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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 差別化戦略(1):顧客セグメントの差別化 (企業戦略、生産管理/目代武史)

差別化戦略(1):顧客セグメントの差別化

目代武史 企業戦略、生産管理

18/10/09

 今回は差別化戦略についてお話したいと思います。市場における競争において競合他社との違いを打ち出すことは、競争戦略の基本中の基本です。他所とは違う、他所では手に入らない、自社独自のもの、このようなものを企業は日々生み出すべく努力されていると思います。このように事業活動において、他社とは異なる価値をお客さんに訴えて競争上の優位を追求する戦略を差別化戦略と言います。一般に差別化戦略と言うと、ユニークな製品やサービスをいかに生み出すのかということが焦点になることが多いと思いますが、差別化戦略の切り口は商品そのもの以外にも様々なものがあります。そこで今回は差別化戦略を考える上での着眼点についてお話してみたいと思います。

 では企業戦略を考える上で大切なことは何でしょうか。
 一つは柔軟な発想です。柔軟な発想がどこから来るかということですが、物事の前提を疑ってみることが重要です。あるいは、置き換えてみるということが大切になってきます。固定観念に縛られないということです。例えば、カジュアルウェア業界で差別化するにはどうすればよいでしょうか。すぐに思いつくのは、恐らくファッショントレンドをいち早く取り入れるということです。しかし、これはZARAやH&Mがすでにやっていることです。また、飽きのこない定番商品を充実させようというアイデアであれば、ユニクロがすでにやっていることです。あるいは、例えば防臭機能や保温機能などの機能性を持たせるのも一つのアイデアです。これもユニクロの得意技です。または、原価を抑えて値ごろ感を打ち出すというアイデアもあるでしょう。しかし、こうなるともはや値引き競争になってしまって差別化戦略ですらありません。このように商品のレベルで差別化を考えていくとなかなか良いアイデアは出てきません。
 そこで前提を変えてみます。例えば、ターゲットとするお客さん自体を変えます。あるカジュアルウェアブランドがお客さんの層を次のように分類しています。第1がサイバーと言われる流行の最先端を行く層の人達です。ごくごく少数を占める人達です。次がイノベイターと言われる人達で流行にかなり敏感な層です。この人達が受け入れる流行は大衆に繋がる可能性を秘めています。3つ目がオピニオンと言われる人達で一般消費者の中でも割合早い段階で流行を取り入れる人達です。いわば学校や職場のオシャレ番長のような人達を想像してもらっていいと思います。そして大衆、マスと言われる層で、ボリュームとして流行を広げていく人達です。そして最後がディスカウンターと言うもので、終わりつつある流行をまだ引きずって身に付けているような人達です。これはある種新しい流行に対する感度の高さでお客さんを分類したものです。
 このようにお客さんを同じような性質をもつグループに分類していくことをマーケティングでは顧客セグメンテーションと言います。このブランドは、お客さんによって新しいトレンドへの気付きに時間差があるということに着目して、お客さんをセグメンテーションしています。このことをこのブランドでは「気付きのタイムラグ」と呼んでいます。通常の顧客セグメンテーションでは、男性か女性か、若者か中高年か、独身か既婚者か、子供がいるかいないか、収入が高いか低いかなどといった人口動態的な属性に基づいて行うことが一般的です。しかし、このようなやり方は統計が利用しやすく、数字で市場性を評価出来るという点では便利です。その半面、各社が同じ統計を見て分析していくと同じような結論に行き着く可能性もあります。トレンドに敏感で消費意欲も高いいわゆるF1層と言われる20歳から34歳の女性をターゲットにして何か商売しましょうとなるわけです。そうすると過渡競争に陥る可能性が出てきます。このように属性ではなくて気付きのタイムラグといったような独自の切り口でもってお客さんを捉えることが出来ればそれ自体が差別化の出発点と成り得ます。他社とは違う視点ということです。

 もう1つ重要なことは、ターゲティングとの一貫性です。先程は気付きのタイムラグという形でお客さんを分類しました。ターゲティングというのはその分類した中のどこに焦点を当てるかということです。先程のカジュアルウェアブランドの場合はオピニオンと言われるいわゆるオシャレ番長の層からマスの上澄みの辺りを自社のターゲットとしています。自社が提案するトレンドをオピニオン層に向かって発信して、マスの中でもトレンドに敏感な人達にまで浸透したら、そこでそのトレンドを打ち出すのは止めて次に行きます。深追いはしないということです。市場の末端にまでトレンドを広げていくのは、大手ファストファッションのユニクロが得意とするところです。大量の商品を多数の店舗を通して売り抜く力が必要になる土俵で、物量に勝る相手と勝負するとなかなか厳しい戦いになってしまいます。そのため、このトレンドをあともう少し引っ張れるかなというところで手を引いてしまって、次のトレンドにいくという姿勢を一貫して続けるということが重要になってきます。

 今日のまとめです。今回は競争戦略の一つである差別化戦略を取り上げ、差別化の切り口についてお話をしました。効果的な差別化のためには商品の差別化の前に競争の舞台の差別化、つまり顧客セグメンテーションの差別化が重要になってきます。他社とは異なる視点で市場を細分化し、独自のターゲット設定が出来ればそれ自体が差別化要因となることがあります。

分野: 生産管理 |スピーカー: 目代武史

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