまで付き合い残業しているサラリーマンが多いからとか、まあ色々言っている人がいますけれども、それだけではなくて、日本の製品やサービスが過剰品質という事もあると言われています。例えば、宅配便が時間指定まで可能なのはやり過ぎで、3日に1回の配達でいいじゃないかとかです。そうすれば1人の労働者が運べる荷物の数が増えると言っている人もいます。ただし、運んだ荷物の個数だけで労働生産性は測るべきではない、お客さんが時間指定をとっても喜んでくれているのであれば、その分だけ日本は労働生産性が実は高いと計算しなければいけないという考え方もあります。時間指定ができることを労働生産性にどう組み込んでいくのかというのは、プロ達が色々議論している悩みの種ですが、まあ今日はそこに触れないようにしましょう。

バブル崩壊後の長期低迷期には失業者がたくさんいましたから、例えば飲食はアルバイトを雇ってお皿洗わせていればいいので、自動食器洗機を買おうという気が起きませんでした。機械に任せるのではなく人手でまかなっていたという事です。ただし、労働力不足が深刻になってきたので、飲食店が自動食器洗機を買った方がアルバイトを雇うより安い、あるいはアルバイトは集まらないので買わざるを得ない。そうなると、お客さんの数は減らないのに雇うアルバイトの数が減って、アルバイト一人当たりが提供できる料理の量が増えたという事になります。これは労働生産性が上がったということで、素晴らしい事ですね。

そして飲食店では深夜営業のお店が減ってきています。アルバイトが安く雇えていた頃は深夜営業をして、お客さんがちょっとしか来なくてもアルバイトが安く雇えているので赤字にはならなかったわけです。しかし、労働力の値段、つまりアルバイトの時給が上がってくると、深夜営業のお店は採算が取れなくなってくるわけです。そうなると、例えば深夜営業のお店を半分閉めましょうという話がでてきます。お客さんの立場からすると、がらがらだった2軒のお店が1軒だけになるけれど、別にそんなに不便はありません。お店の方としては2軒のお店に入っていたお客さんが1軒に集中するようになるので、開いているお店はそこそこ儲かるようになり、どっちにとっても悪い話ではないでしょう。労働生産性という統計を見ると、アルバイト一人当たりのお客さんの数が2倍になっているわけですから、これはもう労働生産性上がって、日本経済全体としても素晴らしいよねという事になってくるわけです。

でも、今はたまたま景気が良いから労働力不足だけどまた景気が悪くなったらきっと失業者が増えるから、自動食器洗機は急いで買う必要ないと考える企業があったら困りますよね。でも、その点は大丈夫だと思います。なぜかというと、少子高齢化の影響は間違いなく今後も20年ぐらいは続くわけです。急に少子化が止まったとしても、労働力不足が解消されるまでには20年くらいかかります。だとすると、例えば10年くらい経っても、景気が良いときにはものすごい労働力が足りないし、景気が悪くても労働力はやっぱり少し足りない時代が来るでしょう。だとすると、将来は景気が悪くなるかも知れないけど、でも安心して省力化投資を進めようという会社が増えてくるということなのだと思います。

経済学者の中には、日本経済は労働生産性が上がらないから、経済成長は難しいだろうと言っている人がいます。これから少子高齢化で働ける人が減っていくわけですから、労働生産性が上がらないと、経済が成長できるわけがないという考え方はその通りです。ただし、今後も労働生産性が上がらないという点が間違っていて、今までの日本経済の労働生産性が上がってこなかったからといって、今後も上がらないとも限りません。景気が回復したり少子高齢化が進んだりして労働力不足となれば、企業が省力化投資をしたり飲食店が深夜営業をやめたりしますので、労働生産性は上がっていきます。

過去の労働生産性が低かった、あるいは上がってこなかったからといって今後も低いままであると考えるのは、バックミラーを見ながら運転するようなものです。過去のデータを見ないで将来を予測するのはあってはならない事ですが、逆に過去のデータだけを頼りに、今後も同じような事が続くだろうと考えるのは、間違える場合が結構あるので注意が必要です。例えば、ゲームの会社の売上げを予想する時、すごく面白いゲームだからすごい売上げが増えるよねという事で、実際今まで増えてきました。では今後も増えるかというと、日本人が全員そのゲームを持つようになったら、ぱたっと売れ行きが止まります。バックミラーを見ながら運転するというのは、そういう時に今後も増え続けると想像してしまうというのに似ていますので、大変危険な事なのです。

今日のまとめです。労働力不足の時代になると、企業が省力化投資をしたり、飲食店が深夜営業を減らしたりするので、日本経済全体としての労働生産性が上がっていきます。日本経済の成長率は労働力不足でも落ちないでしょう。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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